次から次へと...アザイます
楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。
オケ。だんだん分かってきた。というか名前と顔は分かった。だが、話してくれたこと(特にライアというぬこさんが)は未だに現実味があまりなく、正直、半信半疑とまではいかないものの8割方嘘ではないと確信している。
はてさてどうしたもんか...まあ悩んでてもどうにかなるわけではないんだし。というか俺もスキルを持っていたらしいな。動物とも話せるのはスキルのおかげとのこと。
「みんな〜ご飯できたよ〜。」
おっ、ちょうど話し終わったタイミングでできたようだ。
ケモミミさんもとい、ガルジェが持ってきたのは(なんか全員呼び捨てでいいって言われたからな)、手のひらサイズで分厚めのハンバーグだった。
え、うまくできないかもって言ってたけど普通にうまそうなんだが。
ガルジェが全部用意してくれて、何故か麦が茶碗につがれてきて驚いている間に箸やらフォークやらの食器類も用意されていた。
というか、俺以外全員フォークとナイフなのに(動物たちは除く。)、俺だけ箸って...いや使いやすいからいいんだけど、なんで箸を使うのかを知っているのかって...ああ、そういえば記憶喪失らしいな。
とりあえずみんな席に着いて食べ始めたし、俺も食べるか。
ハンバーグを箸で一口大に切り、そこで気がつく。ものすごい柔らかいのだ。これはね分かりますよ。肉汁が溢れんばかりに詰まっていると。その証拠にほら上から箸で軽く押すと溢れてくるね。
そして一口。......うん。なるほどなるほど?美味しい肉汁の中に甘みが...
「これって...砂糖と塩間違ってね?」
肉の旨味はある。塩味がしないんだ。要はただ甘いハンバーグ。
ガルジェがひとくち食べ、驚いたようにその目が開かれる。
「ホントだ!えっとどうしよう?今から作り直しなんてできないよ〜...」
はあ。しゃあない。俺のところの肉汁使うか。
「なあキッチンにある調味料って使ってもいいか?」
「えっ?別にいいけど...」
よし、じゃあソース作るか。
俺はキッチンに行き、フライパンに少しだけハンバーグの肉汁を入れ、そこにケチャップを大さじ5ほどと醤油、調理酒らしきもの、みりんを小さじ3ほど砂糖を小さじ5ほど入れる。
それを火にかけ、混ぜながらアルコールの匂いが飛ぶぐらいまで火を通す。スプーンで少しすくって味見。うん。俺的にはこれが好きかな。ちなみに肉汁を入れた理由はよりハンバーグに味が馴染みやすいようにするためだ。...と俺は思っている。
ソースを器に入れ、さっきとは別のスプーンも一緒に持っていく。
「ソース欲しい人〜?」
そう聞くと、興味半分なのか、ライオン...じゃなくて、ラークライドだっけ?の三人衆(三匹衆?)、料理を頑張って作りたい様子でガルジェさん、すでに平らげた様子の、羊さんもといリーズくんとこぬこさんのファイガくん、筋骨隆々のディがさん、それとロサとレサだっけ?が欲しそうにしていた。
一応俺の好みに合わせて作ったけどいいか?と断りを入れてからそれぞれ回ってソースを掛けていった。
さて、俺も食べますかね。あれ?食べ終わったところにもかけた気がするが...まあいいか。
俺もハンバーグにソースを掛け、一口大に切って食べる。
うん。うまい。まあなしでも美味しいんだけどね。俺はこっちも好きってことだから。
にしても、塩と砂糖を間違えるって結構ベタな間違いだな。まあこれから見分けが付くようになっていくだろうから、温かく見守っていこう。あれ?俺はなんで保護者目線というか、俺が師匠みたいな感じで言ってたんだ?
