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便利なスキルがあるから異世界サバイバルぐらい余裕だよ?  作者: cats&ryu
第5章

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私たちの復讐始まり。

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。


「お姉ちゃん、やっぱり、ソータの様子におかしいところはなかったよ。どこから持ってきたかわからない変な本を読んでただけだった。」


 ソータの部屋を出て、真っ先にお姉ちゃんの部屋へと向かった僕は、確認してきたことをお姉ちゃんに伝える。


「そうか。ならいい。あまりあいつに迷惑かけれねえからな。」


 お姉ちゃんがなんか人を使おうとしないのって珍しいね。それだけソータに恩を感じてるってことなのかな?でも......


「頼らないことが迷惑にならないってことになるのかな?」


「あ?急にどうした?」


 おっと、思わず口にしてたみたい。まあいいや。思ったことをお姉ちゃんに話してみよう。

 

「だってさ、僕やルーナがお姉ちゃんに頼っても、お姉ちゃんは迷惑だって思う?」


「いや、別に思わねえが......」


「そう、だから僕は別にソータに頼ってもいいと思うけどね。」


「馬鹿かお前は。こりゃ私達の個人的な問題だ。そこに巻き込むわけにはいかねえだろ?」


「たしかにそうだけど......」


 まあでも、ここ数日ソータもなんか大変そうだったし、アリサちゃんの看病もあるから、頼らないほうがいいかもね。負担を重くしすぎて倒れられちゃったら僕も困るし。


「まあわかった。僕たち二人だけでやろっと。」


「ああ、私たちならできる。」


 これはあくまでも僕たちの帝国への復讐だしね。少し弱い気もするけど、欲張り過ぎたらよくないっていうしね。


「そういえば、ルーナはもう寝ちゃった?」


 この部屋に姿がなく、気になったのでお姉ちゃんに訊いてみる。


「今お前の部屋で眠っている。あの様子じゃ、朝までぐっすり寝てるだろうな。」


「え、睡眠薬でも飲ませた?」


「んなわけあるか。単純に腹一杯になって眠くなったんだろうよ。」


 お姉ちゃんも冗談で言ったのがわかってるのか、目元を緩め、楽しそうに言う。


 それでも、やっぱり、まだこの心の不安は拭えない。どうしても帝国の奴ら(あいつら)が怖いと思ってしまう。


「心配するな。いや、普通なら心配はしておいたほうがいいんだが......」


 僕の表情から不安に思ってたことがバレてしまったみたいだ。


「いいか?『何かを成し遂げるには何かを犠牲にしなければならない』どっかで聞いた言葉だ。これは私からすれば、間違いであり、間違ってもいない。」


 どういうことだろう。正解で不正解ってことだよね?


「何かを成し遂げたいんなら、そりゃあ、時間やら金やら何やらがなくなっていくわけだが。逆に自分の心を強くしたり、今よりも先に進むことができる。」


「今よりも先にって、帝国への復讐を終わらせるってことだよね?」


「ああ、そうだ。だから、失ったものはあれど、得られるものはある。結局、プラスもマイナスも打ち消されちまうんじゃねえか?そりゃ言葉通りに受け取れば失っているものがあるが、『成し遂げること』全体として見ればプラスでもマイナスでもない。むしろ、目的を達成できてプラスにすらなる。」


 たしかに?目的を達成できれば、結局は失ったものも気にならないか。


「要は、物の見方次第だ。こう言っちゃなんだが、過去のトラウマをアイツラから投げ渡された。だったら、倍以上にして投げ返す......いや、打ち返したほうがよっぽどいい。そこを恐れないでやれるかどうかじゃないか?」


 ......なんか、お姉ちゃんのフォローの仕方って、いつもちょっと変なんだよね。でも、言いたいことはわかるしいいか。結局、最初に言ってた通り、心配するなってことだね。でも......


 僕は椅子に座ってるお姉ちゃんを後ろから抱きしめる。


「お姉ちゃんもあまり無理しないでね。お姉ちゃんが僕のことわかってるみたいに、僕もお姉ちゃんのことぐらいわかるよ。」


 実を言うと、お姉ちゃんはさっき話しているときから、震えていた。僕と同じで、いやそれ以上に怖かったのだろう。なにせ、僕たちをかばって、目の前でお母さんが斬られるところを見てしまっていたから。


 その心理的な負担は計り知れない。しかも、そんなことをした奴ら相手に喧嘩を売りにいくのだ。怖くないはずがない。最も、僕たちはその恐怖よりも怒りのほうが勝っているのだけど。


