#1 超能力
皆さん、こんにちは!アオです!
「生まれ持った"超能力"で恋のキューピッド!」をどうぞ!
温暖化のためかこの時期の桜はすでに散ってしまっていた。
玄関に張り出されているクラス替えの表を見て私は落胆する。
去年、仲が良かった子とクラスが離れてしまった。
それにあまり知らない人ばかりだ……上手くやって行けるだろうか。
そんな若干の不安が混じりながら私は教室へ向かう。
私の名前は柊千景。中学三年生になったばかりだ。
どうせ"受験、受験、受験"ってひたすらに言われる一年だろうなと
思うとさらに気が重くなる。とは言ってもやらないといけないことだし。
「友達とクラス同じだ」「全然知っている人がいない」「好きな人と離れた」
「彼氏と同じクラスになった、最高!」「あの先生最悪……」
たくさんの人の近くを通ると毎回こうやって聞こえてくる。
本当にこの能力いらないんだけどな……
私は生まれつき相手が想っていることが全てわかる。
なんでこんな能力を手に入れたのかはわからないが、はっきり言って
この能力が役に立ったことなんて数少ない。
人によっては上手く使いこなせるかもしれないが私にとっては
邪魔な能力だ。この能力を弱めることはできても
こうやって大人数いると一気にわかってしまってうるさい。
耳をふさぎたくなるこの空間にずっといたら死んでしまう。
そう思って私は教室まで向かう足を速める。
教室につくとすでに何人もの生徒がHRの準備をしていた。
その中には去年同じクラスだった美月もいた。
結構明るい性格の彼女はクラス誰にでも楽しく接している人だった。
そのため特別仲が良いわけではないが私に気が付くと……
「あっ!千景も同じクラスなんだ!今年もよろしくね!」
「うん、よろしく!」
私が持っている能力については家族以外誰にも知らない。
別に他の人に言ったところで最初は驚かれるかもしれないけど
私が明かしたからと言って何か変わるわけでもないし。
特別話す必要のあることでもないためだ。
その後、SHRがあり始業式が行われる。新一年生を加えて
とうとう最高学年になった……とはいっても私は人前で話したりすることが
苦手なためあまりそういった自覚はない。
校長先生の長い話も終わり教室に戻ってくると、各々周りの人と
話始めた。周りの人に話題を振られたため適当に相槌を打って返す。
正直、こうやって人と会話すること自体が苦手だ。
もしかしたら能力を持っていることが関係あるのかもしれない……
いや絶対にそうだ。そう確信したのはとある出来事がきっかけだった。
小学四年生のときくらいだったか。クラスの子に少し変な男の子がいた。
みんなとちょっと違うということもあって言葉にはしなかったが
みんな彼から離れていくのがわかった。そのときの私は
まだこの能力の恐ろしさを知らなかった。
みんなは何も言わなかったが実際に考えていたことは
"関わらるのをやめておこう"という旨のものばかりだった。
それがわかったとたん、急に人の思考を覗くのが怖くなった。
そしてたくさん見てきた。口にした言葉と考えていることが
全くの逆だということを。それが怖くて私は人と会話することが
苦手になっていったのかもしれない。
一対一や、数人で話すときにはこの能力を消しているが
一度あんな状況にあたったので若干のトラウマとなっている気がする。
そういう意味でもこんな能力完全に無駄だと思う。
ダメだ、新学期こんな気持ちになっているのは。
中三ということもあって授業も難しくなっていくし頑張らないとな。
「ねえねえ、千景はかっこいいなって思う男子いないの!?」
そんなことを考えているといきなり美月が言う。
「えっ……か、かっこいいか……ん~あまり」
苦笑いしながら私は返す。こういった恋愛話は聞くのが好きだ。
実際に恋愛をしたことは生まれて一度もない。
人としての"好き"は両親などにあるが異性に対する"好き"は経験したことがない。
でもあそことあそこが付き合ったや別れたなどの話はよく聞く。
そういった他の人の恋愛事情を聞くのは好きだ。
私の能力を使えば確かに誰が誰の事を好きなのかということを
当てるのはとても容易だ。しかし第三者として恋愛を見るため
その考え方は楽しみ方として正しくないと私は思うだ。
「そっか~、あ~私も早く運命的な出会いがないかな~」
美月が周りを見ながら言う。
「美月なら明るいからモテるんじゃないの?」
「そんなことないって。時々、男子との距離感間違って
結構厄介だったこともあったからね」
苦い過去を思い出したのか少し嫌な顔をしながら言う。
「そうなんだ……恋愛は見るほうが楽しいよ!」
「え~それはもったいなよ!せっかく新しいクラスになったんだから
誰か好きになって恋愛するのが絶対いいって!」
「わ、私は美月と違ってそこまで明るくないから……」
「別に明るくなれって言ってるわけじゃないよ?世の中には
明るくなくても好きになってくれる人だってきっといるよ!
最初で最後の中三なんだから楽しもうよ!」
そう話す美月の言葉と考えていることは同じだろう。
読んでいただきありがとうございました!
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それでは次回お会いしましょう!アオでした~!