ごちそうさまでした。美味しかったな。ソースありにせよ、なしにせよ。
俺はシンクに食器を置き、食器を洗うのを手伝おうかと聞いたところ自分一人でやるとのこと。いつも俺がそういう風にやっているかららしい。まあケモミミ美人さんにそう言われたら悪い気はしないな。
みんなはご飯を食べ終わるなり、遊んだり、部屋に戻って研究がなんとかって言ってたり、完全に自由だった。
さて、って何度気を取り繕ったことか。いい加減突っ込みたいんだけどさ、
「その双子はどこから湧いた?というか出てきた!?」
そうさっきからずっと喧嘩かなんかは知らんが、ちょっかいを掛け合っている男二人の双子がいた。10歳ぐらいの。次はショタ属性かよ。双子の。双子多いな!...2組しかいないけど。いや、ライオ...ラークライドの子分っぽい二頭は結構似てるから3組かな。
「あ、俺たちっすか?俺たちは...」
「なんか知らないんっすけど、こうやって分裂してしたんすよ。」
「ちょっと何いってんのかわかんない。」
おっと、ついパン挟み男みたいに言ってしまった。
「それはおそらく、『バズゴズ』の固有スキルだろう。」
そう言ってこちらに近づいてきたのは、ライアと呼ばれてるはね付き猫...キャジェルだっけ?...だった。
「ちょっと待って。『バズゴズ』ってさっき言ってた牛の頭と馬の頭が一つの体にひっついてるっていう?」
「そうだが?それがどうかしたのか?」
どうかしたのかって言われてもそもそも固有スキルって何?
「というか、普通、馬と牛なら『ゴズメズ』じゃないのか?」
「何を言っているんだ?『バズゴズ』は『バズゴズ』だぞ?」
異世界特有の常識ってことね。わかった。
「それで、固有スキルのよるものって?」
「だから、固有スキルのせいで二人に別れたってところじゃないか?」
「いや、だから、固有スキルって何?」
まずはそこを説明してもろて。
「そういえば記憶を失ってるんだったな。まあいい。固有スキルというのはな...」
要約すると、固有スキルってのは種族ごとに持っている能力のことらしい。例えば、ライアの種族の固有スキルは羽や体の大きさを自由に変えられとのこと。そして見た目通り、飛ぶこともできるらしい。ライアはあまり飛ばないそうだ。なぜなら飛ぶのが下手だからだそうだ。
そして、ライアの推測らしいが、『バズゴズ』の固有スキルは一人前になるまで頭脳役と攻撃・守備役がいるらしい。そして、一人前になった時にはそれぞれ同じ能力を持ち、双子として生きていくとのこと。なぜ人の姿になったのかは不明らしい。
相変わらずよくわかんないよな。まあ逆に面白みがあるからいいけど。...面白みってなんや。
でもさ、この双子は目つきとほくろぐらいしか見分ける方法がなさそうなんだが。というかどっちがどっちかも分からんし。
俺はその双子の様子を見てみる。
「なあバッシー、俺たちこうやって顔を合わせて話し合うことができるようになったけどな...」
「そうだなゴッシー。どうしても相手の考えが分かっちゃうよな。」
おっけ。目の下にほくろのある方がバッシーで、目付きが鋭いのはゴッシーね。よく分かった。
『蒼汰さん、蒼汰さん。久しぶりですけど、聞こえてますか?』
えっ!?なに!?急に頭の中に声が...奇妙な感覚だな。
『えっと聞こえてますよね...?...マイクもついてるし...』
あっと、どう答えればとりあえず、頭の中にいる自分が答えるイメージで...
『聞こえてますけど...どちらさんですか?』
すると、ガーンと聞こえてきた気がした後、若干涙声で
『もしかして私のことを忘れちゃったんですか...!?』
『あ、いや、その、忘れたってより知らないですはい。』
すると、本当にガーンと聞こえてきた。そして、ドスッと鈍い音がしたかと思ったら、涙声で聞こえてきた。
『うっ...ぐすっ...ひどいですよ蒼汰さん...頑張って先輩の指導(ただ自分の分の仕事をやったり、ルルナ「先輩」の手伝いをしただけ)に頑張って耐えてたのに...戻ってきたら忘れてるなんて...ぐすん』
いや最後は確実に口で『ぐすん』って言ってたな。
『本当に私のことがわからないんですか?あんなに熱いひとときを一緒に過ごした仲なのに...』
『えっ?(歓喜)熱いひとときってやっぱりそういうことを...』
『そうですよ〜私たちはあんなことやこんなことを...アデッ』
いや、今絶対可愛らしい声から聞こえちゃいけない声が聞こえたんだが。
『先輩!何度も頭をはたかないでくださいって言ってるじゃないですか!これ以上アホになったらどうするんですか!?』
先輩?ってことは他に誰かいるのか。
『ほう。アホなことは自覚しているようだな。自分のことをよく分かっていりゃ...いらっしゃってよろしい。』
