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プロローグ

 遊びに行ってみたい都道府県に北海道を選ぶ人が多い。だが元々は異民族の土地だ。だが当時の日本人ーー和人からは蝦夷地と呼ばれていたのを意識する人は現代では少ない。今でも北海道弁の一つにある本州のことを内地という言葉を使う年寄りは残っているが、そんな年寄りでも自分達が住む北海道のことを外地とは言わない。


 蝦夷地の異民族は文字を持たない狩猟民族であった。農耕民族だった和人とは文化の違いからか次第に摩擦が生まれていきシャクシャインの戦いに発展したという。その戦争は幕府軍が蝦夷地の異民族をだまし討ちにして終息している。


 しかし、コロポックル伝説という神話のようなお話が、北海道の或る地域では今でも残っている。それは和人との戦いに敗れた異民族のお話ではなく、もっと古くからの先住民族が北海道にいて、そも先住民族がコロポックルだ、という説だ。

 何処かへと去って行った先住民族。その先住民族が去り際に異民族に吐いた言葉ーー呪詛があると言う。だが、何故かその言葉が現在の地名ーー日本の地名として残っているのが北海道だ。


 蝦夷地ーー今で言う北海道は多くの観光客が春夏秋冬の区別無く訪れるようになって久しい。……が、この土地は異民族が虐げられた歴史の上に成り立っている。更には幻の先住民族が追われた土地だ。そして、そんな蝦夷地を開拓していった和人にとっても北海道は楽園などではなく、「人柱」を余儀無くされたはずだ。


 映画八甲田山のモデルとなった、近代の山岳史では世界最大級の山岳遭難事故「日本陸軍冬季軍事訓練(参加者210名中199名死亡)」では観測係であった看護兵が記録を残す事も出来ずに全員が死亡しているため正確な気温は判っていないが、後の研究・調査ではマイナス27度前後だったろうと発表されている。地球温暖化によって北海道の平均気温も年々上がっているらしいが、帯広、北見、旭川では、今でも最低気温がマイナス25度を下回る日が毎年一日はある。北海道が蝦夷地と呼ばれていた頃であれば、マイナス30度も珍しくなかったのではないか。どれほどの人が事故だけでは無く、飢えと寒ーー想像を絶する気象環境によって希望という人が持つ最後の砦を粉々に打ち砕かれ、絶望の果てに死んでいったのだろう………


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