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第78話 「レモルン の 町」

14話ぐらいから大幅に書き直しをしようかと思っています。

読み直して、自分の中で最低限で急ぎ過ぎているような文章になっているので、内容とか色々と追加したいと思っています。マップを作っていて色々と不都合が出たもので。




「クスノちゃん、大丈夫ですか?」

「っ!………だい…じょう…ぶ」


 他の人に比べれば表情に乏しいクスノちゃん。

 同じようにシュウ様に拾われて、一緒に過ごしてきた私だからその表情は読み取れる。

 だけど、なんでそんな顔をしているかが分からない。

 今のクスノちゃんの表情は、一歩間違えれば死んでいたという恐怖ではなく、何かに耐えるかのような悔しそうな表情をしている。


「………悔しい」

「え?」

「シュウ様に…任せた…って言われたのに…」


 クスノちゃんに言われて、私にも理由が分かった。

 私もずっと心の端に引っかかっていたことだから。


「…クスノちゃんだけの責任じゃないですよ。私やセナちゃんだって同じように任されたのに、時間稼ぎぐらいしかできなかったから…」

「そうですよ!ゴブリン・キングは、ベテラン冒険者が数人掛かりじゃないと苦戦するような相手ですからねー。寧ろ、ゴブリン・キングを相手にしてよく生きていたなって感じですよ!命があるだけすごいことなんですよー!」

「……うん。そう…だね…」

「私もまだ危なっかしくて魔法が使えませんし、戦い方に関してもまだまだ。それに、3人での連携も甘いです。でも…それはつまり、まだまだ伸び代があるということでもあります!生きている限り、まだどうにかできますって!」

「クスノちゃん、私もそう思います。私たちはシュウ様に拾われました。でも、そのシュウ様と比べれば私たちはまだまだです。少なくとも、自分の身を守るのにも…まだ足りません。頑張りましょう…!」

「うん………!」






 仕留めたラッシュホーンやゴブリンの魔石、ハーピィやバラバムの素材などを粗方あらかた回収してゴルドーさんの馬車へと戻る。

 抉れた地面を魔法で平らにした道を馬車で通り、レモルンの町の南門へと向かった。

 ラッシュホーンの群れが襲ってきたとはいえ、門の僧兵は通常通り仕事をしていた。と言ってもエリィたちを見て、一瞬嫌な顔をしたのは見逃さなかったけど。

 また魔物の群れが襲ってきたら堪らないし、監視する意味でもピリピリするのもしょうがない。

 それに、門のところに居たのであればストロングホーンが吹っ飛ばされたのを見ているだろうし、人間以外(エリィたち)がいるのもあって余計に警戒させてしまったようだ。

 『フリーズ・ロック』で一帯を凍らせたのも見えていただろう。


「あっ…!」


 南門の内側、レモルンの町へと入ったすぐの場所で魔物の大群が襲ってきた後処理をしているのか、刃物で皮と肉に解体している場所に数人掛かりでバイソンのようなラッシュホーンを引きっている。

 その中に、レインムル山の土砂崩れを起こした冒険者たちも混ざっており、こちらに気が付くと頭を下げてきた。妹が呪われているというあの獣人のパーティだ。

 僕たちがこの町にきたタイミングからして、帰ってきて間もなく魔物の群れが襲ってきたのかな。

 こっちにいるエルフ(エリィ)狐耳族(クスノ)ドワーフ(セナ)を見て、物凄く驚いた顔をしている。聖都手前のこのレモルンの町に来るまで、ほとんど人間以外を見ていないからなー。うちのパーティメンバーを見て驚くのも無理はない。

 人間以外に排他的なこのレイラント神聖国に、このんで態々(わざわざ)観光に来る物好きは少ない。必然、町中や道中ですれ違った馬車や冒険者の中にいる獣人は、護衛か教会に呪いを解いてもらうためにこの国に来た者ぐらいしかいない。


「シュウ殿、お知り合いですか?」

「ええっと、まあ…以前、顔を見たことがあるというだけですが…」


 監視に出したスケルトンたちは、物陰に上手いこと隠れているために町の人には気付かれていないようだ。あの冒険者たちにも。

 土砂崩れで出会ってからまだ数日。僧兵や教会関係者の接触はまだなさそうだ。

 ふと、視線を感じて、ラッシュホーンの処理や外壁の修復を眺めるように探ってみると、こちら…細かく言うならスイファと呼ばれた獣人のパーティを見ているようだった。

 目的はあの土砂崩れの偽装を依頼したパーティかな?

