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小説 「 p 」 - 死刑囚、2080年から1582年へ  作者: /WoKoERu ( wokoeru )
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第7~8話 影、蝕まれる

/WoKoERu From Japan


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@wokoeru




*

© /WoKoERu All rights reserved.


第7話 次の影


俺は血の臭いを纏ったまま、森を抜けて街道に戻った。


朝の光が木々の間から差し込み、埃が舞っている。今日は少し風が強い。

俺は服の汚れをできるだけ落とし、疲れた旅人の顔を作って歩き始めた。


少し歩くと、街道の途中に一組の集団が見えた。



三十代後半の男が先頭に立ち、妻と十歳くらいの息子、七歳くらいの娘を連れている。


荷車を一台引いており、都へ向かう商人のようだった。


男は用心深く周囲を見回しているが、俺が一人で近づくと、少し警戒を緩めた。



俺はゆっくりと距離を詰め、穏やかな声で声をかけた。

「都へ向かうのか? 道中、賊が出ると聞くが……一人では心細い」



男は俺をじろりと見た後、妻と子供たちの顔を見て判断したようだった。


「……そうだ。少し付き合ってくれるか」

俺は頷いた。



俺たちは一緒に街道を進んだ。

男は時折、最近この辺りで旅人が消えるという噂を話した。



「バケモノが出るらしい」と、男は低い声で言った。

俺は無表情で聞き流した。内心で、薄く笑っていた。


この時代にも、すでに俺の影が広がり始めている。


2080年の絶望——静かに腐っていく街、人々が無力に苦しみながら死んでいく姿——を、この時代にも植え付けたい。


血と恐怖と虚無を、徹底的に染み込ませたい。それが俺の歪んだ願いだった。



日が傾きかけた頃、俺は提案した。



「この先の森に良い水場がある。子供たちも疲れているだろう」



男は少し迷ったが、家族の様子を見て頷いた。


俺は一行を森の奥へ誘い込んだ。



木々が深くなるにつれ、男の表情が再び警戒に変わった。


しかしもう遅かった。


俺はまず男の背後に回り、短刀を脇腹に深く突き刺した。



刃が肉を裂き、肋骨の隙間をこすれる硬い感触が手に伝わる。

男が低いうめき声を上げ、体をくねらせて振り返ろうとする。


俺は短刀をさらに深く押し込み、横に大きく抉った。

熱い腸が俺の手に触れ、ぬめりとした感触と共に溢れ出す。



男の目が恐怖と痛みで大きく見開かれ、口から血の混じった泡が零れた。

体が激しく痙攣し、地面を掻きむしる音が響いた。


やがて動きが弱くなり、完全に止まった。



妻が悲鳴を上げようとした瞬間、俺は彼女の喉に短刀を振り下ろした。


刃が気管を断ち切り、血が勢いよく噴き出した。

女は両手で喉を押さえ、目を見開いたまま膝をついた。

血が指の間から溢れ、着物を真っ赤に染めていく。


彼女は俺を恨めしげに見つめながら、喉を鳴らして苦しみ、ゆっくりと横に倒れた。


体が小刻みに震え、足が地面を掻く音が徐々に弱くなっていった。




子供たちは凍りついていた。



俺はまず息子の首を左手で掴み、地面に強く押し付けた。


短刀で胸を一気に刺し貫く。細い肋骨が砕ける感触が手に響く。


息子の体が激しく跳ね、口から血を吐きながら俺の腕を小さな手で掻いた。


俺は短刀を抜かずに何度も回転させ、心臓の辺りを抉った。

体内の温かい肉片が刃に絡みつく感触。

息子の目が虚ろになり、痙攣が止まるまで数秒かかった。




娘は必死に逃げようとした。

だが、俺はすぐに追いかけて地面に組み伏せた。

細い首に刃を当て、ゆっくりと引き裂いた。



皮膚が裂け、気管が断ち切られる感触。血が勢いよく噴き出し、俺の顔と胸を熱く濡らす。


娘は小さな手で俺の腕を掻きむしり、苦しげな喘ぎ声を漏らしながら体をよじった。やがてその動きも弱くなる。


瞳から光が消えていった。




森に再び静けさが戻った。




俺は四人の死体を並べて座り、しばらく眺めていた。


血の温もりがまだ手に残り、服に染み込んでいる。鉄の臭いが鼻腔を満たす。


