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なんと彼女の背中には、コウモリに似た羽が生えているのだ。
それだけじゃない。お尻からは細長い尻尾が生えている。
「彼女、人間じゃないにゃ」
じゃ、いったい何者?
頭の中でいやな予感がする。
「まさか、悪魔にゃ?」
そう、そんな予感が脳裏をよぎる。
「怯えずともよいぞ。色男」
今度はホイヤーさんの胸に、抱きついた。
「ボクはホイヤー。君の名前は、なんて言うんだい?」
ホイヤーさんは彼女の腰に腕を回す。
「リーンじゃ」
リーンと名乗った彼女は、ホイヤーさんの唇に自分のそれを重ねた。
「な、何してるにゃ。こんなところで。しかも初対面の人と」
ホイヤーさんの目がうつろになっていく。
何が起きてるの?
それだけじゃない。マイヤーとアイヤーも様子が変だ。
「レモン」
「ああ、下がってろ」
レモンも何か危険を感じ取っているようだ。
ゆら~っと、うつろなホイヤーさんがレモンの前に立ちふさがる。
「どけ、えせ占い師」
レモンは剣に手をかけた。
「シェルファ、ウインドカッター」
高らかに声を張り上げるホイヤーさん。
洞窟に空気の流れができたかと思うと、緑色に光る三日月状のモノが二つレモンを襲う。
「危ない、レモン」
私はとっさにレモンを突き飛ばした。
スパッと左肩に熱いモノが走る。
「ミカン、大丈夫か?」
「何とかにゃ」
左肩からは血があふれ出していた。
「待ってろ今手当を……」
「大丈夫にゃ、それよりリーンをにゃんとかしにゃいと」
私は薬草を取りだし、回復魔法を唱える。
切り裂かれた肩はすっかり元通りになった。
「ほほう、魔法使いがいたのか。しかし、素直に降参する事を勧めるぞ」
リーンはほくそ笑む。
「大体あんたはにゃにものにゃ?」
キッとリーンを睨む。
「我はリーン。人はサキュバスと呼ぶな」
「サキュバス!」
サキュバスと言えば精気を奪い取る悪魔。
何でこんなところに……。
私は手頃な石を六個拾い集めると、それに魔力を込める。
石が淡く光り出した。
ポーチから薬草を取り出すと、呪文を唱える。
「我に逆らわぬ方が良いぞ」
リーンは言う。
「コボコボ」
ホイヤーさんを飛び越えて、フーリクスさんがリーンに飛びかかる。
「戯け者が」
リーンはフーリクスさんに右手をかざした。
そのとたん、フーリクスさんは弾かれた。