 それとなく他にも探ってみれば、ラッシュホーンの処理をしている人の中、外壁を修復するために石材を運んでいる人、物陰、物見台のような高所などからも見ている人がいるようだ。

 その中には、こっちにも視線を向ける人がいることから、獣人に対して良い感情を持っていない人が向けているものかな。


「あの、シュウ様。視線が…」

「うん、分かってる。大丈夫だよ」


 当事者であるエリィやクスノ、セナは気付いているようだ。

 というか、チラチラ見てくる人の多いこと多いこと。…よく探らなくてもいるじゃん、そこかしこに!

 そういえば、ドランさんとノイアさんの話の中にあったっけ。

 このレイラント神聖国では、人間以外には奴隷を相手にするみたいに、殺しだろうが強姦だろうが何をしてもいい。という暗黙の了解があるらしい。

 そんなことが許されているのであれば、興味本位で見てくる分にはまだ許す。けど、もしエリィたちにあまりにも(敵意や)不快(性的)な視線でも向けてこようものなら魔力で威圧するのも辞さないし、手まで出そうとすればその時は………。

 少なくとも周りからちょっかいを出してこなければ、そんなことはしないし、する必要もないんだけどね。

 ゴルドーさんが南門から町の中心へと馬車を走らせた後、東へと曲がる。どうやら宿はその辺りにあるようだ。

 レモルンの町は、聖都手前の町だけあってかなり大きい町だ。

 ただ、ルイズリーの町の赤いレンガの景観と違って、お国柄、教会の影響が強いためか、町の中は白い壁と丸い景観の建物が多かった。


「では、宿の者に話をしてきます。シュウさんたちは休んでいてください」

「ありがとうございます」


 レインムル山を越えるために、馬車を魔法でリフトみたいに上下に移動し、山を下りれたかと思えば魔物の大群との戦い。と…思ったより濃い日だったな。魔法の使い過ぎで流石に疲れた。今日は早めに寝よう。


「なっ!話が違うじゃありませんか!!」

「はんっ!亜人がいるって分かってたなら、最初から断ってたよ!!」

「亜人という言い方はやめて頂きたい………!」

「どう言い繕っても、変わりゃしねぇよ!」


 うへぇ。今日はもう終わりかと思ったら、まだ続きがあったわ。さらなる面倒事っぽいし。勘弁してほしいね。


「どうしました?こちらまで聞こえてきましたけど」

「シュウ殿。…いえ、他所へ行きましょう」

「…良いんですか?」

「構いません。ただ、宿を見つけるまでもう少しかかってしまうので、シュウ殿たちにはもう少し迷惑をおかけしますが…」

「こちらは構いませんよ。まあ、店主があんな感じでは、こちらもあまり良い気分はしませんからね」


 この国にいる以上は、ずっとこんな感じではありそうだけどなー。

 我慢や目をつぶって妥協するか、好きにするか(・・・・・・)

 集まってくる呪われた人の中には、獣人やドワーフはそれなりにいるだろう。エルフはあまり森からは出てこないみたいだから、いないかもしれないけど。

 ゴルドーさんには悪いけど、魔法で住居を、警備をスケルトン(配下)達に任せられるから、宿に泊まるより快適なんだよねー。

 近くのダンジョンを攻略しに行っても、同じようにできるし。






「すいません、シュウ殿。宿を見つけるのに時間がかかってしまい…」

「いえ、お気になさらず。この国に来ると決めたときからある程度は予想していましたので」


 まあ、想像以上に迫害が酷かったけど。

 ゴルドーさんが許可を取れた宿は、しくもあの獣人がいるパーティが泊まっている宿だった。

 このパーティと出会ったときは僕一人だったため、僕のパーティメンバーとは初対面だ。一応この町の中に入ったときに見かけたかもしれないが、たまたま食堂で顔を合わせたときに酷く驚いていた。

