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便利なスキルがあるから異世界サバイバルぐらい余裕だよ?  作者: cats&ryu
第5章

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解決できそうだな。

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。


 ニタリと笑っている(ように見える)レイスを警戒しつつ、あの黒豹の元々の能力について見てみる。


“あの動物は『パフィート』と言います。素早く、重い攻撃をすることができるうえに、その爪は獲物を絶対に逃がすまいとするように、少し内側に曲がっています。運動をし続けると、身体が熱くなり発火します。しかし、その火に対して適応できる個体と、適応できない個体がいるため、その個体数は数えるほどしか存在していません。”


 なるほどね。文字通り狩りが長引けば不利ってことね。じゃあ動き回らせれば良いんじゃね!?水とかかけずにさ。だとすると、冷やすのはレイスの命を長引かせるという助長でしかないのか。目の前で死なれても困るんだけど。目の前じゃなければどっちでもいい。


 じゃあ、こうすればいいか。


 俺は空間魔法を使ってあの広い空間に行こうとしたが、よく考えてみれば、俺だけが結果と過程を見ていても仕方がない。ここで決着をつけるしかないわけか。


 じゃあもうこうしようか。


 辺り一帯の地面を凍らせ、上で多少暴れても壊れない強度にした。氷からは温度差のせいで、冷気が漂っている。


 レイスは、凍った地面を一瞥してからフンと鼻を鳴らし、その上を歩こうと一歩踏み出す。


 レイスの足が氷についた瞬間、レイスは思いっきり飛び上がり、その場から離れた。


 当たり前だ。いくら気温が氷より高いからと言って、ここまで冷気が発生してるなら、生身で触れようものなら、冷たいとか言ってられないだろ。


 それがね、肉球ならなおさら。黒豹と同じにして良いのかはわかんないけど、あそこは猫にとって唯一汗を出して体温調整ができる部分だ。そこを冷やしてみろ。体温調節機能がうまく機能しなくなって、汗をかけずに、体温が体内にこもるぞ。


 氷の上なら摩擦が少なくて進みにくいから、使うエネルギーが多くなることも含め、発火しやすくなるだろ。


 と、レイスに教えるでもなく、ただ脳内で独り言ちてレイスを見る。


 彼は指先(というより、爪先?)で氷をツンツンつついたり、ちょっとだけ肉球を触れさせたりしていた。


「そんなことをしてても無駄だ。俺が溶かそうと思ってもこれは溶けない。今決着つけたいなら、ここまで来てみろ。お前にそれができるのかどうかはわからないけど。」


 人差し指を立て、クイクイっと動かして見せれば、レイスは跳んでこちらまで来ようとしていた。


 しかし、俺は跳んだ瞬間にその場から避け、レイスの着地点に氷の小さなトゲを地面に多くつくる。


 それを踏んだレイスは、怒号のような音量で悲鳴を上げ、よほど痛かったのか、氷の上にもかかわらず、倒れ込んでしまった。


 その隙を見逃すはずもなく、氷に少し角度をつけ、その終点で横向きの、刺さったら串刺しにされてしまうような鋭さの氷を設置した。


 そのまま段々と滑っていくレイス。やっと動いていることに気が付き、目を点にするひまもなく、その速度は増していく一方。


 レイスはジタバタと暴れてなんとか止まろうとするが、爪もあまり氷に刺さらず、減速することはなかった。


 なので、トゲに刺さる直前に水の玉でレイスを受け止め、強制洗濯を開始する。


 水の中でグルグルと回転する黒豹レイスが少しかわいそうに思えてきたが、やってきたのは向こうだ。ならやり返すしかない。


 それを30秒ほどしたところで、空間魔法を使い、体についた水をすべて搾り取る。痛さとか関係ない。ひたすら絞る。


 そして、絞って乾いたところで、毛がある程度まとまったので、そこから見える地肌に氷を当てる。推定マイナス10度くらいの。


 しかし、レイスからの反応はない。顔を見ると、気絶しているようだった。


 少しやり過ぎたかなと思いつつ、耳の中に水を流し込む。寝耳に水ってね。ついでに鼻にも少しだけ水を流し込む。ほら、起きなかったら割と真面目に死ぬぞ?


