東の国
そんなある日。
伝書鳩が封筒をくわえて、彼の住む部屋の窓に飛んできた。
彼は、鳩にありがとうとお礼を言い、手紙を受け取った。
しばし、離ればれになっていた友人からだった。
友人の名は、サトル。
サトルは機械文明の栄える「東の国」に住んでいた。
ハンスとサトルは、数少ない友の一人であった。
ハンスはどちらかというと、この国の大衆になじめないタイプの人間であった。
子どものころ、魔法とは、そう・・・もっと、人類の未来を明るくするような夢にあふれたものであったはずだ。
はじめは学会から袋叩きにされ異端と見做されていたシュタインベルグ博士であるが、彼の提唱し続けていた「人間の精神エネルギーが物理学の法則を変える」ことが、によって証明されたことを皮切りに、本格的に「魔法学」が夜明けを迎える。
ジョン・ワッツが、魔法力を取り出し、万人が手を触れずにものを動かす方法と道具を発明。
パウル・プルタンが、それを改良し、ホウキ状の棒や絨毯型のシートに乗って反重力状態を生み出し、空を飛ぶことを可能にする。
エーケンブリッズが、人類長年の悲願であった「錬金術」を可能にする。すなわち、ある原子を魔法力によって別の原子に変換するということができるようになり、一定の条件の下でたとえば塩を砂糖に変えたり、鉄の斧を銀の斧に変えることなどができるようになった。
レフト兄弟が、人類初の魔法炉を完成させ、「西の国」のすべてに魔法が普及した。特殊な技能を持った人間しか使えなかった魔法力が、それを習得していない一般人でも比較的容易に扱えるようになった。
魔法力は瞬く間に民間に普及し、貨幣経済の在り方、法律、国家の在り方までも変えてしまった。
これによって、人類は農業革命、産業革命、情報革命と続く、「魔法革命」を経験する。
既存の学問体系はすべて過去の遺物となった。
「電気」はその需要をなくし、原子力も火力も不要となった。
一方、「東の国」では、人類の旧遺産を進化させた形で機械文明が発達し、「アトム」「ドラえもん」「ベイマックス」などと言われるロボットが大量生産されるようになる。また、だれでも簡単に空中を行き来できる小さなプロペラが一般的に普及。
また、太陽系の外にまで人類は旅行をすることが可能になった。
また、光速を越える船を発明したことによって、「タイムトラベル」が試行錯誤されている段階である。
二つの文明圏が誕生し、「魔法と科学の一致」が声高に叫ばれ、何度も歩み寄りが提案されているが、両者の間には妥協しがたい溝が生じており、現代社会の第一に解決すべき課題である。
・・・ここまでは、歴史の教科書に書かれている通り。
西の国では、学校でも、魔法は必修科目になったが、その途端苦痛に満ちたつまらないものになった。
実際、社会に出ても使わないような、魔法力の公式や数字をひたすら暗記するだけ。一日時八時間以上にもわたって、ひたすら出世競争のための魔法魔法魔法。
魔法からは、創造という視点は失われ、ひたすら、数字を生み出すための労働力や生産力に換算されるようになった。
生まれつき魔法の使えない者は差別に似た扱いを受け、住める場所と言えばせいぜいたった三、四階建てしかないような鉄筋製の住宅ひとつと、ホウキ数本と絨毯があればいいほうだ。出世した人間は、島一つとか星一つなんて所有している。とんでもない格差だと思わないか?
苦しみのない理想社会が到来したなんて思っていたら大間違いだ。
人間の性質なんてものは、時代が下ろうがくだらなくて愚かであることに変わりなどない!
