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産声

 意識が朦朧とする。気を抜けば、今にも気を失ってしまいそうだ。

 そのくせ、身体は異様なほど軽く、奇妙な全能感がある。そして、それは俺の両腕に形として表れている。

 強化カーボン製の両腕。血が通わず、感覚など存在しないそれが、主人に忠実な猟犬のように滑らかに動いてみせる。実に八年ぶりに動かす肉体。リハビリなど必要ないと言わんばかりに、俺の思いを動きに反映させる。

 なぜ拳銃で撃たれて生きているのか、なぜ義手が自分の腕のように動いているのか、そんなこと俺にもわからない。ただ、赤ん坊が生まれたときから呼吸の仕方を知っているように、どうやれば両腕を動かすことができるのか、俺には無意識に理解することができた。


「なんなんだ、てめえは」

 関口は懐に手を入れ、俺と俺が殴り飛ばしたチンピラを見比べている。

 そのチンピラは、口からゴボゴボと血を吐きながらもまだ生きている。叫びを上げることすらできず、身体はびくびくと生体的反応で痙攣するていどだ。

 反射的に目の前にいた人間を全力で殴っただけだが、まるで全力疾走する車に跳ね飛ばされたかのようなダメージだ。生きているのが不思議なくらいだ。

 俺自身、なぜこんなことができるのかわからない。だが、それ以上に困惑しているのは関口をはじめとしたチンピラ集団だろう。驚愕と困惑から呆然とした顔をしている。

「てめえら、ぼさっとしてねえで、さっさとそいつ殺せ!」

 その中で、いち早く立ち直った関口が、下っ端連中に怒鳴りつける。軽薄な印象が先立つが、腐ってもリーダーということだろう。

 しかし、その指示は少し遅い。俺はとっくの昔に走り出している。

 両腕が動かなかった時には存在しなかった安定感。十数メートルの距離を一秒もかけずに詰め寄り、一番近くにいた男に体重とスピードの乗った右ストレートをお見舞いする。

 男はその動きに完璧な反応はできなかったものの、反射的に腕を上げて防御行動をとり、幸運なことに拳を受け止めることに成功した。

 ……幸運といっても、重傷と致命傷の違い程度でしかなかったが。

 べきべきと骨が折れる音が拳を伝って聞こえてくる。防御した程度では俺の攻撃を完璧に防ぐことはできず、防御ごと男の体を殴り抜く。男は吹き飛び、手近にあった木に叩き付けられ、最初の男と同じ運命を辿った。

 次の男は大きな銃を抱えていた。自動小銃というやつだろう。慌てて俺に向けようとしたが間に合わず、自動小銃で俺の拳を受ける。

 金属と強化カーボンが打ち合う高い音が響き、自動小銃が半ばから曲がった。俺の義手もさすがにただではすまず、ひびが入った。

 だが、俺はそんなこと気にせず、追撃のフックで三人目の男を仕留める。脇腹にめり込んだ腕から、肋骨が粉々になる感覚が伝わった。


「距離をとって銃で仕留めろ!全員【薬】を使え!」

 最初の混乱から立ち直ったチンピラたちが、それぞれ拳銃や自動小銃を構える。それと同時にペン型の注射器を取り出し、腕や足に突き刺す。アタッシュケースに入っていたものと同じなのか、青い液体で満たされている。

 その行動にわずかに疑問を抱くも、構わずに次の相手に向かう。注射器を突き刺すことでできた隙を利用して、俺の拳が顔面を捉え――

「ちっ!」

 ようとした瞬間、男が身をかがめて回避する。思わず舌打ちして、追撃を放つが、これも同様に避けられた。

「当たらねえよ、ノロマが!」

 先刻までより明らかに動きが素早くなった男が、空になった注射器を捨ててバタフライナイフを取り出してこちらに向ける。

 そのままの素早い動作で突き込んでくる。その動きは人間離れした速度を持っており、目で追うのがやっとで捉えることができない。

 しかし、俺には、そのナイフがどういう軌跡を描こうとしているのかを、精密に思い描くことができた。目で捉えるのではなく、感覚で捉えるという不思議な感覚からくる戸惑いをアドレナリンで流し込み、ただ本能に任せて軌跡に重なるように拳を振るう。