『先輩、今噛んでしまってどんな気持ちですか?』
『そうだなあ、お前のこめかみをいじめてみたい気持ちだ。』
『ごめんなさい。こめかみをぐりぐりするのはやめてください。先輩がするのは本当に痛いので。』
『まあ、私もパワハラで訴えられたくないからやらないけどな。』
『じゃあなんで、さっきははたいたんですか!?』
『お前がアホなことを言ってるからだ。いくら久しぶりに見に来たら蒼汰くんが記憶喪失になっていて、分からない様子だったからって、ありもしないことを捏造していたからな。』
『言い方の問題です。』
『じゃあ、正すとしたら、お前が蒼汰くんのスキル選びの時に居眠りをかました挙げ句、ミスという言葉では生ぬるい、世界の均衡を崩しかねないことをしでかしたって言えばいいのか?』
『ごめんなさい。』
『よろしい。随分素直になったな。』
息ぴったりだね。何も状況がわからない挙げ句、いきなり頭の中から声がしたと思ったら、こんなコントみたいなやり取りされたら俺もどうすればいいかわかんなくなるね。
『っと、すまんな。そっちを放置してしまって。』
............あっ、俺に言ってんのか。
『別に大丈夫ですよ。それでどうかしたんですか。』
『やはり覚えていないようだな。まあ当然といえば当然か...』
『どういうことですか?』
『いや、詳しいことは言えないのでな、どうと言うことはできないのだが...』
とそこで切って、その「先輩」とやらが小声で
『少し、エルス...最初に蒼汰くんに話しかけてきたやつな。が少し不憫に思ってな...』
『と言いますと?』
『エルスはこの一週間頑張って仕事をした。そして、やっと蒼汰くんと話せるって楽しみにしてたのに、この有り様だ。』
それがさっきの突然泣いた理由にもつながるのか。
『そこで、だ。固有スキルによる効果を一部だけ解いてエルスに関する記憶だけ戻したいと思ってるんだが...いいか?』
別にいいんだけど、いいも何も...
『その固有スキルによる効果は解いてくれないんですか?』
『言っただろう?一部だけ解くと。そのものを解いてしまったら意味がなくなるからな。』
今日、過去一に言ってるが、よく分からん。
『後輩の面倒を見るのも先輩の役目だからな。』
『まあむしろ状況が理解できていないので、そうしていただけると助かります。』
『わかった。ということだから、エルス、これからも仕事を頑張ればたまにこういうふうにしてやるぞ。』
なんかこっちにまで嬉しい雰囲気が伝わったんだが。声無しで。
『ありがとうございます!先輩!アメとムチの使い方がうまいですね!』
『一言余計だ馬鹿。ま、今回は特別だからな。蒼汰くん、少し痛いかもしれないが、我慢してくれ。』
えっ、痛いって...
すると、一気に夢を見て、その内容を強制的に思い出させられたみたいな、こう、形容詞がたい感覚に陥った。痛くはなかった。
しかし、それよりも強烈なことが記憶の中にあった。
だが、それを信じられるわけもない。だが、それを信じるとすれば、今の状況にも多少は説明がつく。一応確認しましょう。
『いま来た記憶って本当のこと...俺の記憶ですか?』
『ああ、思い出した記憶はすべて本物だ。』
えっ、待て。本当に?ってことは俺って...
「一回死んで異世界に転生したってことか?」
『あ、私のミスで...』
まあエルスさんのミスということは思い出したから、いいんだけど。もうどうしようもないから、割り切るしかないんだけど。
さっきとエルスさんに対する感覚が全然違うから妙な感覚だけど、
『さっきよりも可愛らしく感じますね。』
『かっ...かわいらしっ...』
『あいや、褒めたんですけど、褒めたわけではなくて...なんて言えばいいかな...色々な面を見たからこそ、余計に人間らしさが強まって、いつも必死に頑張ってる感じで微笑ましいなと。...なんか偉そうに言ってすみません。』
『い、いえ、大丈夫ですよ。今日は蒼汰さんの様子を見に来られただけでも嬉しいので。それでは失礼しますね。』
エルスさんはそれだけ言い残してプツンと(おそらくマイクだろうが)電源を切ってしまった。
まあとにかく、エルスさんに関することを思い出したことで色々と思い出したこともあるしな。...あとで
少し試してみるとするか〜。
いかがでしたでしょうか?今回は久しぶりのあの方が登場しましたね。にしても、蒼汰も蒼汰で多少酷なのでは...?まああの状態ですから仕方ないと言えば仕方ない面もありますけどね。
さて、今年はどんな年になるんでしょうね?物語の展開以上に予測がつかないものです。面白くできればなと思っています。
次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。
それでは、また次回お会いしましょう。




