表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/79

第56話 「あの ダンジョン は 今」




 ダンジョンを一晩かけて操作し、今では立派なダンジョンへと成長した。

 どれぐらい成長させたかというと、この『森木』のダンジョンに入った時より1階層多い、31階層になっている。

 31階層をどの部屋からも行けない隔離部屋にして、ガルの繭が襲われないようにしている。

 そして、30階層をボス部屋と宝物庫(ダンジョンボックス)にして、それ以外を大体入ってきた時と同じように配置する。

 ただ、このダンジョンに人が偶然入ってくる可能性も考慮して、1階層からカッターリーフとトレントを擬態させて配置している。

 侵入者がいた場合、即座に下まで連絡させるためだ。

 そして、『怨恨』のダンジョンのスケルトン部隊を育てた方法で、ウッドゴーレムを強化する。

 と言っても、方法は簡単で、ただひたすら組み手をさせておくだけなんだけど。

 魔法生物って疲れ知らずだから、ずっと組み手をさせていても問題ないんだよな。

 だから、29階層でウッドゴーレムとトレントに軽く戦わせておく。

 トレントは『自動再生Lv1』のスキルを持っているから、傷付いても時間をかければ回復する。

 ウッドゴーレムは『頑丈Lv1』のスキルを持っているから、ちょっとやそっとじゃ傷が付かない。

 仮に傷付いても、ダンジョン内にいる魔物は、ダンジョン内の魔力を取り込んで回復していく。これはかなり時間がかかるけど。

 スケルトン達は、『復活Lv1』っていうスキルがあったから、コアを壊さずに倒すように戦わせれば、何回でも訓練させることができる。

 ただ、スケルトン()などの()魔法生物系()は、疲れを知らないし疲労っていう概念もないからこそできることなんだけど。

 スケルトン()などの()魔法生物系()が動きを止める時は、彼らなりの食事である”周囲から魔力を取り込んでいる”時ぐらいなので、ダンジョンのように、常に魔力に満ちている場所なら食事の必要がない。

 これがただの生物ならローテーションを組んで絶対に休ませるけど。

 ついでに、31階層にウッドゴーレムやトレントを召喚して、果樹園を作ってもらっている。

 果樹は時間がかかるだろうけど、植えておいて損はないはず。


「これで防衛は大丈夫かな」

「シュウ様は何を相手にするつもりなんでしょうか…」

「どう考えても過剰防衛」

「そうかな?」

「植物系の魔物は、見つけるのがとても困難」

「ウッドゴーレムとかトレントって、深い森の中にしか出てこないと思います」


 僕みたいなのが他にもいるかもしれないし、過去に勇者が召喚されたのなら、そう言った人がその内ここに来ないとも限らない。

 だから、言うほど安心できないと思う。過信は禁物。


「とりあえず、ルイズリーの町へ向かおうか」


 30階層のボス部屋の脇に作った部屋へと移動する。

 森に溶け込んで、見えない完全な隠し扉で作っておいただけあって、近付かれても気付きにくい。。

 そして、扉の中にあるのは、10m四方の部屋の床に描かれた(トラップ)用転移魔方陣。

 転移魔方陣にはランダムで飛ばすものと、一方通行、相互移動の魔方陣があり、今回この部屋に置いたのは条件付相互魔方陣だ。

 これで、30階層と1階層のとある場所をつないで移動する。

 僕は、このダンジョン内なら『ダンジョンワープLv1』でどこにでも移動できるけど、クラスが違うエリィとクスノにはそれができない。

 だから、二人には転移魔方陣を使って移動してもらう。

 逆に1階層から30階層に誰かが入ってくるのを防ぐために、とある条件を満たさないと魔方陣が発動しないようになっている。

 『森木』のダンジョンを3人で出て、ルイズリーの町へと向かう。

 移動しながら、昨日確認してきた手持ちの6つのダンジョンのことを思い出す。


 『怨恨えんこん』のダンジョンは、一番初めに僕が攻略した呪われたダンジョンで、今ではスケルトンたちの育成の場所となっている。あと、食べられるキノコの栽培をお願いしている。

 『森林』のダンジョンは、新しく攻略した『森木しんぼく』のダンジョンと同系統のダンジョンで、ガルが元いたダンジョンだ。このダンジョンがレギオン・ビーの住処になっていて、蜜の元になる花のある魔物と共生させて養蜂をしている。

 『藻原そうげん』のダンジョンは、湿地草原のような水に浸ったダンジョンで、水の中から生えている背の高い藻が森のように広がっているダンジョンだった。ここで米のような穀物とレンコンのような野菜を育てている。