 強化カーボンの拳とナイフのブレードが正面激突する。高速で振るわれた両者の摩擦熱により、赤い火花が散った。

 フォールディングナイフの一種に数えられるバタフライナイフは、ジョイント部分を設けなければいけない分、刀柄一体型のナイフより耐久度が劣る。材質的には強化カーボンに勝るものの、構造的耐久性に劣ったバタフライナイフは、衝突の衝撃に耐えきれず崩壊してしまった。

「なっ!?」

 身体能力だけでなく、動体視力も向上しているのか、男はナイフが壊れるさまを見て目を見開く。驚愕で硬直した瞬間を見逃さず、俺はその間抜け面に遠慮なく拳を叩き込んでやった。


「死にやがれ、このイカレ野郎!!」

 なんとか四人目を下すことはできたが、その間に完全に大勢を整えられてしまった。十数名分の拳銃・自動小銃がこちらに向けられる。

 ……と、また先刻と同じ感覚が蘇る。銃弾が描くであろう軌跡を感じ取る。が、数が多すぎる。数秒間回避することならできるかもしれないが、避け続けることはできないだろう。

 銃火が、薄暗い森の中で瞬く。火薬の破裂音を耳にしながら、回避行動に入った俺は、先刻倒した男に走り寄る。

「ひっ!?ま、待て、撃つな!撃つなーー!」

 男を持ち上げて盾代わりにすると、男は鼻血を流しながら必死になって仲間に訴えかける。非道な男たちであっても、さすがに仲間を盾にされれば撃つことに躊躇いを感じるのだろう。戸惑うように銃声が止む。

 俺は男を盾にして、敵のほうに突っ込んでいく。大の大人一人持ち上げて進むことも、今の俺には容易に行えた。


 そのとき、連続する発砲音とともに、俺の全身を焼けるような痛みが貫いた。

「がっ!?」

 さすがに不意打ちだったので、無様に倒れてしまう。

 顔を上げて何が起こったのか確認すると、関口が構えた自動小銃から硝煙が立ち上っていることに気づいた。

 傍らを見ると、俺が盾に使っていた男が、何十発もの弾丸をその身に受けて絶命している。関口は、俺を仲間ごと銃弾の雨で貫いたのだ。

「ちっ、手こずらせやがって。無駄に薬使っちまったじゃねえか」

 関口は自動小銃を放り捨て、拳銃に持ち替えた。リボルバー式の大口径銃が俺へと向けられ、生存本能が警鐘を鳴らす。


 ……生存本能?そんなもん、知るか。

「あああああああああっ!!」

 穴だらけになった身体を引きずり、関口に飛びかかる。脳を焼くような激痛が身体中を走るが、逆にそれを怒りに変え、この身を動かす原動力にする。

 銃口が火を吹く。気力で肉体を突き動かしても、動きが鈍ることは止められない。弾丸が体に突き刺さり、着弾衝撃で骨と内蔵がめちゃくちゃに引っ掻き回される。

 もはや自分の体のどこが無事なのかわからない。脳と体が今すぐぶっ倒れろとしきりに訴えかけてくる。それらを強引にねじ伏せ、さらに一歩踏み出す。強く意識しなければ、足が動いてくれない。いつ倒れてもおかしくない体で、一歩一歩確かめるように関口に近づく。

「……狂犬か、おまえは」

 驚きと呆れの混じった顔で、関口は二発の銃弾を放つ。それらは両膝を砕き、俺はとうとう地面に突っ伏した。

 足が動いてくれず、立つことすら叶わない。だが、両腕は、今までの戦闘や銃弾で穴が空いているが、変わらずなめらかに動く。俺は、匍匐前進の要領で、ただひたすら関口へと向かっていく。