人間はひたすらくだらなくなった。完全に堕落してしまった。彼らは鉛筆一本使えないようになったし、文字を書けない人間があまりにも多すぎる。魔法に頼り切ってしまい、自らものを考えたり、学ぶ必要性がなくなってしまった。
洪水のような魔法情報と刺激が世界の隅々にまで行き渡る。
大衆は、真善美のことがら、つまり、本当に正しいこと、本当の幸せ、本当に美しい物事について考えたり求めたりすることよりも、生活をうまくやるとか、とにかく暇つぶしのための楽しい出来事ばかりを求めることでそれ以上のことを求めることはないからだ。
彼ら男女は、友人のようにすぐに気軽に交際をはじめ、カフェや遊技場で大声で騒ぎまくる。そのことを自慢するために、お互いに相手をどこかで自分のステータスのために利用している。そんな彼らも、成熟した魔法産業社会の単調さと過酷さに疲れ果て、愚痴をこぼしながら日々を過ごしていく。愛とか夢すらも、消費されていくものになった。
ハンスはどうしてもそのような人を大切にする仕方ができなかった。それに、魔法もそこまでうまく使えた方ではなかった。
しかし、霊能力のほうは優れていたようであったが、そんなものは何の役にも立たない上に邪魔なしろものだ。
次第に、ハンスは周りから不思議がられ、一人ぼっちになり、孤独を好むようになった。
ハンスはその時は、少し寂しく思ったものだ。
しかし、それは、時を経るごとに充実感に変わっていく。
ハンスは「自分の世界」を見つけたのだ。
前述したように、パウロからもらった一本のギターに彼は没頭していく。詩を書き、曲を作り、魔法の修練はそっちのけで、寝る間も惜しんで毎日それをいじっていた。無論、あくまでも没頭した趣味としてであるが。無論、出口の全く見えない慰めにしか過ぎなかっただろうが。
それでも、何をしていても、ハンスの心はどこか違う。寂しかった。それが何なのか分からないまま、心の空白を埋めるように、あれやこれやに熱中しては飽きてを繰り返しながら少年は青年になっていった。
*
ある日、同じようなタイプの人間に出会った。
それがサトルだった。
出会ったきっかけというのが、こっそりと禁を犯して彼が東の国への旅行しに行ったとき。
ハンスはついに、安いホウキを手にいれ、操縦のための免許も取得し、教会には留学と称して、東の国にふらりと一人旅をしにいく。ハンスが17歳の時のころである。
東の国の憧れのアーティスト、ユタカのライブに行くためである。
無論、そんなことは西の国の「決まり」で禁止されていた。だけど、ハンスにとってそんな決まりのすべてが、自分たちを守るためでは決してなく、戦争をしたり利権を守りたい西の国が人を縛りつけるために制裁と恐れで縛りつけている無意味なものだとしか思えなかった。また、「脱国」は確かに罪であったが、警備や監視と言われるものはそこまで徹底されていたわけではなく、ハンスの周りにはうまく官吏(役人)の目をすり抜けて東の国まで行って戻ってきたという友人がいた。
というか、国に申請すれば、東の国への入国許可は簡単に得られるのであるが、未成年にとって実にその手続きは煩雑極まりないのである。官吏もわざわざそんなことをするのも面倒くさいというような態度を口には出さないまでも態度で見せる。
それゆえ、未成年の酒、たばこ、運転のスピード違反、信号無視同様、無許可で国境を越えることは割合「暗黙の了解」のようなものであった。もし見つかれば、「運が悪かった」ということだ。
ホウキといっても、昔の物語の魔女が乗っているような掃除用の道具を想像してもらってはいけない。
ハンドル、ライト、様々なギアがついており、「尻尾」の部分のデザインにも気を遣ったエアバイクである。
何千メートルと緩やかに上昇した。雲を突き抜け、地上が全く見えなくなる。気温の低さは無論受け付けない加工が施されている。
