第55話 「ダンジョン の 利便性」
■2017/01/07 真ん中ちょっと下ぐらいに4行ほど追加しました。ダンジョンの階層数が減っていないことの説明を入れました。
呪いの効果でLv1のままのはずなのに、ガルが繭玉にクラスチェンジしたのも意味が分からない。
けど、それよりも僕のクラスであるダンジョンテイマーの条件を満たしたっていうのも意味が分からない。
『ダンジョンワープ』と『配下外部召喚』っていうのか。鑑定っと。
●スキル:『ダンジョンワープLv1』
説明:従えたダンジョン内にいる場合、任意の場所にワープできる。また、従えたダンジョンコアからダンジョンコアへとワープできる。一度に移動できる人数はスキルLvに依存。
●スキル:『配下外部召喚Lv1』
説明:ダンジョン外で、魔物を召喚することができる。一度に召喚できるレベルと数はスキルLvに依存。一度使うと24時間使えない。
これまた便利なスキルだな。
『ダンジョンワープLv1』は、Lvの都合で基本的に僕一人だけの移動になるけど、ダンジョン内に入ってしまえば、罠の一つである転移系魔方陣を使って、エリィやクスノの移動もできるから問題ない。
今回攻略した『森木』のダンジョンと、6つある内のどれか一つを移動用ダンジョンにすれば、例え侵入者がいたとしても、それ以外の5つのダンジョンは無事になる。
この移動スキルを持っていると、大陸内外の移動がとても楽になる。
シグに、この大陸のことを教えてもらった時、このアルファルディア大陸はかなりの広さがあることを知った。
正直なところ、自動車や新幹線、飛行機があった前世と違って、この世界の移動手段は限られている。
基本的に徒歩で、良くて馬車がある程度だ。
そんな移動手段しかない状態で、日本国内(378,000 km²)を移動するのも大変なのに、それ以上の広さがあるこの大陸の移動はかなり困難だ。
だから、この移動スキルがあるのは、世界を見て回るのにとても助かる。
その土地のダンジョンを攻略しないといけないとしても。
そして、今回手に入れたもう一つのスキル『配下外部召喚Lv1』。
このスキルは、ダンジョンの外にいる時に、自分の配下である魔物を召喚できるっていうスキルのようだ。
陸上用なら足になる魔物を喚んだり、海で海上を移動する魔物を喚んだり、山を空飛ぶ魔物に乗っていったりできる。
ただ、この二つのスキルを手に入れたから分かるけど、ダンジョンマスター=人の敵っていうのもあながち嘘じゃなさそうだと思う。
ダンジョンスキル持ちは、ダンジョンからダンジョンへと移動して、配下外部召喚のスキルを使って町中にドラゴンなどの大型の魔物を召喚できる。
そんなことをされると、例え王都であってもかなりの被害が出るだろう。
しかも、本来ならLv30~Lv50の人がパーティを組んでなんとか倒すようなダンジョンだ。
そして複数人で攻略した魔物を、個人が従えることができる。
だから、ちょっと魔が刺した人がダンジョンの力を使って、外部を力で支配しようとダンジョンの外で大型の魔物を召喚したりすると、間違いなく人の敵に認定される…んだろう。
「で、これはどうしようかな…」
目の前にあるのは、周りに糸を張り巡らせた7mほどの真っ黒な繭。真っ黒って。繭って白色じゃないんだな。
「あの、これってなんですか?」
「虫系の繭。物によっては、魔物の皮より軽くて丈夫な良い素材…らしい。とても貴重」
前から思っていたけど、クスノの説明ってゲームのアイテム説明みたいだよな。
「魔物の種類によるけど、クロウラーの糸は確か白色のはず」
「だよなぁ」
シグの館にあった書物でも、それは書いてあった。
そもそもクロウラーという芋虫系の魔物は、クラスチェンジ先がミラージュバタフライという幻惑系の鱗粉を使う蝶々の魔物か、ビートルモスというカブトムシの角のようなものが生えた蛾のような魔物ぐらいしかいないと書かれてあった。
後は、○○クロウラーという頭に別の名前がつくもので区別されているし、姿形も違っていた。
ということは、単純にただの白化個体のクロウラーだと思っていたんだけど、違う種類だったってことか。
「ガルはこのまま放置だな。それより、とりあえず奥にあるダンジョンコアの部屋に行こうか」
「はい」「分かった」
奥には、ダンジョンボックスとして繋がる宝物庫がある。
宝物庫の扉を開き、中へと入る。
「さて、お宝はなにがあるかね」
そこには、部屋の中央に浮かんだ深緑色の宝玉が浮かび、宝石などの金銀財宝といくつかの種子、苗木が大量に置いてあった。
「おー!良いねー!種子と苗木はかなり良いなぁ」
さて、コアに触れてっと。
これで、このダンジョンの操作ができる。
