第2話 ネストル橋の開通式 1.リバーアン砦への小旅行
フィエール辺境伯領地図および伯爵家の家族構成
フィエール辺境伯爵家家族構成
父 ヘンリー (フィエール伯爵)
母 メリーアン (カリス侯爵家より嫁する)
長女 ローズ (王弟カンデラ公爵の妻)
長男 ジャルダン (嗣子、名誉称号マクニール子爵)
次女 エイプリル (主人公、伯爵家遊撃隊指揮官)
「母上、リバーアン砦へ行きたいです」
「リバーアン砦ですか」
「はい」
「いいでしょう、いつ出ますか」
「明日にでも」
「砦に滞在しますか?」
「いえ」
「橋を見に行くのですね」
「はい」
「ほほほ、お館さまとご一緒はお嫌ですか」
「まあ、そういうことです」
「よろしいでしょう。砦町の別邸を準備させましょう。
そうですね、出発は3日お待ちなさいね、アニーと着替えなどを馬車で出しましょう」
「母上、ありがとうございます」
「ルートはどうしますか?」
「はい、行きは上道を使います」
「上道ですか」
「はい」
「わかりました。警備隊に連絡を出します。野営にならないようにしなさいね」
「野営はだめですか?」
「そうね、エイプリル。王家の婚約者ですもの、戦地でもないのに地面に寝るわけにはいきませんよ。
従卒をつけましょう。ロイが出世して従卒になったのを知っていますか」
「はい」
「荷駄を引かせて先行させます。1日目の宿泊地は城で準備します。2泊目はジガ城ですね」
「はい」
「ロイは荷駄を引いておりますから、騎馬の姫隊とは移動のスピードが違います。できるだけ先行させるのが習いではありますが、」
伯爵夫人はちょっといたずらっぽく微笑んだ。
「なにかトラブルがあって、建屋がないところに宿泊地を決めてしまうこともあるかもしれませんね」
「母上」
「エイプリル、あなたがどのような所でも安全に夜を過ごすことができることはよくわかっていますよ。わたくしは心配しておりません。
ただ、ロイや騎士たちの面目もあります、1度にしておきなさいね。そしてきちんと連絡を入れるのですよ」
「母上、ありがとうございます」
エイプリルはとてもうれしそうに微笑みを返した。
メリーアンは、伯爵の執務室に侍女を出して、面会を求めた。こういう話は早いほうがいい。
「お館さま、エイプリルがリバーアンに参ります」
「うん?橋の開通式を見に行くのかね」
「さように心得ます」
「いつ出ると?」
「わたくしの判断で、3日後としております」
「うむ、そうか。開通式には早すぎないか」
「エイプリルは上道を使うつもりです」
「なんと。上道とは?」
「はい。ジガ城に泊まり、上道を通ってリバーアンに抜けるつもりです。巡回隊以来ですね。
あと4月で王都に参りますでしょう?マクニール子爵にジガと上道のレポートを差し上げるつもりなのです。そうお思いになりませんか?」
マクニール子爵とは、伯爵と伯爵夫人の間の長男、ジャルダン・ル・フィエールを指している。
フィエール伯爵家は、もともとドナティエール王家の臣下としてジガ城を預かっていた。
ジガ城は、ドナティエール王国の西部、フィエール平原を見下ろす丘陵地帯にある。
伯爵家は、初代から先代までおよそ100年かけて、そこから単独でフィエール平原を斬り取り王国を拡大した。この功によってフィエール平原全体は、王国臣下の領地というよりも独立した権限をもつ辺境伯領となった。
同時に、伯爵家としての格が上がり、伯爵家継嗣に対してマクニール子爵位が与えられた。領地は伴わない、名誉爵位だ。フィエール伯爵の正妻に最初に生まれた男子は、産まれた時から子爵位を持ち、サー・マクニールと呼ばれる。
マクニール子爵の管理地は、ジガ城を中心とする伯爵家もともとの領地だ。
マクニール子爵自身は、王宮の高級官吏として財務を扱っている。エイプリルは、この兄が自分が王都に行くまでは、そしておそらくは第三王子妃になって第一子を生むまでは、王都から領地に帰ることはできないだろうことを知っている。
その心の裡を思って兄にレポートを贈ろうとしている、と母は考えた。
「なるほどの、姫らしくあるの」
「そう思し召しいただけますか」
「そうよの」
「ありがたきことにございます」
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読んでくださっている方、ありがとうございます、未熟な投稿者で申し訳ありません。
お話は完成していて、投稿しているだけなのですが、連載のシステム、コピーアンドペーストの方法、そのあとに必要な編集などの投稿スキルの習熟に手間取っています。
この先、3作の投稿予定がありますので、気長にお付き合いくださいますようお願いいたします。