 すると、レイスはガバっと跳ね起き、鼻から水を追い出すように咳やらくしゃみやらしたあと、俺を睨んできた。


「おっ、どうしたやるか?こいよ。」


 相手が喧嘩腰なので、俺も喧嘩腰になり、やってみろと、挑発をする。レイスは飛びかかってきて、俺の目の前を通り過ぎた。


 どうやら、ブレーキをかける位置がわからないようだ。俺は、滑らないようにしてるから良いんだけど、レイスはそのまま滑って通り過ぎてしまうようだ。


 こちらに戻ってこようと必死に氷をかく仕草を見て、どうしても昔見た動画を思い出してしまう。あの〜、あれね。なんだっけ。そうそう、アニメのキャラみたいな滑り方と走り方をする猫ね。あれ可愛くて笑っちゃんだよね。


 それと似たような感じの動きをレイスは今している。なんかもう、面白くなってきた。


「グルル......ガウッ、ウアァァッ!!」


 やはり、なんと言っているのかがわからないが、文句を言ってきているのは確かだろう。もしくは弱音を吐いているのかもしれない。別に、なんて言っていようが、俺からすれば、というより、レイス以外からすれば、その言葉の意図はわからない。


 とりあえず、レイスが諦めるまで粘ってみるか?いや、ここで待ってるだけで、レイスは勝手に自滅するな。となると、レイスをなんとかして動かさないといけないわけか。


「疲れて動けないんだったら、負けを認めろよ。お腹を見せればそれだけでいいから。」


 口に手を当ててメガホン代わりに使って、レイスにもよく聞こえるように叫ぶ。


 すると、レイスの顔は、先程までとは打って変わり、思いっきり顔を歪ませてこちらを睨んでくる。


 相変わらず俺に向けて意味のない唸り声を向けてきて、俺に向かって突進してくるが、またしても狙いが外れ、滑っていってしまう。


『ったく、とっとと決着つけんか。そろそろ妾も見飽きてしまったぞ。』


 モルが呆れたようにそう言ってくる。“も”ってなんだよ。他に誰か見飽きてるやつでもいるの?


『ほれ。あっちの観衆共じゃ。あの黒猫を見て冷めた目をしておる。』


 黒猫って......ドラゴンから見たら全部おなじに見えるのかな。でも確かに。みんなレイスを見て、憐れ

む目やら氷の如き冷たさの視線を送っている。


 仕方ない。このまま待っていてもモルがしびれを切らすだけだな。


 俺は空間魔法を操作し、レイスを宙に縛り付ける。そして、そして......


 どうしようか。流石に元人間だから、猛獣の見た目とはいえ、殺すのもちょっと抵抗あるし、生かしておくのもそのうちまたなにか危害を加えてきそうだし、こっからどうしよう。


 そのままどうしようか悩んでいると、観衆の中から誰かが走ってきた。


「ストォップ!お願いだからソータ、それ以上はやらないでね。」


 途中で滑ってドテンと転んでしまうも、その人物は俺の方まで来て、そう言ってきた。


 その人物はフードを深く被っていて、見た目だけでは誰なのかはわからない。しかし、その声はとてもよく聞く声だった。


「これ以上やるつもりはないよ。というか、むしろ、これをして何しようか考えたし。」


 俺が思ったままのことを話すと、その人物はホッとしたように、息をそっと吐いた。その様子に、ちゃんと無事だったのだと、少し胸が熱くなる。


「ごめんね。お姉ちゃんがどうしてもって言うから、お姉ちゃんの発明品で少し記憶をもらってたんだ。そのことを黙っててごめんね?」


 ロサだ。先ほど火だるまになったように見えた、ロサである。トリックは簡単だ。おそらく、アリサからもらった『偽装』のスキルを使ったのだろう。それにより、捕まったということを演出して、相手を油断させようとしていたのだろう。とはいえ......


「いや、ちゃんと帰ってから詳しい話はきく。まだその謝罪は受け取らない。それよりも、ロサとレサがそこまでしてしたい目的って何なの?ていうか、レサは今どこ?」


 なぜロサだけが来たのか、気になったので、少しロサに話を訊くことにした。


「今は、色々動いたあとで、少し休んでるかな。もうすぐしたら来ると思う。でね、レイス(こいつ)に仕返しをする前に、城の人達の記憶を全部変えてきた。だから、みんなこいつのことを知らないようにしたんだ。」


 ふむ。レイスのことを知っている人間をなくすねぇ......さも当然のように言っているが、割と恐ろしいことをしているぞ。


 レイスが外に出る機会があまりないのなら、城中心の生活になる。その生活圏でレイスのことを知らない人しかいない場合、即刻追い出され、手切れ金などもない、全くの無一文の状態になるだろう。もはやそれだけでも同情案件なのだが......


