表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
砂漠の国の、引きこもり  作者: 猫の人
男のオアシス、千客万来
94/695

「新庄さんが北に行ったので、東西のどちらかですねー。東にしましょうか」

 加倉井は万能タイプのギフト能力を選んでいる。

 ジョブというプリセットを選び、いくつかのアビリティをセットして、常人ならざる力を得るのだ。


 新庄のように戦闘能力を捨てて生産特化にせず、ジョブとアビリティの組み合わせを変える必要があるけれど、大概の事はこなせるようになっている。

 そして、仲間にもその恩恵を与えることができて、仲間を増やし育てることで真価を発揮するのだ。


 ジョブとアビリティはそのほとんどが戦闘に関わるものだが、タクティカルシミュレーションRPGをベースにしているので、その辺りは仕方の無いことだろう。



 そんな加倉井のあとを付ける荻たちは一芸特化。

 戦闘メインでも攻撃、防御、遊撃、索敵、移動、運搬と、役割分担がはっきりしている。

 万能タイプの加倉井では敵うはずもなく、索敵性能に大きな開きがあった。


 加倉井たちがどれだけ警戒していても、ギフトの能力差は、その程度ではどうしようもない。

 そして加倉井たちは今のところ問題が起きたことが無いため、少し油断もしていた。


 そうやって荻たちをオアシスまで案内してしまう。





「加倉井さん、次はどこに行きます?」

「新庄さんが北に行ったので、東西のどちらかですねー。東にしましょうか」

「はーい」


 彼女たちが町に行ったのは休暇だったからで、それが終わればお仕事の、モンスター退治が待っている。

 彼女たちの戦闘能力は、この世界の一般から見ればかなり上の方で、戦闘には余裕がある。このあと戦うとわかっていても、重苦しい雰囲気ではない。むしろ、軽い。

 明日からのモンスター退治も、ただの作業なのだ。命のやり取りをする雰囲気にはならなかった。


「今度は前より頑張って、お小遣いを増やしてもらわないといけないのです。

 みんな、頑張って稼ぐのですよ!」

「「「はい!!」」」


 休暇で散財した少女たちは、物欲を満たすために気合いを入れるのだった。





「ありゃ、ヤバい」

「これ以上は危険だな。近寄らない方がいい」


 加倉井を付けていった荻たちだが、彼らは地下道を通らず、地上の砂漠をそのまま移動した。

 彼らの仲間には移動を補助するギフト能力持ちがいて、砂漠だろうと苦にしなかったからだ。

 それに地下を通れば高い確率で察知される恐れがあるし、逃げ場がなく、罠が仕掛けられているかもしれないので、彼らに地下を通るという選択肢はなかった。


 そうしてオアシスにたどり着いたわけだが、オアシスの南には門があり、番人たるゴーレムがいる。

 どう考えても面倒くさい敵であり、そもそも戦いに来たわけではない彼らは挑もうと思わなかった。


「手紙だけ出すか」

「矢文とは、また古風だよな」

「風魔法、補助を頼む」

「あいよー」


 荻たちはゴーレムと戦うことを避け、転移者仲間として話がしたいと書いた紙を、矢に括り付けてオアシスに届けるのだった。


「手紙に気が付かない、無視される可能性はどれぐらいだと思う?」

「八割がた、気にもされないだろう。やらないよりはマシ、そんなところだな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