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 由美子は死んだとき、十歳だった。

 一回り離れた妹は異母兄妹であると、二十歳を越えたときに父に教えられた。僕を産んだ女は物心付く前に事故で死んだ。記憶にある母は、僕とは縁も所縁もない人で、どこか遠慮でもあったのか、約十年、自分と父との子供を我慢していたのだ。

 それを聞かされたときは衝撃に心中を支配されたが、多分、ある程度他人であることを認知したがゆえ、由美子を愛せるようになった。家族間に交わるものではない、人と人の間に生まれる愛情を、僕は彼女に持った。

 それが、愚劣なあいつの手によって、壊された。身体中に傷を付けられ、首を絞められて死んだ。

 それは、理解している。

 ただ、今目の前の父が手にしているマネキン人形も、間違いなく由美子なのだ。

 なぜなら彼が何度捨てても、彼女はあの場所に、帰ってくるからだ。由美子が家に帰りたいと、僕に愛されたいと、あの場所で待っているのだ。それをどうして愛してやれないのだ。

 僕は間違っていない。

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