「あとは、こいつにちょっと苦しい記憶を与えて、戦意をなくすだけだよ。」


 またしても恐ろしいことを言ったよ。なんで記憶を与えるとかいう単語が出てくるのですかね!?記憶の改竄もできるのかよ。すげえな。


「あ、そうそう。次に戴冠させる王は別の人なんだけど、その人はソータに全面的な協力をしてくれるように頼んどいたよ。とりあえず、悪いことしなさそうな適当な人を選んどいた。」


 ん?おかしいな......耳でもおかしくなったか?


「ごめん、もっかい言って。なに?つぎに戴冠させる人は......?」


「次に戴冠させる人は、悪さしなさそうな適当な人を選んどいたよって。」


 そんな軽い気持ちで決めても大丈夫なのだろうか。それよりも、もう国操作できるとか、怖いなんて言葉じゃ表しきれないって。


 まあいいや。あとはロサがやるらしいから、ロサに被害が出ないように見守りつつ、あとは任せておこう。


「いつの間にか面白い姿になってんな。」


 突然後ろから声が聞こえ、体をビクッと跳ね上がらせてしまう。振り返ると、そこにはレサがいた。


「なるべく頼ろうとは思っていなかったんだが、先に手ぇ出されてたとはな。」


 面白そうにレイスを嘲笑するように見やる。この様子だと、最初から見ていたのかもしれない。黒豹になってるから、元がレイスだとわからないわけだしね。


 というか、なるべく頼ろうとはしないようにしてたってことでしょ?さっきの発言は。


「一応訊くけど、なんで頼ろうと思ってなかったの?」


 気になってしまったなら、その疑問を忘れないうちにきくのが吉。


「あん?ああ、そのことだが、お前にはルーナを助けてもらっただろ?」


「たしかにね。でも、俺がやるって言ったわけだし。」


「だが今回は、わたしたちが始めたことだ。ソータに手伝わせるのもおかしな話だろ?」


 まあ聞こえだけで言ったらそう思うかもしれない。


「お姉ちゃん、もう正直に言っちゃってよ〜。2回以上は大きなお願いはしないようにしてるって。」


「はあ。ま、そういうことだ。こういう性格だ。何度か頼ったらずっと頼り続けてしまうからな。それをしないためにも、なるべく頼らないようにしてたんだ。」


 なるほどね。いわゆる、こう、一種のポリシー的なものだったわけね。


「さて、お話はここまでにして、こいつを今からわたしたちの手でトドメをさしてやろうか。」


「ソータ、なんか手柄を奪ったみたいになってごめんね。あと、中々自分から言えないお姉ちゃんに代わって言うけど、ありがとね。心配してくれて。」


 そう言って、ふたりともレイスのところへと向けて歩き始めた。なので、氷を消して、滑らないようにする。


「あとでちゃんと話はきくからな〜。あと、ルーナもめちゃくちゃ心配してたぞ〜。」


 一応伝えられた。ロサがぐっと親指を立ててこちらに向けている。


 レイスの位置を下げ、二人に近づけさせると、レサが注射器を取り出してその針をレイスに刺し、なにか黄色い液体を注いでいた。


 すると、レイスから光が漏れ出て、その姿はもとに戻り、力なくそのまま倒れる。浮いた状態で倒れるとは不思議な話だが、とりあえず、地面にうつ伏せにそっと置いた。


 そして、レサとロさが何度かレイスの頭を踏んだり、蹴ったりしたあと、再び何かを注入していた。正直、踏んでいるところの顔は見ないほうが良いと思う。だいぶ凶悪な顔をしてた。


 レサの持つ青かった注射器の中身が空になると、レイスは突然苦しみだした。


「ううぅぅ......ああぁぁぁ!!」


 という、声にならないうめき声を上げて。突然の事態にざわめく観衆。先程からずっと固唾をのんで見守っていたようだ。


 それを見て、二人は満足げな笑みを浮かべたあと、こちらへと戻ってきた。ふたりともスッキリしたような晴れやかな表情をしていた。


 ......あれを見せられたあとだと、その笑みが怖く見えてくるんだが。



 いかがでしたでしょうか?今回は、蒼汰がレイスを懲らしめていましたね。結局、ロサとレサはレイスに何をしたのでしょうか?


 次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 面白いと感じたら、ブックマークや評価をぜひ、よろしく願いします!モチベーションや、物語の流れにもにつながるので!


 それでは、また次回お会いしましょう。


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