1.怪獣
桂木 美幸は海崎 健太郎の家に居候している。
その夜、健太郎は自室のベッドを陣取って眠っている美幸を見て思う。
(高校生くらいの可愛い女の子と一つ屋根の下。気が変になりそうだ)
健太郎は高校教師である。不純異性交遊はスキャンダルものである。とはいえ、身寄りのない女の子を放置するほど落ちぶれてもいない。そもそも相手はドラゴンであって、人間の女の子ではないのだから、不純でもなかろう。
と、考えを巡らせているのも束の間、地震が発生した。
揺れに気づいた美幸が目を覚まし、窓を開けた。
「来た」
「何が?」
「侵略者よ」
「はい?」
美幸はベランダへ飛び出すと、バハムートに変身し、翼を広げて空へ舞い上がった。
「おい、ちょっと待て!」
家を出て後を追う健太郎。
「な、なんだよあれ!?」
健太郎は侵略者の姿を見て驚き戸惑う。
それは、とても大きく、恐ろしくも見える怪獣のようだった。
(あいつは、あんなでかい化け物と戦う気か?)
「美幸、よせ! 犬死するだけだ!」
バハムートは振り返り、「大丈夫よ」と一言だけ口にすると、怪獣と同じくらいの高さに巨大化した。
「ぐおおおおああああおおおお!」
バハムートは咆哮しながら怪獣へと体当たりをする。
突撃を受けた怪獣はバランスを崩して倒れる。
バハムートは怪獣に跨り、拳で乱打する。
怪獣は次々に繰り出される拳の速度に慣れてきたのか、その攻撃を受け止め、バハムートを押し返す。
「……!」
バハムートはバランスを崩して後転するが、すぐに体勢を立て直す。
怪獣の吐いた炎がバハムートを狙う。
バハムートは炎をかわし、受け身を取った。
「ふん!」
バハムートは尻尾で怪獣を薙ぎ払う。
「ぎゃあ!」
怪獣は足元を掬われて倒れる。
バハムートは隙を突いて、口から光線を放って怪獣を粉砕する。
「ぎゃああああ!」
怪獣は悲鳴を上げながら爆発し、跡形もなく吹き飛んでしまう。
バハムートは縮小すると、美幸の姿に変わる。
「巨大化もできたんだな。それにしても迫力あったな。まるで映画館で怪獣映画見てるような感じだったよ」
美幸は息を切らしている。
「どうした?」
「戦闘疲れよ。力を使うとかなり疲れるのよ」
「そうなのか」
覚束ない足取りで帰路に就く美幸。
その後を健太郎が追う。
家に着き、脱衣所に入る美幸。
「汗かいたから一風呂浴びるわね」
「どうぞ」
美幸は健太郎とジッと見つめる。
「覗いたら殺すわよ」
「覗かないって。読者は見るだろうけどな」
「読者? あんた何を言って?」
美幸は脱衣所の扉を閉め、服を脱いで風呂へと入る。
シャワーで汗を流し、湯船に浸かる美幸。
(なんか不特定多数の者に見られてるような……)