 『蓄輪ちくりん』のダンジョン内にある竹のような木は、成長するときに何故か中心を避けて成長していき、雨が降るとその中央に雨水を溜める性質を持っている。木の見た目はバオバブの木みたいにずんぐりむっくりなもので、その木が群生しているダンジョンだった。ここでは、木の中心の溜まった水の中で自生していた、シャボン玉のようなプルプルとしたバブレープというブドウのような果物があった。

 『筒窟とうくつ』のダンジョンは、筒状の洞窟が幾重にも縦に横に迷路のように繋がっているダンジョンだった。ここでは、筒のような巣に蟻型の魔物がいる、簡単に言えば蟻の巣だった。この蟻が土を食べて吐き出したものが、レンガより丈夫で建材として利用させてもらった。

 最後の『傘岳さんがく』のダンジョンは、山岳系ダンジョンで、上に上っていく形のダンジョンだった。そして、羽毛布団に使っていたコケコットンという鶏を2mぐらいまで大きくしたような魔物がいたので、飼育してる。ダンジョン内に魔力が満ちてさえいれば、問題ないとか。その卵もとても美味しいし。

 見事に食べ物ばっかだな。美味しいから良いけど。

 こうなると、海にあるダンジョンとが欲しくなるな。

 それぞれのダンジョンに、『怨恨えんこん』のスケルトンや『森木しんぼく』のウッドゴーレムのように防衛用戦力も置いている。

 その内ダンジョンを、友人から聞いたビオトープってやつにするのも良いかもなー。

 友人曰く、ビオトープっていうのは、簡単に言うと自然界の生態系を人工的に作り上げたものらしい。環境を作ることで自然保護を目的にしているとかなんとか。

 環境を作ることで、植物、動物、果ては微生物までの自然界のバランスを知ることができる。

 外来種や森林の伐採などの環境の変化で、この中の一つでもなくなると、生態系のバランスが崩れていくんだとか。

 仮に、植物がなくなれば、虫や草食動物がいなくなり、虫がいなくなればそれを食べる小動物や鳥がいなくなる。草食動物がいなくなれば肉食動物が居なくなり、その死骸を分解してくれる微生物はいる。けど、その養分を吸収してくれる植物がいないと意味がない。

 小動物や鳥は植物の木の実を食べて移動した先で糞を落とすことで植物の範囲が広がるけど、それもなくなる。

 さらに、山の中にある植物や森林は雨が降った時の水を土の中に溜め込み、川としての流れを作る役割を持っている。

 もし山から森林がなくなれば、全てが垂れ流しになって川が氾濫し、洪水がおこる可能性があるとか。水に流れを作らないと、水がどこに流れて良いかわからずに溜まっていく。

 人にどうこうできないからこその自然だとも、友人が言っていたな。

 一つの種がいなくなると、それを天敵としていた種が爆発的に増えて、環境を壊す。

 小さな虫、それも害虫と呼ばれているものでさえ、自然界には役割というものがあるから、人の都合で絶滅させるのは果たして正しいのか分からない、とのこと。

 自然破壊の結果、絶滅するものがいたとして、それを人の手で種を存続させようとするのも、ただの我がままだとも言っていたな。

 それを思い出したから、ダンジョンの外での魔物の扱いを知りたかった。

 ダンジョンは周りの環境を反映するから、この世界の自然環境の勉強にもなるし、個人的に興味もある。

 魔物も、もしかしたら独自の生態系を持っているかもしれない。

 ホップリという魔物が、ほぼ全ての魔物の餌扱いだと冒険者ギルドで聞いたときに、このことを強く思った。

 案外、強力な魔物が生まれる条件っていうのがあるかもしれないし。

 ガルは鑑定で出ない新種の可能性もあるし………。本当に何になったんだろうね、あれ…。シグの館にあった書物にも書いてなかったんだけど…。


「シュウ様、どうかされましたか?」

「百面相してる。シュウ様」


 色々と思い出したり考えたりしてたのが、顔に出ていたみたいだ。気をつけよう。


「いや、なんでもないよ」


 ステータスが上がって、エリィとクスノの身体能力は始めの頃に比べると物凄く高くなった。

 それなりに速度を出して走っているけど、二人とも難なく付いてこれている。それどころか、僕より先行していたぐらいだ。

 そして、ルイズリーの町を囲む壁が見えてきた。




魔物図鑑作るなら、植物とかのアイテム図鑑も作りたいなー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