魔力を注いでひたすら魔力をDPへと変換して、片っ端から使って拡張を続ける。
初めてダンジョンコアに触れて拡張していた時に比べると、今の僕のステータスの魔力は格段に上がっている。
「あの、シュウ様?」
「核…壊さないの?」
「いや、壊さないよ。ここのダンジョンを拠点にするために攻略してたんだし」
「………今更だけど、シュウ様のクラスって…何?」
「ダンジョンテイマー」
「「………」」
話している間に、宝物庫がぐんぐんと広がっていく。
ダンジョンコアも僕らのステータスと一緒で、魔力をDPに変換するのに慣れれば成長する。
そのためには、人の魔力の鍛え方と一緒で、魔力が満タンになったら全部使うっていうのを繰り返すだけ。
始めの方はあまり貯めておけないけど、ダンジョンコアが慣れてくると許容値が上がっていく。
ふと、二人の方へと顔を向けると、二人とも唖然とした顔をしていた。
「あれ、話してなかったっけ?」
「シュウ様は、人の敵になるんですか…?」
「いや、問答無用で敵に回ったりはしないよ。ただ、ダンジョンを持っていると色々と便利だからね。例えば………」
僕がダンジョンテイマーとして条件を解放したように、ダンジョンコアの成長にも色々と条件がある。
過去6つのダンジョンを成長させて、なんとなくどうすれば目的のダンジョンへと近付けることができるのか分かってきた。
とりあえず、自分が求めている条件に近付けるためにボス部屋をある大きさまで拡張する。
その条件さえ満たせば、僕の呪いでレベルが上がらなくても、階層の数を増やすことも可能になった。
多分、普通のダンジョンでは、その条件を満たす時にレベルが上がるようにできているんだろう。
実際にダンジョンを育ててみて、集めた魔力の総合量が一定になった時が、その条件みたいだし。
ダンジョン内の体積=魔力保有量みたいだから、条件を開放するためにできるだけ部屋数を増やすか、部屋の大きさを大きくするのが確実かな。
過去のダンジョンで得た情報をを思い出している内に、ダンジョンのボス部屋にある物を配置したあと、ボス部屋へと移動する。
「さっき、ダンジョンボスと戦った時より広くなっているような…?」
「あっちの方を見てみると良い」
エリィとクスノを連れて、ボス部屋の一角を示すと、森の中に小さな川が流れていた。
「小川?さっきまで水なんて流れてなかったのに…」
その小川に面するように、魔法で土壌を耕して畑として使えるようにしていく。
森の中の土壌なだけあって、養分がとても多い良い土だ。
そして、先程宝物庫にあった種を畝に植えていく。
「こんな風に、野菜を育てることができるんだ。他にもさっき宝物庫の中にあった苗木を使って果樹園を作ったり、卵を産む鳥の魔物やミルクを出す魔物を飼育して畜産もできる。川の水を増やして溜池を作れば魚を育てることもできし…」
「シュウ様、食べ物の話しかしてない」
「でも、シュウ様らしいです」
「他にも、魔法の練習をしたり、ダンジョン内に家を作って生活もできるんだ。これで人目を気にすることなくお風呂を使えるし、危険を気にしながら生活する必要も減るし」
「他の人や魔物が入ってきたりしないんですか?」
「そこも、解決する方法があって…」
改めてダンジョンコアに触れて、魔力を流す。
それとは別に、このダンジョンを攻略している中で手に入れた魔物のコアを、スキル『モンスターコア吸収Lv1』で吸い取らせる。
そして、スキル『モンスター召喚Lv1』でウッドゴーレムを召喚する。
「このウッドゴーレムが番人になってくれるから、僕たちは安心して寝れるってわけだ」
入ってきたのが人だったり、ダンジョンの魔物に手に負えないような強い魔物だった場合、起こしてもらうことになるけど。
「ダンジョンマスターが人の敵として狩られていたっていうのは僕も話には聞いていたけど、襲ってこない限りは僕から手出しするつもりは全くないし」
ただ、僕の作るダンジョンは食料が豊富なため、それを知った人が襲ってきそうではあるけど。資源も豊富だし。
「とりあえず、今日の残りはダンジョンを操作して色々と作る準備をするから、エリィとクスノは明日ルイズリーの町に行く準備だけしておいてくれ」
「分かりました。ところでシュウ様、ダンジョンの操作は忙しかったりしますか?」
「あー…そうだね。ずっとダンジョンコアに触れていて動けないと思う」
「じゃあ、私達が料理を作っていた方が良い?」
「そうだね。お願いするよ」
魔法でいつものように小屋を作って、ダンジョンの操作に没頭する。
さて、このダンジョンはどういう形にしていこうか。
あ、後でダンジョンワープも使っておこう。