「……ほんと、どうやったら止まるんだよ、おまえは」

 使用済みの薬莢を捨て、新しい弾薬を詰めながら、関口もゆっくりと俺の方へと歩み寄ってくる。

 互いの距離が数メートルになったところで、関口は歩みを止め、睨みつける俺の眉間へと銃口を固定する。俺からはどうあがいても手を出せない距離、関口からすればどうあがいても外す余地のない距離。

「なんで両腕が動くのかとか、一回死んだくせになんで蘇ったのかとかいろいろ聞きたかったが……もういいや、めんどい。さすがに頭撃たれたら死ぬだろ」

 睨みつける俺の眼前で、見せつけるようにゆっくりと引き金が引かれる。生を刈り取る轟音が鳴り響いた。



◆◆◆◆◆



 その不快な音が響いた瞬間、脳と鼓膜が際限なく揺らされるような不快感と激痛を覚えた。

 例えて言うなら、黒板を引っ掻いて出る不快音を百倍に濃縮したような気持ち悪さだった。肉体的な痛みとは違う衝撃に、俺は耳を抑えこむ。

 しかし、不快音はほんの一瞬のことで、すぐに収まる。脳が揺れるような感覚が残り、耳鳴りもしたが、まだ生きていた。

 ……なぜだ?間違いなく撃たれはずなのに。

「いてえええええ!!なんだ、こりゃあああああっ!?」

 少し離れたところで、俺と同じように耳を抑えている関口が転がっている。俺より被害がひどいのか、堪え性がないのか、かなり大げさに暴れている。遠巻きに事態を見守っていた下っ端たちの被害は少ないようで、戸惑ってはいるが痛みに苦しむような様子はなかった。

 そっと額に触れてみたが、穴など空いていない。関口の横に落ちている拳銃の銃口からは煙が立ち上っており、銃弾が放たれた直後であることは間違いない。

 まさか、外れたのか?音で体勢を崩したとしても、あの距離で?

 なにが起こったのか理解できず、一瞬だけ怒りを忘れて呆然とする俺の目の前に誰かが立つ。関口かと思い、慌てて身を起こそうとする俺を、その人影は優しく手を添えて押しとどめる。

「動かないで。もう大丈夫ですから」

「……え?」

 何十発もの銃弾を受けても動き続けた心臓だったが、その少女を見た瞬間に止まってしまうかと思った。


 腰まである長い黒髪。そのまま消えてしまうのではないかと錯覚してしまうような流れるようなその髪は、宝石のような美しさ。生真面目さと優しさを内包した綺麗な表情についたパーツの一つ一つが計算しつくされたかのように組み合わさり、芸術品のような彼女の風貌を作り出していた。

 あえて例えるなら日本人形。しかし、人形のような冷たさはなく、むしろ少女特有の生気溢れる愛らしさを含んでいる。現代では失われつつある、大和撫子的な美少女というべきか。……その身を包む色気のない軍服だけが残念だったが、そのちぐはぐな服装がかえって少女の持つ美貌を引き立てているようにも見える。服装や化粧を工夫して飾り立てる必要のない美がそこには存在した。

 そして、なによりも印象的だったのは、その瞳。緑と金のオッドアイ。自然の中では決して現れないその幻想的な配色は、どこか懐かしく、俺の心をひどく安心させた。


「体をお休めください。あなたさまがこのようなところで死ぬことを望む方などおりません。この場は私に任せ、お休みください」

 鈴の鳴るような澄んだ声音は、俺の心に不思議な安心感を与えた。

 気がつけば、先刻まで敵を討つために自在に動いていた両腕が動かなくなり、全身が倦怠感に包まれた。まるで、戦闘状態にあった細胞が、少女の声を合図に疲れを思い出したかのようだ。

