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宮廷漫画家の王国再興-リナーシタ-  作者: 小松那智
第2章 大女優と脚本家
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12話 スク水を求めて 後編

 洞窟に入るにあたり、松明に火をつける。

 こういったものの扱いは、日本出身の俺は慣れておらず、これだけでも仲間を連れてきた意義はあったと思う。


 前衛として立ち回るエミリアに松明を持たせるのは得策ではないので、その松明は俺が持つことになった。



「さて……お出ましか」



 ヘケトが現れた。


 洞窟を巣穴とする魔物。

 一瞬、巨大な岩石が動いたように見えるが――その正体は、カエル。

 ごつごつしているようで、ぬめぬめしているようでもあり、不思議な質感の表皮だ。



「さっきの要領で行くッスよ、旦那!」



 弾丸のように飛び出したエミリア。

 ナーシアが目にも留まらぬ一瞬の早業を遣うのに対し、エミリアは過剰なほどのフェイントを織り交ぜながら、敵を翻弄して隙を突く。

 隙を作り出す過程を必要としないあたり、ナーシアの技倆が圧倒的なのだろう。


 空間が開けている外ではとにかく走り回っていたエミリアだが、洞窟内では、壁面を利用し、反発係数1を超えるスーパーボールみたいに凄まじい勢いで跳ねまわっている。


 そして、



「はっ!」



 ヘケトの頭頂に、エミリアの武器が突き刺さる。


 そして俺は魔法陣を展開し――



「今ッス!」



 雷撃魔法を――



「……あれ? 旦那?」



 撃たない。


 そして、ヘケトが怒りに目を見開いた瞬間、俺もまたカッと目を見開いた。次に起きる光景を見逃さないために。


 ヘケトの口が開く。

 白く濁った液体が、その喉元から飛び出す。

 俺がトドメをさすと思って油断していたエミリアは、その粘着液の直撃を、もろにくらった。



「なんじゃこりゃーーーーっ!」

「よっと」



 目的達成を確認したので、さくっと雷撃魔法を撃ってヘケトを撃破。

 水属性には雷がよく効く的なアレで、あっさり戦闘終了。



「だ、だんなぁ……たすけてぇ……」

「大丈夫か?」

「ど、どーなったッスか……うぇぇ」



 顔にまで粘着液がべったりとかかって、なんかもうすごい有様だった。


 ぬめぬめして、どろどろして、べたべたする白濁液。

 これは……えろい!



「安心しろ、ヘケトは倒したぞ! ちょっと攻撃が遅れてしまっただけだ!」

「なんかカシャカシャ聞こえるんスけど!」

「気のせいだ!」



 すかさず取り出したスマホで連射。

 こういうときのために電源をオフにし、残った電力を大事にとっておいたのだ。

 いずれアイラの雷撃魔方陣にリベラリタスで加筆し、スマホを充電できるようにしてみせる。これも当面の目標の一つである。



「だ、旦那……とれないッスぅ」

「確か、熱で溶けるって言ってたなぁ」



 モニカからコピーさせてもらった火の魔法で、俺の手元の松明には火がついている。

 それを近づけると、ねっとりしていた粘着液が溶けはじめ、液性が強くなったことで、さらにエロさが増していた。



「エミリア、もうちょっと顎を引いて。上目遣いな感じで」

「え? こ、こうッスか?」

「いいよー、すっごくいいよー。じゃあ次は寝転がってみようか。寝台に寝るときみたいに」

「え? ど、どうして?」

「必要なことなんだ! これをしなきゃ粘着液は取れないぞ」

「そ、そうなんスか? なら仕方ないッス……」



 それから。

 卑猥すぎる俺の撮影会は、地球の時間感覚で言って半時間近く続いた。

 たっぷりと画像データを拡充した俺は、満足してからようやくエミリアを本格的に救い出し、トードの表皮を採集した。


 これにて採集クエスト、完了である。






     ◆






「いやー、それにしても、こんなオマケがついてくるとは」



 二日後の夕方だった。


 ジルの分に加えて、エミリアの分もスクール水着を作ったわけなのだが、「でも着させるきっかけがないよなぁ」という当初からの不安は、あっさりと解決された。


 ヘケトを討伐した後のことだった。

 獣人の嗅覚が妙に臭いにおいを嗅ぎつけたというので、洞窟の奥に進んでみれば――そこにはなんと、白く濁った天然温泉が湧き上がっているではないか。

 そう、臭いの正体は硫化水素だったのだ。



「ご主人、ちょっと熱いかも」

「俺の世界ではこれくらいが普通だよ。慣れれば気持ちいいもんさ」



 そんなわけで、ジルとエミリアにスク水を着せて、入浴。

 やはり小型のおっぱいにはスク水がよく似合う。



「それにしても、この服はなんだか着心地がいいッスねぇ」



 惜しむらくは――粘着液でぬめぬめになったエミリアを撮りすぎて、スマホの充電が尽きてしまったことか。



「ご主人……今度は、アイラ様やナーシアさん、モニカさんたちも」

「そうだな。皆で来よう」



 だが、まぁ、いいか。

 この絶景を見る機会なんて、これからいくらでもある。


 さらなるセクハラ道の邁進を誓いつつ、俺は洞窟の奥の薄暗い温泉で、口元まで湯につかってぶくぶくと泡を出した。



 

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