第94話 魔王フロロメ
「それから僕と穂美香は内村開園を遠くから監視しながら、君たちの様子を見ていたんだ。君たちなら必ずこの危機に対応していると思ってね」
「礼の思惑はぴったりはまったってことね」
つまり内村開園は今このゲーム世界を統べているのか。
「これは行く必要があるようね」
「ああ、俺たちがこの世界にいるうちに内村開園を倒すよ」
「ふう、頼もしい助っ人が来ちゃったね」
「僕たちは安心して隠居できるというものだ」
「おい、お前らも来るんだよ」
「ええ? 私達弱いし足手まといじゃないの!」
「よく言うよね。天才コンビが足手まといなわけないだろ」
「ああ、分かってる僕らもやっぱり手をかすよ」
「共同戦線ということね」
「なんだか、あなたと手を組むのは不思議な感覚だわね」
「里音ちゃんの言う通りよね。殴ってスッキリしたけどまだα時代のことは忘れてないからね」
「分かってるよそれは」
「まあ過去のことは置いといて、早速行きましょう」
礼が言うには内村開園は拠点にはナノの戦闘員が沢山集結しているらしい。
ナノの戦闘員とは何度も戦闘を繰り広げてきたが、またしても戦うことになるとは不思議な状況である。
これは何かの因果ではないだろうか?
「しかし夏菜ちゃんも久しぶりだね。こないだ春樹君と里音ちゃんにあったんだけど、あなたにも会えるとは思わなかったわ」
「そうね。穂美香とは一緒に戦った仲よね。そこのそいつと」
「うん? 僕の顔に何かついているのかい?」
「あははは、確かに戦った仲間同士が、その時の敵と今一緒に仲間になっているっていうのはおかしな話だね」
「まあ、今の彼は以前とはだいぶ変わったようだけどね」
「こっちが本来の礼だからね。私と一緒に過ごしていた彼を取り戻してくれてみんなに本当に感謝してる」
「ふん、お礼なら春樹と里音先輩に言いなさい。私はほとんど何にもしてないわ」
「ははは、その意見には同意」
「ちょっと、そこは否定するところでしょ」
「冗談だよ」
「そろそろついたよ」
そこには遺跡が広がっていた。
「なんで遺跡」
「まあ、内村開園の拠点は、遺跡なんだよ。僕たちと接触してから拠点を移したようだね。中は迷宮ダンジョンのようになっていて、ナノの戦闘員がそこに配置されている。場合によっては、何人かで別れて進む必要があるかもね」
「なるほどな、じゃあどうする?」
「うーん、大体私の位置予測だと3グループに分かれる必要があるね。そこの鍵を集めて中心部を進むことが出来る」
「あれこれまずくないか?」
「そうよね。戦力になるには由愛ちゃんの傍に私か春樹君がいる必要がある」
「美織がいないから、どれか1グループの戦力がないってことか」
「いや、僕と穂美香は各々、ナノの戦闘員くらいは倒せる実力を持っているよ。神器の力はないから僕の力は全盛期とは程遠いけどね」
「じゃあ3グループに分けられるな」
「由愛と一緒になるのは俺でいいか麗美。あんまりたたかわせたくない」
「いいよ別に」
「じゃあ、俺と由愛は確定で」
「私は穂美香と組むわ」
「じゃあ私も穂美香と一緒に」
「じゃ、じゃあ、私は礼君と一緒?」
「ちょっと、待て、麗美をこいつと一緒にできない」
「あははは、僕はじゃあ一人でいいよ」
「ちょっとそれは可哀そうだよ」
「じゃあ麗美は俺のグループで引き取る」
「うん? でもそれが一番いいかもね。私と一緒にいれば2人戦えるじゃん」
「なるほどな」
「じゃあこれで決定」
「じゃあ礼はぼっちで頑張ってね」
「まあ、こういう立ち回りは僕の特権みたいなものさ」