そこから空のハイウェイを一気に東の国の都に向けて降下していく。この瞬間が何とも言えず気持ちよかった。誰もいない天空でハンスはユタカの歌を大声でシャウトする。ずっと憧れていたシチュエーションを今実現できていることに何とも言えない爽快さを感じる。
「ひゃっほーーーーーーーう!!」
何回転もホウキを空中で螺旋状にハイスピードで飛ばしていく。何百マイルという距離を、音速にどれだけ近づけるかに挑戦しながらぶっ飛ばす。
たまに、ホウキから雲の上に飛び降り地面に向けて真っ逆さまになりながら、ホウキを引き寄せまた乗っかるという下手をすれば命にかかわるアクロバティックな曲芸なんかをやるものもいるがそこまでの勇気はない。
この疾走感がハンスに「生きている」という感覚を与えてくれる。
まあ、しかし、出発して、三時間も四時間もそんなことをしていると疲れてくる。
もはや、東の国の国境が見えてくるころには、もう運転をやめたいと思うようになってきていた。しかし、それでも風を切りスピードに乗るというこの感覚は好きだ。
東の国は雲に届くくらいの高層ビルが何千とそびえており、パイプのような道路が空中に張り巡らされている。
東の国での魔法の使用は禁止というわけではないが、やはり機械文明の矜持(プライド)と西の国に対する敵愾心があるのだろう。白い目で見られるため大きなリュックを背負ったままビルの間をあちらこちらと歩き回った。
彼が、一夜の宿を借りるために、「テラ」を訪れたときのことだ。
東の国では、西の国で言うところの「教会」は「テラ」とか「ヤシロ」呼ばれる。
教会もテラやヤシロも、人間と精霊たちがコンタクトを取るためのひとつの社交場のような役割を果たしている。
教会同様、テラは、旅人や身寄りのない人、また貧しい人びとにとって一つの慈善的なコミュニティの役割を果たしていたと言ってもよい。
高級な宿に泊まることのできない旅人はテラを宿として利用する。
ハンスには教会に住まう精霊だけでなく、テラにも住まう精霊たちとも語ることができた。
テラに集う精霊たちはまた西の国の精霊たちとは違った姿かたちをしていた。しかし、その性質は場所が違っても、時代や文化が変わっても寸分の違いはないことをハンスはすぐに悟った。
テラの精霊の一人がハンスに告げた。
「求めている人。会う。近くで。じきに。」
精霊の声というものは、いつも長い文章ではなく、霊感を伴った単語で雷鳴のように与えられる。
ふと、何気なくとなりの同年代と思しき青年に話しかけた。
それがサトルだった。
サトルも、あのユタカのライブに行こうとする青年だった。
精霊のお告げは真実だった。嬉しくて仕方がなかった。
二人は、一夜にして兄弟のように打ち解け、夜通し、互いの考えていることを大いに語り合った。
サトルは語った。
この世界は、現在、「勇者」と「賢者」を必要としているのだという。
時代が闇に沈むとき、宇宙は勇者と賢者を選びだし、その時代の光とするのだと。
宇宙はそれぞれ一定の周期で、勇者と賢者をこの世界に遣わす。
最も最近現れた勇者の名は「レン」。とはいっても二千年前。
賢者のほうは三千年前。名は「アウレリウス」。
君も二人について学ぶといい。
現代は、ちょうど、占星術で言うとちょうど、勇者と賢者が同時に現れる時期なのだ。
地上では、百万年に一度、太陽が夜空に輝き、月が青空を照らす昼と夜の定義をひっくり返しちゃうような日が訪れる。理科に関しては詳しくないのだが、どうも、太陽というものも銀河の中心にある「天之御中星」を中心を公転しており、そのとてつもなく長い周期の関係でそんな現象がまれに起こるらしい。
地上に勇者と賢者が同時に現れる時期というのも、太陽と月が夜空と青空の両方を照らす奇跡的な時期のようなものだそう。
その勇者と賢者が手を結んだら、世界は本当の意味で調和し、一つになる。
それは、同時にどういうことかと言うと・・・
