最近は王様もキナ臭いのが多いのでチェック入ります
「勇者よ。よくぞ来てくれた。ワシがこの国の王、ビンラストとだ」
僕達が着いていった場所は王様の前だった。彼女の側には一緒に来た兵士の中で一番いい鎧を着た兵士が控えている。
「そなたに事を任せるのは心苦しいがこの国を助けてほしい」
そう言って王は頭を下げる。普通下げないよな。
「華子さんや、貴女なら下げますか?」
「王様、良かったわね。下げなかったら頭を落としてやったのに……」
「雲野、竜胆寺、お嬢様を確保!」
「「ラジャー!」」
「何すんのよ!」
お嬢様は危ない。檻にでも入れとけないかな?
「あの、私は何をすればいいのでしょうか? それと私はもとの世界に戻れるのですか?」
「貴女には国の旗頭として魔族との戦闘に参加してもらう。そして帰る方法なのだが……昔、魔王に奪われてしまってこのままでは帰せない」
「そんな……」
愕然とする彼女を見て、背後に振り返り、
「ホントかどうか分かる人、手を挙げて」
「はい!」
背後の列から数人の手を挙がッた。
「少なくとも王様は嘘を言っていない。本人が知らないだけかも知れないが……」
「この城の記憶を読んだがそんな記録はない。帰還方法事態がないみたいだ」
「魔法使いの方が思考が乱れた。……奥さんと愛人のどちらに今日行こうか迷ってる」
「どっちにしてもよく分からない事がわかった。それと最後の要らない情報だからな!」
魔法使いに愛人て誰特だよ!
「あなた達の中に魔方陣に詳しいのは?」
「華ちゃん何すんの?」
「華ちゃん言うな! あの魔方陣調べれば何か分かるんじゃない?」
「委員長ー! 人選頼む」
「任せたまえ」
五月は人を集めて魔方陣の場所に連れていく。
「む、何人か良からぬ思考している奴がいる……」
「おい、また愛人がどうとかじゃないよな!」
「それも数人いるが……」
「いるんかい!」
「彼女に危害を加えようとしている」
「よし、殺そう」
「決断、早ッ!」
「命的に? 社会的に?」
「お嬢様も加わっちまった!」
「まあ、待て。先に情報を集めよう」
僕とお嬢様華ちゃんに待ったをかけたのはジャニーズ系イケメンの御木月だった。
「諜報班を作って味方に出来るのはした方がいい」
「何言ってんのよ! 某王国諜報機関のお嬢様も言ってるわ。敵はサーチ、アンド、デストロイよ」
吸血鬼飼ってる方ですね。わかります。
「お嬢様は血の気多すぎ。御木月、委員長に話して」
「わかった」
御木月に委員長の元に行かせる。それに数人ぞろぞろと着いていくがファンですか? 男もいますが……。
「諜報に向くスキル持ちだよな?」
「……私に聞かないでよ」
こっちが色々やっていると彼女の方も話が終わったようだ。兵士と共に下がる彼女に着いて僕達も下がる。彼女はそこでメイドに代わった案内役に連れられて豪華な一室に入る。僕達も続くが、ドアの前で止められる。
「男子禁制」
「いやぁねぇ。アタシおネエよ」
「キモい」
「うん、ゴメン。自分でもないなって思った」
お嬢様からさけずむ視線が飛んでくる。大半の女子からも同じ視線が突き刺さっていて辛い。
「こうなったら御木月を女装させれば……」
「や、やらないからな!」
僕の言葉に目を光らせた女子が何人かいた。御木月やれば入れるかもしれない。
「馬鹿言ってないで私たちの寝る場所を確保しなさいよ」
「中で寝ればいいだろ?」
「布団は? 寝間着は? お風呂は? お肌の手入れは?」
「うぬぬぬ……」
「どうにかしなさいよ!」
そうは言っても困った。何処か無いものか……。
「空間系魔法が使えるものは?」
「それと精神操作系」
五月と雲野が声をかける。それがどうした?
「空間系があれば、色々入れられるしお風呂も想像できないかな?」
「どっかの空き部屋を……いや、隣の部屋を空けさせてそこに住めばいい」
「それでいいわ」
お嬢様からオッケーが出て、何人か連れだって行ってしまった。しばらくしてメイドを数人連れてきて隣の部屋を開けさせる。中は広く何もなかった。部屋を見渡したお嬢様は頷いた。
「これで男子は雑魚寝できるわね」
「むごくね!?」
お嬢様の一睨みで僕達は部屋の中に引っ込んだ。あそこでごねたら鬼威圧が炸裂して屍のようになっていただろう。
「寝るか」
僕達は思い思いの場所で寝転んだ。女子は彼女の部屋の中だ。正直、羨ましい!
「お休みなさい」
瞼の裏の彼女にそう言って眠りに就いた。