お茶会とその後
エリーゼとリアーナ、そして侍女であるアン、リンは復讐を終えた夜から数週間後に庭園に集まりお茶会をしていた。
「お姉様、そしてアン、リン。無事に終わりましたわね。改めて手伝ってくれてありがとう。」
「私の方こそ、ありがとう。アンとリンもありがとう。感謝するわ。」
「「勿体なきお言葉です。」」
アンとリンはお辞儀をする。
「今回は浮気をしたダメンズにざまぁしようと思ってたら、かなり大事になってしまいましたわね。まさか、女性関係だけでなく、政治的な部分までも色々とやらかしていたとは…」
「えぇ、そうね。でも驚くべき点は、外面ではそんな事をしているようには見えないというより、無害で優秀な王子を演じていた事よね。普通に考えたら八人同時にお付き合いをしたら、どこかでボロを出したり、傲慢な態度が表面に出たりするものだと思うのだけれどね。これまでの演技力と切り替え力は敵ながら称賛に値するものだったわ。」
「 そういえばお姉様。元王子の処分はお聞きになりましたか?」
エリーゼは首を横に振る。
「 王家から除名された後、最初は平民へと落とすか、辺境へ幽閉、一部では処刑などの案が出ていたのですが…帝国のとある公爵が元王子を欲しいと取引に来たそうですわ。」
「今後、元王子と王国は関係を絶つことを条件に、何かやらかしても王国へ責任を追及することは無いと明言した上で、破格の取引を持ちかけたそうよ。ちなみに公爵は、王子の顔が気に入ったのと、不正をしているとは全く感じさせず、重要な事を何年も隠し通した演技力、執務を丸投げしても大丈夫な環境を整えた手腕に惚れたのだと。」
「引き取った後は、下働きから始めさせて、態度がよければ執務をこれでもかと言うぐらい大量に押し付けたい!と言っていたらしいわ。それを聞いて王家は、元王子を有効活用できるだけでなく、民からのお金を無駄に元王子のために使う必要性もなくなると、公爵の提案を呑んだそうよ。」
エリーゼは予想外の処分で少し驚きをみせた。
「へぇ~、そうだったの。王家の生活から一気に下働きの生活になるのは、本人にとってかなりの苦痛になりそうね。聞く限りでは、その公爵も一切の容赦をしないようだし…それにしても、すごい情報を仕入れてきたわね。流石リアーナだわ。」
リアーナは、褒められた事に嬉しくなり、少しだけ頬を赤く染める。
「そんな褒められても…まぁ、今回はたまたま王城で取引をしてる際に使用人達が噂話をしているのを聞いたことがきっかせなんだけどね。数日後には公の場で公表されるんじゃないかな。」
「そうなのね。そう言えば、あの方の被害にあった方々はどう?」
ウィスザールによって、子供を授かった人や浮気の被害にあった人の一部は、あの夜会で舞台の協力者として参加してもらっていた。
そして、そのお礼として希望する人には面談をして適正を判断した後、リアーナの商会で働き口を紹介していたのである。
リアーナの商会では、働いている間に子供を預かる一次保育所なるものが今回を機に発足。
子供ができても働ける、日々生活ができる基盤を整えたのである。
これには、すでに働いていて子供がいる従業員にもかなり喜んでもらえたとか。
リアーナは、一口紅茶を飲んでから答えた。
「それが、どの方も優秀で、もうほとんどの人が職場に馴染んでいるわ。嬉しい誤算よ!元は同じ人を好きになった人同士、少しは割り切れなくてトラブルになるかもと思っていたけれど、驚くぐらいみんな割り切ってあっさりしていて。聞く所によると、浮気をして何人もの女性を傷つけたという真実を知って、みんな夢から覚めたらしいわ。今はもう、悪口を言って意気投合して、仲良くなってるとか。」
エリーゼはそんな光景を想像して、少しばかり笑顔になる。
「今回縁ができた人達は、計算能力が高かったり、相手の懐に入るのが得意だったり、上手く事を運ぶ話術に優れていたり、魔道具開発に才能があったり、マネジメントに才能があったり。みんな凄すぎるのよ。あの方は、良くも悪くも人を見る目があったということね。そして、みんなもダメンズを引き寄せる似たもの同士と…傷つきはしたけど、こんな縁をくれたことには感謝しないとね。」
「そうよね。せっかくできた縁ですもの、みんなが馴染めているようならよかったわ。私にできることがあれば遠慮なく言ってね。私はリアーナみたいに商会で人を雇うとかは難しいから、できることは少ないかもだけど…」
「全然です!何かあれば、ぜひ頼らせてください!お姉様!そう言えば、夜会で暴れたことによってお姉様の演奏会に悪い影響は出ませんでしたか?昨日もホールで演奏会でしたわよね?」
「えぇ、悪い影響は出なかったわよ。むしろこの前の件で、中々私の演奏を集中して聴けず、お預け状態になったことで、私の演奏に興味を持った方やファンが増えたみたいで。いつにも増して会場外にいる人が多かったわ。」
「まぁ!それはちょっと悪い事をしましたわね。ですが、お姉様のファンが増えた事は嬉しい事ですわ!」
その後も近況を話したり、雑談をしたり。
いつの間にか外が暗くなっており、楽しい時間を過ごしていた。
「はぁ~、何はともあれ、本当に今回は無事に終えれて良かったわ。」
「そうね〜」
二人はお互い見つめ合って、フフッと笑った。
そこへ侍女のアンが口を挟む。
「お二方、無事に終えれて何よりでございます。そして今度こそは、」
アンとリンが空気を吸う。
「「ダメンズに引っかかることが無いようにお願いします!」」
侍女二人は、声を合わせて注意をするのだった。
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それから数カ月後。
今日も二人の令嬢姉妹は恋バナで盛り上がっている。
果たして二人の恋人は、今度こそダメンズではないのかどうなのか…
二人の恋多き日は続いていく…
これにて完結です。
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