遺跡攻略メンバー
グループ1 春樹、麗美、由愛
グループ2 礼
グループ3 穂美香、里音、夏菜
「じゃあ、行きましょう」
「中心部でまた会おう」
グループ1視点
「ねえ、このグループ強すぎない?」
「まあ、しょうがないよ。俺と麗美は由愛の傍じゃないと力を使えないし。そうなるならこれが一番戦力を出せるメンバーってことだ」
「それもそうね」
「しかしここ不気味すぎるよう」
遺跡の迷宮は薄暗く蜘蛛の巣や、コウモリが蔓延っていた。
「バサバサバサ」
「きゃあ、春樹君おばけがでた」
「はあ? ただのコウモリだろ。しっかりしてくれよな」
「きゃあ、コウモリがでた」
「なんで由愛はコウモリってわかってて、驚くんだよ」
「いやコウモリでも怖いでしょ十分」
「まあ確かに分からないこともない」
「おい貴様ら」
正面にナノのメンバーが現れた。
「侵入者だな、開園様の手を煩わせることもなくここで死んでもらうぞ」
「おう、なんか久しぶりに見たなナノの先鋭部隊」
「私も」
「俺はここの組織のトップ戦闘員だ。運が悪かったないでよアイスドラゴン」
「ぐおおおおおお」
「おいおい、こんなところでそんな巨大な魔物だすなよ」
「きゃああああ」
アイスドラゴンは迷宮の壁を破壊した。
これによって周囲の壁や天井が倒壊した。
俺は重力スキルで瓦礫を無効化した。
「ふん、先ずは瓦礫による先制攻撃だ」
「やってくれたな」
「でもそれじゃあ、ドラゴンが動けないんじゃない?」
「ふん、俺が考えなしにこれをしたと思うか? 空間拡大スキル発動」
周囲の空間が一気に広がった。
「これで、俺のアイスドラゴンが動けるぜ」
「わあ、凄い雑兵No1さん」
「あ?」
「なんか、見たことあるなって思ってたら、そのドラゴンで確信したわ。あなた雑兵No1さんでしょ?」
「お、お、お前はあの時の!」
「うん、知り合いなのか?」
「私がナノの研究施設でゲーム世界に巻き込まれたときに倒した人」
「ああ、そういう感じか」
「おま、お前のせいで俺は最悪な目にあったんだ。許さねえからな」
「ふーん、それで許さないからってどうするんだよ」
「俺はあの時のお前の雰囲気を覚えているぞ。あの時のオーラが今のお前にはない。力を失ったな?」
「さあ、どうでしょう?」
「俺の復讐の機会が来たんだよ! いけアイスドラゴン」
「グヲオオオ」
「春樹氏、麗美ちゃんやっちゃって」
「任せとけ」
「ふふふふ、了解」
俺のスキルの衝撃派と麗美の影がドラゴンを覆った。
ドラゴンは消滅した。
「嘘、だろ」
「じゃあね」
「うわあああああ」
続いて麗美の影が戦闘員を捕らえた。
「戦闘員まで消す必要あったか?」
「ふふふ、敵を見逃すの王子様」
「もういいよ、とっとと麗美に戻れ」
「はいはーい、またあいましょう」
なんだか、捕食者の麗美の力が強まっていた気がした。
「やっぱりこのメンバー最強じゃん」
「また私なんかやっちゃた? あんまり覚えてないけど」
「うん、凄かった」
グループ2視点
「なんだ貴様は」
「ああ、君たちか。どいてくれ」
「α様? あなたもいたのですかあ。お通りください」
「ほうほう、僕たちの情報は届いてないのか。これはラッキーだな、ありがとうね」
グループ3視点
「さあ、どういう感じで戦うの穂美香」
「貴方の作戦力に私も乗るは、あの時は本当に助けられたし」
「ふむふむ、里音ちゃんと夏菜ちゃん、この面子はあの時を思い出すね。これは腕が成る」
穂美香はゲートを生み出した。
「これは?」
「ワープゲート、座標指定したからこれでワープすればOK」