 向こうのパーティは人間が5人に獣人が一人だけど、こっちは全員種族バラバラだもんね。

 食の好みや文化がまるで違うために、違う種族でパーティを組むのはあまり推奨されない。同じ種族でも少なからず揉めるのに、異なる種族同士なら尚更よく揉めるらしい。

 食事を終えた夜、寝るためにランタンの明かりを消して寝床に入った頃。

 宿を囲うように複数の人間が集まってきた。

 というより、元々僕たちを見てくる視線自体は多かった。

 ただ、多すぎて、人間以外を嫌っている人たちが見ていたものなのか、盗賊団『蛇の牙』と繋がっているやつが監視させていたのかが分からなかった。

 宿に入ったお陰でエリィたちを見る視線がなくなり、嫌っているだけの人間の視線はほとんど感じられなくなった。

 そのために、この宿を監視する奴を特定できるようになった。

 態々こういうタイミングを狙って来るぐらいだから、隠れて荒事をするのに慣れているんだろうが、こっちにはそれ以上に見つけられないやつら(スケルトン部隊)がいるからね。ぬるぬるい。


「………」


 来たか。

 サーチフィールドで、宿の敷地内に侵入したのを確認してベッドを出る。


「………シュウ様」


 クスノも僕と同じ物に気付いたようだ。クスノの場合は物音かな。


「良いよ、寝てて」

「…私も行く」

「僕が個人的に用があるだけだから」

「それでも…行く」

「…分かった。けど、無理はしないでね?」

「…大丈夫」


 答えるまでに間があったな。

 食事のときぐらいから少し上の空だったし、ちょっと心配だな。念のため、テールナーに護衛を頼んでおこう。

 町の中に魔物スケルトンが複数入ってきてるのに、誰も気付いてないし。

 音を消して部屋を出ると、近寄ってきたスケルトン部隊に指示を出す。

 護衛するべきゴルドーさんたちを基本に、エリィとセナが寝ている部屋、それとテールナー自身にクスノを。

 それと、申し訳程度に冒険者たちの入り口にも1体ずつ配置しておく。助けられる範囲で死なれたり怪我でもされると目覚めが悪いし。

 サーチフィールドで探りながら裏口へと向かおうとすると、宿の裏口を開けようとする人がいた。

 って、宿の主人じゃないか。

 主人もグルなのか。

 なるほど。他の宿では断られるはずだ。

 そして、この宿で人間以外が死んでいても誰も気にしないと。

 今回はサーシャ王女というオマケ付きだしな。一緒に始末できて、後始末も楽だろう。

 王女を殺してエリィたちや、冒険者チームの獣人の所為にすればいいんだし。

 濡れ衣でも、この国にいる以上は誰も庇ってくれないだろうしな。

 そう考えたら腹が立ってきた。

 一人残らず確実に捕まえるとしよう。

 宿の裏口で、宿の主人とやり取りした後、数回に分かれて合計10人が中に入ってきた。

 これで全部………って、遠くから宿を監視してる人が3人もいるじゃん!しかも別方向に。

 ダメだ、侵入者こいつらだけ捕まえても意味がないな。

 ちょっと、こっちの数足りないんだけど!

 ってもう部屋の近くまで侵入してきたし!

 あーもう!先手必勝!スパークボルト!

 かーらーの!ウォーターバブル×3!

 よし、外の監視役はツァロに回収に向かわせよう。

 これで向かってきたやつらは全員捕まえたかな。

 さて、問題はどこに捕まえておくかだけど…。

 ………どうしよう。すごい今更な問題が出てきた。

 誰にも見つからなくて、僕の管理下における都合の良い場所か。………ダンジョンしかないな。

 今から一つ攻略しに行くしかないかー。今から攻略しにいくと、一晩寝れない…。

 こんなことだったら、暗殺者を仕向けずに宿ごと焼き払おうとしてくれた方が、一斉に片付けられて楽だったのに!

 『蛇の牙』と繋がっているやつは、絶対に酷い目に合わせてやるからなー!




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