 全身が休息状態に入るような感覚を覚えたが、肉体自身はどんどん熱を帯びていき、突然風邪をひいたかのような酩酊感が脳を支配する。

「だめ……だ……」

 すぐにでも閉じてしまいそうな瞼をこじ開け、少女に訴える。

「あいつ、ら、普通、じゃ、ない。武器も、いっぱい――」

 注意を促す俺の口に、少女の白い指が添えられる。綺麗な指先が唇に触れたことで、再び俺の心臓がどきりと跳ね上がる。少女の指先からは、なにかの花のような心地よい香りが香った。

「ありがとうございます。でも、大丈夫」

 彼女の言葉の一つ一つが、俺の脳をとろけさせる。戦わなければという俺の思いとは裏腹に、瞳は徐々に閉じられていく。

 薄ぼんやりとしていく意識の中、宝石のように美しい緑と金の瞳だけが際立った。その輝きは、八年前、俺を死の淵から掬い上げた人が持っていたものに似ている気がした。



◆◆◆◆◆



『いやいやいやいや、実に強い少年だ。たぶん放っておいたら死ぬまで突進してたぞ。【薬】を使ってるとはいえ、大した気力だ。僕だったら、アイサに抱きしめられたら、これ幸いと胸に顔をつっこみ、思い切り匂いを嗅いでいただろうね!』

「いえ、この方は【薬】を使っていません。それと、通信であっても、本名は避けて【クラボッコ】と呼んでください」

 セクハラ発言を華麗にスルーしつつ、アイサと呼ばれた黒髪の少女は冷静に答えを返す。周囲を関口たち武装集団に囲まれているはずだが、その顔には一片の焦りも浮かんでいない。ただ、心配そうな表情で護のことを見つつ、その体を抱きしめていた。

『はっ!くだらない慣習だ!戸籍の存在しない僕らが、名前を偽る必要なんて……アイサ、今、【薬】を使っていないと言ったのかい?』

 通信機の向こう側で、アイサ同様、いやそれ以上に緊迫感のない口調で話し続けていた声に、少しだけ緊迫の色が混じる。通信機越しでは見えはしないが、アイサは律儀に頷きで返す。

「【薬】を使うことによる副次作用が見られません。また、仮に【薬】を使っていたとしても、この方の傷は致命傷に値します。本来なら、私の【特性】を使ったところで手遅れですが、全身が異様なほどの高熱を帯び、すでに再生の兆候が見られます」

『それは、まさか――』

「はい。強化細胞保持者――【セカンド】です」

 ガチっ、と撃鉄が引かれる音が会話に割り込む。

 アイサは今気づいたとでも言いたげな様子で顔を上げ、初めて自分を取り囲む武装集団へと目を向ける。

「いってええ。まだ耳鳴りが止まらねえじゃねえか。てめえ、なにしやがった!」

 ダメージから回復した関口が、耳を抑えながら拳銃を少女に向ける。自分にまっすぐ向けられる銃口を見ても、アイサの眉はぴくりとも動かなかった。

 銃よりむしろ関口自身を観察したあと、関口の質問を無視して通信機に声を投げかける。

「充血した瞳に正常時より多めの発汗現象。……丙種八壱〇号の投与者で間違いないと思います」

『丙種の八壱〇号、か。恐怖心がなくなり、身体能力と知覚能力が上がる代わりに、ハイになることで判断力が鈍り、過度に使用すると寿命を縮める可能性がある薬物。大戦時に使用されていた覚醒剤の改良版として開発されていたものだ。事前情報なしでは、一般兵では荷が重かっただろうね』

