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第二話 橋

 とあるタクシーの中で


「⚪️⚪️町のホテル◇◇まで」

「国道通って行きますか? それとも道道通ります?」

「え? あ……ああ、出張でこっち来てるだけだから、道言われても解んないけど、どっちが近いの?」

「ホテル◇◇は国道沿いですし、道道通ったらかなり遠回りになります」

「なら国道で」

「はい、了解しました」

「運転手さん、ちなみに道道通ったらどれくらい遠回りになるの?」

「そうですね………30分以上は多く掛かりますし、時間帯によっては1時間くらい余計に掛かる事も……」

「1時間?! それって………当然、料金も多く掛かるってことだよね?」

「ええ、そうです」

「国道通ったらどれ位で着くの?」

「30分も掛かりませんから、今の時間帯なら2000円位のはずですよ」

「それでもあえて聞くって事は、道道通って、って言う人がいるって事なの?」

「滅多にいませんけどね、たま〜〜に、あの橋は通らないで、って言うお客さんいますから、そうすると道道通って、⚪️⚪️町にはぐるっと回り込むように行くしかないんですよ」

「回り込むって、戻るって意味?」

「ええ、道道と国道は川を挟んで平行に走ってますが、その川のせいで行き来が不便なんです」

「ところで、さっき言った、あの橋は通らないでって………どうして?」

「橋の欄干にブラ下がる人がいるんです」

「ぶら下がる?」

「首縊りです」

「げっ………マジ? なら気持ち悪がって地元の人はその橋を通らないの?」

「いえ、一般の人があの橋を避けるって話は聞いた事ありません」

「……どう言う意味?」

「タクシーで通ると乗ってくる時あるんですよ。20代の若い女の人なんですけど、どっかに行きたいって思いがあったんですかね? 首縊る時に上を走るタクシーでも目に入ったんでしょうね」

「嘘でしょ? マジで? 運転手さんも………その…… 首吊った女の人……… 乗せたことあるの? 無いよね〜〜、人から聞いた話でしょ。都市伝説みたいな」

「この商売長い事やってると、残念ですが乗せちゃう事あるんですよね。だってね、勝手に乗っちゃう訳ですから、こっちにどうこう出来る道理も無いですし。でも、どうしてこの橋なんでしょうね? それに首縊るんなら、もっと簡単な方法あるでしょうに、わざわざ欄干に縄結んで、川に向かってぶら下がる、手間って言うんですかね〜、結構面倒だと思うんですけど………この川、なんかあるんですかね? やっぱりアレなのかな〜」

「え? アレって……?」

「ここって内陸でしょう」

「内陸って、海から離れてるってこと?」

「ええ、そうです。本州から渡って来た開拓の人たち、私らのご先祖さんですけどね、今みたいに飛行機でいきなり内陸に着くなんて出来ない時代ですから、舟で海を超えて北海道に来て、河口から異民族の小さい舟使って川昇って来て、なんも無い原生林を開拓してったんでしょうけど、当時の川って今みたいに整備されて無かったから、ちょっと雨でも降ったら、もう、とんでもない激流に様変わりしたろうし、そこを荷をいっぱい積んだイカダみたいな舟で昇るなんてね〜。舟ひっくり返る場所って決まってるって言うでしょ」

「………その……舟が何艘も転覆した地点に橋が掛かってるの? だから、ここで………」

「そうとしか思えないんですよね。ここでブラ下がったの一人や二人じゃないですから。あ、もうすぐその橋に差し掛かりますけど、どうします?」

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