 別にそんなことは置いといて、お姉ちゃんはいつも僕やルーナの前では、しっかりしようと気を張ってるみたい。でも、そうしてお姉ちゃんは一人で抱え込もうとするからダメなんだよ。


「たまには、自分だけじゃなくて、僕たちを頼ってよ?」


「急にどうした。別に......お前らも頼ってるだろうが。」


「心の問題っ。私達に話せないのなら、他の誰かでもいいけど、心に溜まっているものはちゃんと吐き出してよ?」


「わーった、わーった。はあ。今度考えておくわ。」


「そういうところだって。」


「あん?どういうところかハッキリ言ってくんねえとわからねえな。」


 ほら、やっぱり返事を濁して僕の話を受け入れようとしてくれない。ふんだ。お姉ちゃんが今度何かを言ってきても答えてあげないからね。


 それにしても、お姉ちゃんはさっきから何をしているんだろう。


 抱きついたまま後ろからお姉ちゃんの手元を覗き込んでみる。


 ぬいぐるみ?結構な数あるね。この家にいる動物たちと、僕たち姉妹、ソータ、ディガかな?そんなイメージで作ったのか、それぞれにそっくりなぬいぐるみがある。ちなみに、僕とお姉ちゃんの髪色は毎回変わっちゃうから、吸血鬼族(ヴァンパイア)特有の髪と目の色だね。


 僕は1個手に取り、裏側も見てみる。リーズのぬいぐるみだった。つぶらな瞳にモフモフの毛が本物っぽく見える。


「ちょっ、返せ。全部できたら触らせてやるから、今はまだ机に置いといてくれ。」


 ぬいぐるみを作っていることがバレて恥ずかしいのか、顔を赤くしながら僕から取り返そうとしてくる。


「やだ〜。返さない。」


「お前なあ......こうなったら無理やり取り返してやるよ。」


 ふふっ。お姉ちゃん、案外みんなに興味ないようで、しっかり見てるじゃん。一個一個丁寧に作られてて、デフォルメされてるけど、誰が誰だかわかるように特徴も捉えられてるし。


 お姉ちゃんは一見無愛想に見えて、意外と身内認定したら気に掛けるタイプなんだよね。それでいて、相手の嫌がるところには踏み込みすぎない。まあ、どこまで踏み込んでいいかは、記憶もらってるからわかるんだけど。


 お姉ちゃんは僕の腕を抑えてぬいぐるみを取り返す。別に痛くはないから別に大丈夫。


「全部できたらそれぞれに渡すだけだから、それまでは待っててくれ。」


「うん、わかった。楽しみにしてるね。」


 お姉ちゃんはぬいぐるみを箱の中にしまって、箱の蓋を閉じる。


「じゃあ、まあ気を取り直して、ロサお前にこれを渡しておく。」


 そう言ってお姉ちゃんは袋を取り出した。中には薄黄色の粉が入っていた。


「えと......お姉ちゃん、これって?」


「ソータが『回復粉』って言ってるやつをいくつかもらった。それに加えて、疾走剤も入れておいた。」


「疾走剤?」


「名前通り、飲んだときに移動速度と持久力が上がる粉だ。一種のドーピングみたいなもんだが、副作用はない。万が一、逃げる必要性があったときに使え。」


 なるほどね。緊急時の離脱手段ってこと。まあ僕たちならそれを使う時が来るのかはないと思うけど、用心に越したことはないしね。


「さて、今から影に隠れて向かうぞ。」


 お姉ちゃんは立ち上がり、手首を回しながら、白衣を脱ぐ。眼鏡を外し、フウっと体から力を抜く。


 これは前にも見たことある。お姉ちゃんが影に紛れるために本来の姿になるときだ。


 藍色だった髪の先から徐々に金色に染まっていき、お姉ちゃんが瞬きすると同時に紅い目に変わる。


「ほら、ロサも。」


 お姉ちゃんに促され、僕も本来の姿に変身する。


「さあ、行きましょう。あの方たちに復讐をしに。」


 ん?聞き間違えたかな?いやいや、いくらお姉ちゃんのこの姿を見ていないとはいえ、さすがに喋り方が変わるとかないよね......?


「どうしたのかしら?ロサ、今からいかないと夜明けまでに間に合いませんよ?」


 やっぱりおかしい。お姉ちゃんのこんな喋り方聞いたことないよ!!


「ちょっと待って、お姉ちゃんって、そんな喋り方だったっけ?」


「?何を言っているのかしら?私は元々この喋り方ですよ?」


 ダメだ。違和感しか感じない......だって、『わたし』から『わたくし』になってるんだよ?そんな言い方してたのって......