満たされる感覚はある。


しかしすぐに、いつもの虚無が胸の奥から這い上がってくる。




どの時代も同じだ。




2080年も、ここも。

人々は弱く、脆く、簡単に壊れる。


俺は短刀を布で丁寧に拭い、死体を深い茂みに隠した。


バケモノの噂は、もう少し広がるだろう。

それでいい。この時代に、もっと深い絶望を刻み込んでやる。


俺は血の臭いを纏ったまま、森の奥へ歩き出した。


───

第7話 終





━━━━━━━━━━━


第8話 蝕まれる


俺は森の奥で夜を明かした。



朝靄が立ち込める中、血の臭いがまだ体に染みついている。


俺は川でざっと体を洗い、服の染みを誤魔化した。頭の奥が、微かに疼く。

いつものことだ。気にするほどではない。



街道に戻り、俺は再び歩き始めた。

今日は荷物を背負った旅人の集団が多かった。


俺は一人で、疲れた様子を装ってその中を進む。


午後を過ぎた頃、狙うべき相手を見つけた。


二十代半ばの女が一人、幼い息子を背負って歩いていた。


女は瘦せていて、足取りが重い。


息子は五歳くらいか、女の背中でぐったりとしている。どうやら都へ向かう途中で力尽きたようだった。


俺は近づき、静かに声をかけた。


「都までまだ遠い。一人で大丈夫か」


女は警戒しながらも、疲労のせいか素直に頷いた。

「……助かります」


俺は女の荷物の一部を持ち、並んで歩き始めた。


女はほとんど話さなかった。時折、息子を心配そうに背中から覗き込むだけだ。俺も無言で歩いた。

頭の奥が、また疼いた。脳の奥底で小さな虫が蠢いているような感覚。

時々、思考が一瞬だけねじれる。


血を見ると、胸の奥が熱くなり、同時に冷たい虚無が広がる。

この感覚は、いつからあったのだろう。2080年より前か。それとも……。


俺は軽く頭を振った。考える必要はない。 ただ、満たされればいい。


日が西に傾きかけた頃、俺はいつものように森へ誘い込んだ。



「水場がある。休もう」

女は疲れ果てていたため、素直に従った。



木々が深くなるにつれ、息子が背中で小さく身じろぎした。


森の奥、水場の近くで俺は足を止めた。


ここでいい。



俺はまず女の後ろに回り、短刀を背中に深く突き刺した。


刃が肺に達する感触。女の体が硬直し、息を詰まらせた。


俺は短刀を横に引き、肉と臓器を抉りながら引き抜いた。


女は血を吐き、膝から崩れ落ちた。


背中から胸にかけて真っ赤に染まり、地面に手をついて喘ぐ。


目が俺を振り返り、恐怖と理解できない何かで歪んでいた。体が徐々に痙攣を始め、喉から血の混じった泡が溢れ出した。


俺は次に、背中から落ちた息子を地面に押し倒した。

幼い胸に短刀をゆっくりと沈めていく。細い骨が抵抗し、砕ける感触。

息子の体が激しく跳ね、小さな手が俺の腕を掻いた。


口から血が溢れ、目が大きく見開かれたまま俺を見つめている。

俺は刃を回転させ、心臓の辺りを丁寧に抉った。

体内の温かい感触が刃を通じて伝わり、息子の動きが徐々に弱くなっていく。

最後に小さな吐息が漏れ、完全に動かなくなった。



俺は二人の死体の上にしゃがみ込んだ。



血の臭いが濃い。頭の奥が、また疼く。疼きながら、奇妙な充足が広がる。


俺は事に及んだ。

まだ温かい女の死体を犯した。

フラッシュバック。ミズキの顔が浮かんだ。


死後硬直が始まる前の、柔らかい肉の感触を貪った。


絶頂に達した後、俺は自身の"持ち物"の陰部へ、短刀を何度も突き刺し、中身を抉り出した。


肉が裂け、血と精液が混じり合う感触。激しい頭の痛みと、得体の知れない充足が同時に俺を襲った。


この疼きが、俺を駆り立てているのか。それとも……俺の頭が、何かに蝕まれ始めているのか。わからない。


ただ、血を見ると、壊したいという衝動が強くなる。

2080年の静かな絶望を、この時代にもっと深く、もっと広く染み込ませたい。その思いだけが、はっきりしている。


俺は二人の死体を茂みに隠し、血を拭った。



バケモノの噂は、きっとまた広がるだろう。



俺はゆっくりと森を歩きながら、頭の疼きを無視した。疼きは、いつか消えるかもしれないし、消えないかもしれない。


それでも、ただ、止まれない。



───

第8話 終

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