光の輝くところには、また大きな闇もできる。
恐ろしいことだが、この世界が魔王の手によって、滅亡してしまう危機の時代でもあるのだ。
この光と影とを「統合」させることがこの時代の一つの課題とも言える。
・・・今言ったことは、古代から現代につながる文献を通してみてもほぼ確実なことと言っていい。
「勇者と賢者とを探さなければならない。」
心が大いに高揚した。いてもたってもいられなくなった。
我々には、この時代を動かす使命がある。
ハンスは、西の国だけではなく、東の国にもある、あらゆる不条理と苦しみと悲劇とを見た。
「正義」とは、権力を持った人間の合理的な理由をつけた我が儘でしかないこと。強者が弱者に自分の価値観を強要すること。これは戦争でもいじめでも差別でも全く同じなのだ。
ところが、被害者としての自分も、また欲望にまみれた傲慢な存在であるということも自覚していた。自覚していたが、対立の中で屈服を恐れて「自分は悪です」などとはとても言えないから、悪にまみれたまま、心から、部屋のゴミを見えないところに追いやって隠すようにして、怒りながらつい「私は正しい」と言ってしまうのだ。
そして、それらの社会の持つ不条理と矛盾は他ならぬ自己自身の中にあるということ。
それから自分たちはどうしたら抜け出して幸せになることができるのだろうか・・・。それらのことは可能なのだろうか。いつの時代においても、人と人は正義という自分の我が儘を正当化するために戦い争い奪って、そしてそれでも愛を求め続けてきた。
そして、二人とも薄々感じていたように、西の国と東の国の間ではまだはっきりとはわからないものの不穏な空気が流れているということ。どちらも再び戦争の準備をしているのではないかと感じ取っていた。
ハンスの父は、戦争で亡くなった。正確に言えば・・・戦争の準備のための戦争のために。その中で起こった魔法力の暴発事故によって、だ。
そんなことを考えていると、ハンスは自分の内に言いしれない憎しみが湧き上がってくるのを感じた。自分の一生をズタボロに引き裂いた何者か・・・。
平和を求めながら、平和という理想を語りながら、一方で自分の中で抑えがたい破壊衝動が湧き上がってくるのだ。
「呪ってやりたい。殺してやりたい・・・。いや、そんなことは無理だ。そんなことをしたら、僕は悪だ。
僕は何も悪くない。被害者だ。
みんなの前で死んでやろうか・・・。死んでみんなを苦しめてやろうか。
違う・・違う・・・そうしたら、僕は完全な善をまとった加害者であるからたちが悪い・・・最悪の悪人だ。
それでもいい・・・人間なんてつまるところ皆が皆、悪なんだ。偽善者なんだ。
生きている意味などない。全員が死ぬべきなのかもしれない・・・。」
なんとかそれを抑えようとする。
「うう・・・パウロ」
彼の慈しみや優しさのことを思うと、ハンスはさらに苦しくなる。
ハンスは精霊たちとコンタクトを取ることができた半面、そうでない「悪しき者ども」が彼の心を奪ってしまうこともあった。
目の前に、立っていたのは・・・魔王だった。
魔王は、ハンスの顔をしていた。
魔王は、百八本もある腕でハンスを取り囲み、身動きが取れないようにした。
「そうだ、お前は、俺だ。」
魔王はハンスの耳元で舌を舐めるようにして囁き続けた。
「お前は、悪だ。悪そのものの代表だ。
正義を振りかざすお前こそが最大の悪魔だ。
お前は忌み子。呪われて生まれてきた子。神に捨てられた哀れな奴なのだ。
逃れられない、逃れられない。悪からは逃れられない。呪いからは抜け出すことはできない。
もうどこにも逃げ場はないよ。」
「どうしたの?ハンス?」
その言葉でふっと我に返った。
「ハンス、まるで、君の心は違う世界に行ってきたみたいだった・・・。」
「サトル・・・僕はね。」