 ......あったね。そういえば。あの帝国の奴らが攻めて来る前はその喋り方だった。具体的に言うと、7さいくらいの頃まで。お母さんも似たような喋り方で、お姉ちゃんが真似してたんだっけ。今までこの姿になったときに、お姉ちゃんがほとんど喋らなかったから、私が(・・)知らなかっただけだね。


「ちなみに訊いておくけど、帝国までの道はわかる?」


「わかると思いまして?あなたが連れて行ってくれませんと。道がわかりませんし。」


「お姉ちゃん、ちょっとその話し方やっぱやめてくんない?」


 なんかこう、今のお姉ちゃんがやるとイラってする。ちょっとだけね。


「やめても何も元々この話し方ですので、今更変えろと言われましても無理ですね。」


 ......この違和感に対して我慢するしかないんだね。私は。了解。まあでも、これが終わるまでの間だから......多分大丈夫だね。っていうか、方向音痴なのは一緒なんだ。


 前にソータたちにどの方向だったかを教えてたのは、実は私だったりする。


 私は手を差し出し、お姉ちゃんに手をつなぐように促す。


「私が連れて行ってあげるから、ちゃんと手を離さないように繋いでてね。」


「ええ、もちろんですわ。」


 ......すごい。いつものお姉ちゃんの手のつなぎ方じゃない。めちゃくちゃ握る手が優しい。いつもが乱暴とかじゃないんだけど、か弱い感じ?お姉ちゃんがか弱いって、言い得て妙じゃない?


 そうでもないか。言動こそ粗暴に聞こえるかもだけど、実際は一種の虚勢を張ってるみたいなんだよね。


 まあ、今までに何度ナメられたこと言われてきたか。そう考えればあの口調にしようと思ったのも無理もないかも。


 私達は窓から飛び降り、月明かりがやわらかく照らす木の影に忍び込んだ。実を言うと、これね、月明かりがあるうちは特になんだけど、移動が早くなるんだよね。しかも夜だから暗い部分も多いし、バレにくい。これ以上のコンディションはないってものなんだよ。


 なんだろう。ものすごく強い追い風が背中を押してる感じ?走ってるとかじゃなくて、その風が強すぎてちょっとだけ浮いてるみたいな。


 空を飛んでる感覚に近いかな。潜ってるし、実際に飛んだことないけど。


 お姉ちゃんがいることを確かめるために、右手に軽く力を入れると、お姉ちゃんも軽く握り返してきた。影の中は暗いし速いからね。はぐれたら大変だよ。


 でさ、影の中からどうやって外の様子がわかるのかって話でしょ?


 地上にいるときは影は表面しか見えないわけじゃん?だけど、その平面を無理やり押し広げて影に潜ることができてるの。


 まあ、簡単に言うと、地上から見たら影が、影から見たら地上が、薄っぺらい紙みたいになってるんだよ。私達はそこを自由に行き来できるってだけ。


 だから、影の中から見たら、所々穴があいていて、そこから地上の様子を見れるんだ。そこがちょうど地上では影になってる部分。


 逆に言うと、そこからしか出られない。前にモルさんとやりあったときに出てきたのは、勝ち目がないってわかったからなんだよね。


 見破られちゃったら意味ないし。シンプルに氷が邪魔で出てこれなかったんだ。


 しかも、明るいときに見ると、薄っすら影が動いてるんだよ。だから夜が一番都合がいい。


 そしてね、月明かりをなんで気にするのか。月のお陰でなぜか能力が上がるのもそうだけど、影が濃いのに暗いから、奇襲にもってこいなんだよね。


 だからといって、何だって話なんだけど。まあ、移動中暇だからしょうもないこと考えちゃった。気にせず使えばいいだけだし。


 帝国の城前までたどり着き、私とお姉ちゃんは人目につかない、なるべく大きい木の影に出る。


 さて、ここからが本番だ。


「行こっ、お姉ちゃん。」


「ええ、たっぷりとお返しをして差し上げましょう。」


 今宵、ヒッソリと静まり返るこの街に、私達だけの足音が鳴り響いた。コツッコツッと静かにしかしハッキリと聞こえるその音は、時計の秒針の刻むリズムのようだった。


 緊張するなぁ〜まあでも、ソータに胸の内を打ち明けたとき以上には緊張しないし、気にしないで大丈夫だね。



 いかがでしたでしょうか?今回は、ロサ目線でこれから2人が行おうとしていることを書きました。次回は蒼太目線でまた書きますが、ロサたちに何が起こるかはまた後日書いていきます。


 次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 面白いと感じたら、ブックマークや評価をぜひ、よろしく願いします!モチベーションや、物語の流れにもにつながるので!


 それでは、また次回お会いしましょう。


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