「おい!無視してんじゃねえ!」

 返答しないアイサに対して、痺れを切らした関口が怒鳴りつける。その瞳は充血で赤く染まり、まるで怒りで瞳が燃えているようだった。

「……セキグチさん。この女、変な軍服着てますよ。宇宙開発資料室とか言う奴じゃ――」

 今にも引き金を引きそうな関口に対し、チンピラの一人が恐る恐るといった様子で声をかける。その言葉を聞いて、関口とアイサの両者の目の色が変わる。

「……隊章も階級章もない黒い軍服。噂ほど強そうじゃないが、マジみたいだな」

「あなたたち、その【宇宙開発資料室】という言葉、どこで聞きました」

 今度は、アイサの質問に対して、関口が無視する番だった。

 彼がにやりと笑って片手を上げると、部下全員が銃を構える。

「さあ、どこだったかなあ?あんたがストリップショーでも披露してくれたら話してやってもいいぜ?」


『……ふむ。アイサ、ここは彼の言うとおりにしよう。情報分析のためにきちんと録画して、あとで僕に――』

「生け捕りにして口を割ってもらいましょう」

 通信機の声を無視し、アイサは立ち上がる。その際、護をゆっくりと地面に横たえ、頭にかぶっていた軍帽を脱いで、護の枕がわりに地面と頭の間に挟んでおいた。

「やれるもんならやってみろよ」

 対する関口も余裕に満ちた声で返す。薬物でハイになっていることに加え、数多くの自衛隊員を虐殺した経験が彼に大きな自信を与えていた。

「俺たちは人間を辞めたんだ。化物並みの力を持った俺たちは超つええぜ?完全武装した自衛隊にも余裕で勝てたんだ。一対一ではあんたには勝てないかもしれないが、あんた一人じゃ俺たち全員には勝てない。まあ、もっとも――」

 関口が、腕を振り下ろす。それを合図に、十数の銃口が一斉に火を吹き、日が落ちた森の中を銃火と轟音で満たす。

「戦う前に蜂の巣だけどな!!」

 関口自身も大口径リボルバーを、弾切れになるまで連射する。

 アイサはそれらを避けない。いや、避けることができないというほうが正しい。ほぼ無秩序にばらまかれる銃弾の群れは、いかなる反射神経を持っていても避けきれるような代物ではない。

 そして、仮にそれだけの身体能力があったとしても、彼女は避けることができない。なぜなら、背後には傷つき倒れる朝風護が存在し、自分が避けるということは彼に弾が当たるということだ。アイサの信条としてそんなことができるはずがない。

 ゆえに彼女がとった行動は――


「っ!?またかよ!?」

 先刻と同様の不協和音が森の中に響き渡る。多くの銃声と折り重なり、森の中はすさまじいまでの音の狂演と化した。

 関口たちはその音に顔をしかめながらも、弾幕を張り続ける。今度の音は先刻とは違い、不快ではあるが我慢できないレベルものではない。数多くの弾丸がアイサに直撃する軌道をとり、外れた弾が地面を穿って土煙を立てた。

 やがて、全員の弾薬が尽きる。カキンカキンと何名かが空撃ちする音だけが虚しく響く。思い切り銃をぶっ放したことでアドレリンが回ったのか、チンピラたちの顔は例外なく恍惚で彩られていた。


「……は?」

 だが、彼らの表情はすぐに凍りつくことになる。

 土煙が晴れたあと、そこに存在したのは何百発もの弾丸をその身に受けて挽肉になった死体などではなく、両手を前に突き出した体勢で佇む無傷のアイサの姿だった。

『化け物並みの力、ねえ』

 アイサの通信機から響く声。

 距離的にチンピラ集団に聞こえる声量ではないが、そんなことを気にする様子なく、どこか見下したような冷たい声で淡々と言葉を紡ぐ。


『【並み】じゃあ、勝てないよ。おまえたちは薬物で身体能力を高めただけの【人間】。こっちは戦争に勝つため、肉体を根本から改造した――』


 まるで、通信機の声が聞こえているかのように、関口たちは誰からともなく後ずさる。ここに来てようやく、彼らは理解してしまったのだ。


『正真正銘の【化け物】なんだからな』


 数の差や武装の差などでは決して埋まることのない、格の差というものを。

ようやくヒロインの登場です。

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