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狩りも安全面を考慮して行います

「β、異常はないか?」

「こちらβ、異常なし」

「α、魔獣の姿は?」

「α、まだ見えない」

「よし、引き続き頼む」

「「了解」」

「……って事です。華ちゃん」

「何で私だけコードネームが無いのよ!」


 今、僕達は彼女に着いて魔獣狩りに来ている。メンバーは勇者の御木月、剣聖の竜胆寺、聖騎士の哲河辺、聖女の雲野、僕と後、鬼威圧で勝ち取ったお嬢様だった。


「それじゃ、コードネームは柳田華子で」

「それは私のフルネーム!」


 αとβは御木月と竜胆寺だ。


「それでマッチョは?」

「何故、彼だけそのコードネーム?」

「華ちゃんこれが良かった?」

「……」

「無言で鬼威圧は止めて!」


 無言で発せられる鬼威圧。心臓が止まりそうだ。


「ヒッヒッフー。ヒッヒッフー。……よし、落ち着いた」

「妊婦か!」


 お嬢様のツッコミと共に鬼威圧が消える。


「マッチョ、異常はないか?」

「……クンクン」

「おい、マッチョ」

「……クンクン。いい臭い」


 異常事態だ! 僕とお嬢様はそっと彼女がいる場所に近づく。彼女は兵士達に守られて山道を歩いていが、何時何が有るか分からないので彼女に危険が迫っても聖騎士と盾術を持つ哲河辺が居れば大丈夫と配置した。しかし、それを哲河辺はその真後ろにいても気づかれないのをいいことに彼女の臭いを嗅いでデレッとした顔をしていた。


「敵襲ーー!」


 僕の声に直ぐ様御木月と竜胆寺が集まった。そして無言で指差すお嬢様のその先を見て、キレた。


「ゴメンなさい」

「ゴメンで済んだら鬼威圧は要らねえんだよ! お嬢様、殺っちゃて」


 鬼威圧、発動。


「おおぉぉ……、キツい。心が折れる」

「何で僕も!?」


 僕も哲河辺と一緒に踞り震えている。それに冷たい目を向けるお嬢様。


「うらやま妬ましい」

「それが本音!?」


 手足が震えて気絶寸前まで行って何とか解放される。


「雲野……」

「頑張ってください」

「いや、治して……」

「今、売り切れてます」

「そんなぁ……」


 彼女も怒っているようだ。でも僕はいいんじゃないかな? 治してもらえないけど……。


 しばらく体調を崩したまま彼女の後を追う。長く歩いているが魔獣は出てこない。


「お嬢様、鬼威圧消して鳥も来ないから」


 イライラがつのって無意識に弱鬼威圧を出していた華子に注意して止めさせる。そしてらちが明かないので御木月と竜胆寺に魔獣を探させる。


「おーい。連れてきたぞ!」

「その辺に離してくれ」


 まだ、僕達の目にも見えないからそんなに大きくないだろうと思ってました。


「い、いたぞ……」


 怯えたその声に前を見ると小山ほどもある虎に似た魔獣がそこにいた。


「御木月さんあれ何?」

「珍しい魔獣でビッグコトラだ」

「大きいの小さいのどっち!?」

「見たまんまだけど?」


 見上げるほどデカいんですけど。ビッグコトラの前で兵士達が右往左往しているがそいつは動こうとしない。


「脚の腱を切っといたから逃げないよ」


 どおりで騒いでいる兵士達がいるのに襲いかからないと思った。動けないのならどうにかなるだろう。その安心は裏切られる。


「変だぞ? 魔獣の口にエネルギーが集まってる」

「へぇ?」


 マーライオンみたいに開いた口の中に光の玉が形成されていく。


「ねえ、何かヤバくない?」


 側に寄ってきた華子が袖を掴む。えっ? 何なの?


「何とかしなさいよ」

「ですよね~」


 僕の前で口の中にある光の玉が騒ぐ兵士達の方へ発射される。恐怖に怯える兵士の前に彼女が出る。


 光の玉が着弾する寸前、彼女が防御の魔術を張り巡らせる。ダメだ! それじゃ吹き飛ばされる!


 強烈な閃光に目を被い目を開けたときにそこには防壁を維持する彼女の姿があった。


 しかし、防壁の直前で不自然に光の玉が炸裂した後が地面の焦げ後と共に残っている。彼女の背後で哲河辺が親指を立てて笑っていた。防壁に届く前に彼が止めてくれたのだ。クンクンしたのはこれでチャラにしてやる。


「よくも……」


 ポツリと呟いたお嬢様の声に会わせるようにビッグコトラが体を震えてちぢこませる。鬼威圧の力だ。


 一歩も動けない上に鬼威圧で震えているビッグコトラに向かって彼女が火魔法の最上位を唱えて打ち出した。白い焔の塊がビッグコトラを焼き尽くす。後には魔石だけが焼け焦げた地面の後に残った。


「やった! さすが勇者様だ! あのビッグコトラを一発で倒したぞ」


 喜びに沸き上がる兵士達に囲まれながら困惑した表情をしている彼女がいた。多分、これが自分の力だけでは無いと気がついたのだろう。


 しかし、この喜びもここまでだった。


「ふはははっ! この程度か勇モガッ!ーー」


 僕達が居なければ。


 背中にコウモリの羽を生やした青い肌を持つ男が言っている所を不意に発せられるた鬼威圧で行動を遮られ、勇者スキルを持つ御木月が押さえ込んで見えないところに連れていく。


「何? コイツ」

「魔族じゃねえ?」

「そう……」


 怖い顔で笑うお嬢様を見て青い顔を更に青くする魔族。こうして僕達は貴重な情報源を手に入れた。




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