第19話 魔王候補との初戦闘
森の奥から現れた黒い影は、ゆっくりと魔王城の前に立った。
「……貴様が新たな魔王か」
その姿は——
黒いマント、鋭い目つき、背中に巨大な剣。
いかにも“強敵”という雰囲気をまとっていた。
(お、やっとまともな敵が来たな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「なんで光るのぉぉぉ!!」
「我が名は——
**グラド=バルザーク**。
魔王候補の一人だ」
「ま、魔王候補……!」
ヴァルナは震えながらも、俺を構えた。
「わ、私……魔王として……負けられない……!」
(いやその前に魔法がまともに出るかどうかだろ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「……ふん。
その杖……魔力の流れが歪んでいるな」
(いや初期不良だからな)
「貴様の魔力制御は未熟……
その程度で魔王を名乗るとは、笑わせる」
「うぅ……!」
ヴァルナは悔しそうに唇を噛んだ。
「魔王様ぁぁぁ!!」
ガルドが叫びながら駆け寄る。
「闇猫様はどこですか!?
避難させねば!!」
(いや今は猫関係ないだろ!!)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
グラドは眉をひそめた。
「……猫……?」
「にゃあ」
猫が横切った。
グラドは一瞬固まった。
「……なんだこの……異様な存在感は……?」
(いややめろ、猫に気圧されるな)
「いくぞ、ヴァルナ=ディアボロス。
魔王の力、見せてみろ!」
「う、うん……!
闇よ……我が呼び声に応え——」
(その詠唱やめろ恥ずかしいから)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「闇の——矢!!」
バチッ。
黒い光が飛び出し——
途中で曲がり——
壁に当たり——
天井に当たり——
床に当たり——
「にゃあ」
猫の頭上にふわっと落ちて消えた。
「…………」
「…………」
「…………」
沈黙。
(いやまた猫に吸い寄せられたよ!!)
「……な、なんだ今の……?」
グラドは震えた。
「魔力が……猫に……吸い寄せられた……!?
まさか……猫が魔力の核……!?」
(いや違うって!!)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「魔王様……!
闇猫様を守るために魔法を曲げるとは……!」
「なんという忠誠……!」
「闇猫様こそ真の魔王……!」
(いややめろぉぉぉ!!)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「……なるほど。
貴様の魔力は……猫を中心に循環しているのか……!」
「ち、違うのぉぉぉ!!」
「猫を媒介に魔力を制御するとは……
なんという高度な魔術理論……!」
(いや初期不良だよ!!)
「……ふっ。
面白い。
その“猫魔術”……もっと見せてもらおう」
「見せたくないぃぃぃ!!」
ヴァルナは涙目で叫んだ。
「なんでみんな猫に繋げるのぉぉぉ!!」
(いや全部俺のせいだな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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グラドとの戦いは、
**魔王候補 vs 猫に魔力を吸われる魔王**
という前代未聞の構図で幕を開けた。




