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エンドコンテンツ裏ボスである主人公の親友に転生した俺、最強だがいずれ敗北が確定しているため、ハッピーエンドを目指して学園生活を謳歌する  作者: 椿紅颯
第二章

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第10話『表ルートの第一関門を試してみる』

 そうだ、表ルートの第一関門を試してみよう。

 夢だとしても、転生してしまったとしても自分の最期を知っているのだから未来が不安で仕方がない。


 しかし臆することはない。

 最初のイベントなんて簡単なものだ。

 なんせ、このゲームは『恋愛ゲーム』と『バトルファンタジー』が合わさっているのだから。


 そうともなれば、最初の関門は恋愛的要素――よりも前の話。


「カイト、選択授業は何にする?」

「まだ期間があるからね、決めてないよ」

「前衛術と後衛術、得意な方を選ぶなら前衛術じゃ?」

「それはそうだけど。でも、ミナトが居たら後衛術も楽しそうかなって」


 教室での休み時間、至って普通な雑談。


 カイトからの返答で腑に落ちたけど、たしかに質問するには少しだけ急いでしまったか。

 この質問は、あの『馬鹿げている男同士の口約束イベント』を攻略してからの話だ。


 でもこの男、さすがは俺の親友。

 サラッとかっこいい返答をしてくる。


「でも実際、どっちを選んだ方がいいのか考えてもなかったな」

「絶対に後から後悔するやつ」

「後から変更できるけど、参加できなかったところは遅れちゃうからね」


 ちなみに、ゲーム的な話をすると。

 ここで選んだ授業先で、ミーシャと同じになるかどうかが決まり。

 現段階では発表されていないけど、不審者情報が出てきて対応一の環として1組と合同授業をすることになる。


 一緒にならない授業を選べば、また別の選択肢が出てきて、2人が出会うタイミングが遅れる流れだ。


「顔見知りが居る方を選ぶのは悪くないけど、苦手を克服するより得意を伸ばした方がいいとは思う」

「――なるほど、それはたしかに」

「逆に考えて、俺が前衛術を学び始めたらカイトが止めるだろ?」

「ははっ、その通りだ。納得の説得力だ」


 親友を騙すような真似をしてしまっているが。

 しかし現時点において、エンドコンテンツルートだとしてもミナトは自身の能力を把握していない。

 中身の俺は、全ての能力を把握しているに留まらず、つい先ほど片鱗を確認してしまってはいるが。


「その納得、さすがに傷つくけどな」

「ごめんごめん」


 心にもないことを言って罪悪感を抱いてしまう。

 けどまあ……立って話をしているだけで周りから視線を集めるイケメンに対して、その感情は余計なものかもしれない。


「そんなことより、さっき廊下で話をしていたけど知り合い?」

「う、うん、まあ」

「まさかミナトに女子の知り合いがいるなんてな」

「偶然出会って。困っていたから助けて、それで少しだけ話をしていたんだ」

「なるほど、やるねぇ~」


 顔と体を傾け「このこのっ」と左肘を突き出してくるカイト。

 調子に乗って顔が悪巧みしているような表情になっているが、「次はお前の番だぞ」と心の中で唱えて落ち着こう。


 いや、いつだってカイトの方がモテモテなのだから、「いつものお前だぞ」と返してやった方がいいか?

 さすがに自分がモテている実感はあるだろうけど、反撃内容がそれしか思い浮かばない。


「そ、そんなことより」


 急にソワソワしながら小声になったかと思えば。


「本当に大丈夫そうなのか?」


 ああ、はいはい。

 思春期の男子だから仕方ないことではある。

 しかし、俺を信用していないのか、それとも早く現物を脳内に刻み込みたいのかわからないが――さすがにガッツきすぎだろ。


 大人ぶっているけど、俺だって気持ちがわからないことではないよ?

 でもさ、ほら。

 ここは学園だし、教室だし、周りに他生徒が居るし。

 その欲望に忠実なところが面白く斬新だったから、このゲームを抵抗なく進めることができたわけだが……。


 そんなに真っすぐだと、バレたときに幻滅されるぜ?


「大丈夫だよ」

「でもさ、寮で保管するってドキドキするよね」

「緊張感に震えるのはカイトだけ、だがな」

「冷たいこと言わないでくれよ。共犯だろう?」

「勘弁してくれ。せめて協力者(・・・)だ」


 いや本当にわかるよ、わかる。

 コンビニの立ち読みで、周りに誰もいないことを確認しながら雑誌を手に取って。

 それでも周りの目線を気にしてキョロキョロして、目的のページを探す。

 背徳感を抱きつつ、一瞬にも近い時間を全集中してワーオな写真を見る!

 ああわかるさ、わかるぞ!


 でもカイト、今は教室なんだ。

 少しぐらい自重してほしいよ。


「再度確認するけど、姉さんは『用事がある』というのは間違いよね」

「うん。ハッキリと言ってたよ」

「さっき話をしたけど、確認するの忘れてたから」

「言われなくても、逐一報告するさ。アレ(・・)が懸かっているからね」


 ドヤ顔で決め台詞を放つカイト。

 本当、顔がイケメンじゃなかったら周りからの目線も冷ややかになっていただろう。


「自室に持ち込んだ時点で、俺にできることはないから」

「ああ、わかっているさ」


 と、返事をしているのに顔は「でも困ったときは助けてくれるんだよね?」と疑っていない様子が伺える。

 いや、確実に信じ切っている顔だ。

 親友を信じるって綺麗で美しい、もはや美徳であり尊ばれるはずなのに……目の前にあるソレは『エロは共有するものだよなっ』という、もはや目を背けたいものに変わってしまった。


「いいから、そろそろ席に戻りなさい」

「そうだね」


 こうして、爽やかイケメンは去っていく。


 さて、検証をしてみたけど想像以上の結果は得られなかった。

 各状況に合わせてイベントが強制的に進行してしまうのか、はたまた質問のやり方が悪かったのかはわからない。


 だって、さっきの会話は『ルートを選ばせた』というよりも、雑談で話が終わってしまい内容も違和感はなかった。

 本当にただ迷っているだけ、という感じに。

 まだまだ情報が足りない。

 だったら次の休み時間で、能力を最大限に活かして裏ルートの方で検証してみようじゃないか。


 強引な手を使うことになるけど、たった10分で往復しなくちゃいけないから仕方がない。

 でも、もしも『ルートを任意で変更することができない』という結果が得られてしまった場合。

 自分が死ぬ未来が少しずつ、しかし確実に迫ってくる恐怖に耐えることができるだろうか……。

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