「・・・いうな。分かってる。きっと、僕も同じようなものだ。誰しも・・・誰しもが、きっと心の中に傷やどろどろとしたものを抱えていて、それでいながら誰にも言いだすことができずに、普通の人のふりをしているんだ・・・。」
「そうかな・・・そんな風には思えないよ。」
「誰にだってある。ただ、多くの人はそのことばっかり見てはいないんだ。鈍感になってやり過ごすことでそしてそれで何とか私たちの生活というものは成り立っているんだ。」
「死んだほうがいいんじゃないか」と言いかかったが、そのことはぐっと心に抑え込んだ。
少数であれ、彼のことを愛してくれる人びとの顔が思い浮かんだからだ。
そして、テラでの一夜が明けた。
ハンスとサトルは互いにユタカのライブで熱狂した。
ハンスとサトルは再会を誓いあって、それぞれの国に帰っていった。
この熱い思いと誓いと使命を決して忘れてはいけないと思った。
それにしても、そのとき、ハンスの心の中には・・・心の奥の奥には、今は燃え上がっていないものの熱くなったままの炭火のようなチリチリとした想いがあった。
そして、同時に、その瞬間、焼けただれるような強い強い痛みを胸のうちに感じた。
ハンスは目の前が白くなり、めまいがしたかとおもうと、吐いた。
どうしても、どうしても、どうしてもハンスにとって必要なものは・・・ハンスの命を救うものは、手に入らない。手に入らないほど遠く遠く、そして危険な場所にある。
ハンスの命を救うものを手に入れようとそこに踏み入れたが最後、ハンスは殺されてしまう・・・。
そんなイメージが、強烈にハンスの脳裏を駆け巡ったのだ。
ハンスに「悪しき者ども」が誘惑をかける。
同時に、精霊たちも彼の助けになる。
まだ、いる。
まだいるはずだ。
出会っていない誰かが・・・!出会わなきゃいけない誰かが・・・!
心の中で、強く強く念じた。
こうして、心の中で強く念じることがすぐに現実になるなんて期待しては裏切られることなんてことは多いのだけれども・・・。
こんな何千人が交差していく街中で、その「誰か」と出会うことなんてありえないことだが、ハンスはあたりをキョロキョロと見まわしてしまうのだった。
東の国でもテラだけではなく、教会の聖堂も存在する。
教会で育ったハンスは、この場所が落ち着ける場所だった。そこで、一息落ち着くことで、何か見えてくるものがあるかもしれないのだ。
精霊たちに心のチャンネルをつないでも、彼らはなにも答えない。どうすればいいのか。どこにいけばいいのか。
ハンスはあきらめたように、聖堂をあとにする。
ハンスは聖堂を出てホウキで飛び立った。
同時に、同じ年くらいの少女がそこに小走りでそこに入ってきた。何か急いでいたのだろうか。
強く強く念じたことは、たいがい目の前に現れるという形を取っては叶わない。予期せぬ形で背後や横から不意に訪れるものなのだ。
・・・そして、ハンスはそのふっとやってきたチャンスを・・・!
「あ、あの少女は・・・!」
髪型も身長も変化していたが、あの亜麻色の髪の毛とつぶらな二重の瞳だけははっきりと思えている。同じだ、同じものだ。しかし、彼女の正体がいったい何だったのだのかやはりおぼろげだ。
少女は小走りで聖堂のわきを抜けて、あっという間に離れていった。
まだ、声がかけられる。声がかけられる距離なのに・・・彼女は遠ざかっていく。
「あ・・・あ」と喉から声が出かけながらも、だけど、だけど・・・
話しかけることができなかった!
引き返して挨拶をすることすら、遠慮を感じていた!
その場で立ち止まりながらも、時間が迫っていた。
夕闇の中、ホウキを飛ばしながら、この少年の頭は一つのことでいっぱいだった。
・・・彼女は、どこかでみたことがある・・・そうだ・・・!!
ああ、そうだ、そうなのだ!だけど・・・だけど、誰だ?
ハンスには、青空の美しさも、夕日の煌めきも、雲の間の疾走も、何もかも頭に入らなかった。




