360:およめさんにするの!
お待たせしました!
お父さんがお母さんのおもちゃになっていると、僕まで巻き込まれてしまい、家の中でファッションショーが行われていた。配信の流れで写真を撮ってそれをお父さんの会社の人に送ったりもしてたね。
普段ならそれだけで済む、終わるはずなのに、今日はとことん運が悪かった。
ピンポンとインターホンが鳴ると、お母さんは一度撮影を中断して玄関へ向かう。
「優斗来たぞー」
その声が聞こえた時、僕とお父さんは顔を青くした。
その声の主はお父さんのお兄さんである優一さん。
お正月にうちに来ていたゆあちゃんとゆいちゃんのお父さんでもある。
そして、僕たちは今⋯⋯女装中。
「や、やべっ、ど、どうしよう優希⋯⋯」
「ど、どうしようって言われても普通の服ここにないよ!?」
無いと言っても自分の部屋にはある。でも、僕たちがいるのはリビング。自分の部屋に行こうにも、玄関を経由しないといけなくて逃げ場が無い。
二人で絶望しながらもなんとか希望を探そうとする。だけど解決法は思いつかない。
そんな時——
「ゆきにぃいるってほんとー!?」
「ゆきにぃー!」
その声とともに、二人の女の子が入ってきた。
「ゆきにぃ⋯⋯あれ?」
「あわわわわわ⋯⋯
ゆきにぃが⋯⋯」
「「おんなのこになってるううううううう!!」」
「ゆあ、ゆいどうしたんだ?いきなり大声出し⋯⋯て⋯⋯」
驚いた顔のゆあちゃんとゆいちゃん、そして後から追いかけて来た優一さんは僕らを見るとフリーズしてしまう。
「み、見るな⋯⋯頼む⋯⋯」
お父さんが恥じらいながらそう言うと、優一さんの表情がおかしくなってしまった。
「(宇宙猫だ⋯⋯)」
「(バナナみたいな顔してんな⋯⋯)」
一旦落ち着いて、冷静になった優一さん。
「えーと、つまり希美さんの暴走でああなった⋯⋯と」
「そう、そういうこと」
「何であんなに似合ってたんだ⋯⋯?」
「俺が聞きたい」
とりあえず着替えたお父さんは優一さんと何やら話している。
そんな二人を横目に見ながら僕は、ゆあちゃんとゆいちゃんに囲まれていた。
「ゆきにぃかわいい!」
「およめさんにするの!」
「あ、あはは⋯⋯逆だと思うなぁ⋯⋯」
どうして僕は毎回こんな感じになっちゃうんだろうか。
「優希ー、とりあえず後で飯行く事になったけど大丈夫か?」
「うん!今日は予定もないし大丈夫だよ」
「オッケー、んじゃ兄貴にもそう言っておくわ」
「了解ー」
「ゆきにぃゆきにぃ、ごはんいくまであそぼ!」
「ぷぷちゃんのえあーらいどやりたい!」
「はいはい、それじゃ向こうの部屋に行こうね」
「「はーい!」」
もし自分に子供が出来たらこんな感じになるのかな?なんて思いながら二人をゲームの置いてある部屋へと連れていった。
♢
「ゆきにぃ、ぷぷちゃんが⋯⋯」
「むぅ、わどわどきらい!」
二人はゲームをやっているけど、CPUの手により蹂躙されていた。
「つ、次は弱い敵と戦お?ね?」
「よわいのはれんしゅーにならないの!
つよいのをたおすの!」
「きょうきのさたほどおもしろいの⋯⋯」
「(ゆいちゃん絶対優一さんの好きなカ○ジ読んでるよね!?)」
「じゃあゆきにぃがやってるところみたい!」
「ゆいも!」
「ま、まぁ良いけど⋯⋯見てるだけで良いの?」
「「うん!」」
「それじゃ、いくよ?」
「「わくわく」」
「(ふふっ、口に出しちゃってる。
こういう素直なところとか可愛いよね)」
僕はそんなことを考えながらも、二人を楽しませられるように少し集中することにした。
「⋯⋯よし、これで」
「ふわぁ⋯⋯すごい、かっこいい!」
「どらごんみたい!」
「これさえ作れたらあとは敵を倒してアイテムを回収すれば⋯⋯っと」
「すごいすごい!」
「もうじかんないよ?」
「大丈夫、大丈夫!」
僕はラストに狙っていた敵を倒してアイテムを奪うと制限時間は終了。
最後の飛距離を競うところでも圧勝で僕の勝利。
「(CPU相手ならよっぽど負けない⋯⋯かな)」
「わぁ⋯⋯ゆきにぃすごい!」
「わどわどぼろまけ!」
「ふふっ、ありがとう」
そんなことをしていると、お母さんが部屋に入ってきた。
「優希ちゃん、そろそろお出かけするみたいだけど準備は大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
「ゆあもー!」
「ゆいもだいじょうぶ!」
「あらあら、二人とも元気ねー?
それじゃあ行きましょうねー」
「「うん!」」
「僕もすぐ向かうね」
ゲームを片付けて玄関へ向かうと既にみんなが揃っていた。
「んじゃ行くかー」
♢
家を出て目的のお店に到着。今日はゆあちゃん達がいることもあって、近場にある回転寿司へやってきた。
「おすしー!」
「ゆいおすしだいすきー!」
「⋯⋯あ」
店へ入ろうとした瞬間に、お父さんが何かに気付いた。
「優希⋯⋯お前⋯⋯服さっきのままだぞ⋯⋯」
「えっ」
お父さんにそう言われて自分の着てる服を見たらお母さんに着替えさせられた時のままだった。
「⋯⋯一度帰るか?」
「ふ、二人とも早く行きたそうだし⋯⋯今は我慢するよ」
「そ、そうか⋯⋯優希がいいなら良いが⋯⋯」
「(あまりにも自然に馴染みすぎて忘れてたなんて言えないよ⋯⋯)」
その後ろでお母さんがにっこりと笑っていたのはここだけの話。
お久しぶりです。
コミカライズ完結、思っていたよりも精神的なダメージがデカくてなかなか書けない時期が続いていました。
最終巻も発売されて、多くの方に読んで頂けてとても嬉しい反面、これで終わりだと思うと虚無感が激しく、とても辛いです。
僕自身だけなら良いですが、惜しむ声がかなり多くそれがまたキツイ。
漫画家さんの都合での終了の為致し方ないとはいえ、どうしてもモヤモヤした気持ちがあります。
それでも最後まで読んでくれてありがとう。
それだけは伝えたい。
少しメンタル立て直すのに時間かかるかもですが、気長に待っててくれると嬉しいです。完結までは頑張って書いていきます。