「それって最初からそれを使えばよかったのでは?」
「定員は私を入れる条件で3名までなのよ」
「これうちらが最速だったりして」
「あるわねそれは」
実際にグループ3が最速だった。
「遅いわよ春樹」
「げ、もうみんな集まってのかよ」
流石は穂美香と礼といったところか。
「これで鍵は3つ集まったね。最上部へ向かうよ」
俺たちは中央部に向かった。
「やあ、君たち」
「内村開園」
前任のナノのボスがあらわれた。
「驚いた由愛も里音もいるじゃないか。礼に穂美香もいるしこんな再開は夢のようだよ」
「みんなあなたに対して憎しみを抱いているよ」
「実験体に恨まれるのは慣れているさ。私はそういう役回りがあっているからね」
「今度こそ、終わりですよ」
「実はね、私は君たちのことをずっと監視していたんだ」
「そりゃあ、遺跡に監視カメラの一つや二つあるでしょうね。
「いや、現実世界の君たちのこともずっとのね」
「なんだと……」
「きしょ」
「あはは、相変わらず由愛は鋭いね」
「じゃあこれもよんでいたっていうの?」
「そうだね。神八聖や田穂美織の動向も僕は掴んでいる。神八聖つまりライズは田穂美織、つまりは器を壊して、ゲートでアートと異世界に帰るのを拒んでいたようだが、おかげでフロロメ復活がなくなることはなかった君たちには感謝してるよ」
「感謝? 俺たちがここに来た時点でそれはさせませんよ」
「勘違いしてるようだけど、僕がここで何もせずに構えていたと思うのかい。掴んだんだよ魔王フロロメ復活のカギを。ゲートを開かなくても現実に復活させる方法を」
「なんでそんなことするのよ」
「夏菜ちゃんそいつにそんなこと聞いても意味ないわ」
「そうなの?」
「そいつはマッドサイエンティストよ。自分の知的好奇心のためなら何でもする。フロロメの情報はどうせ、春樹君の動向を監視して掴んだんでしょ。ライズの秘伝書はNo1にならないと入手できないものね」
「ご名答、神八聖、いやライズさんは僕に黙って、とんでもない力を持っていたんだよ。俺はあの人に惚れていたんだ。あの人は僕の知的探求心を満たす塊だ。この世界に来てそんなライズ様がまた見れて最初は高揚感に満たされた。でもなんだ神八聖の姿の彼女はあまりに普通過ぎる」
「だからなんだよ!」
「壊してやりたくなったんだよ。神八聖としてβの転生体と普通の一般人となったライズ様にもう価値なんてないってことをね、知らしめてやろうと思ったんだ。あなたの才能はもっと別の方向へ向くべきだ。例えば魔法と科学の融合とかね」
「まさにマッドサイエンティストだね。知的好奇心のためならなんでもする」
「ああ、なんとでも言うといいさ。フロロメを復活させれば全て終わる。見ろこの遺跡を!」
「なんだ」
遺跡の構造が変化していく。
「僕はゲーム具現化の神器が電子化されたプログラムウイルスのレプリカをもっている。これを使って、この遺跡を現実のものにする」
「そんなクオリアヘイズを突破する気?」
「最初からお前のプログラムから出る方法なんて生み出していたさ。問題はタイミングだったんだよ。転送場所は神八聖がかつて神器を託した、アートの墓場。ここの周囲に遺跡を転送する。コストは僕が集めた雑兵たちだ」
「なんだ」
「ぐあああああ」
外のナノの戦闘員たちが消滅していく。
―
僕は彼らをコストにこの遺跡の機能を発動する。ゲ―トを開く条件は4つ神器αの具現化で扉を生み出し、βで異世界と現実を接続し、γでエネルギーを制御して、Ωで異世界への道を拡大する。これで異世界に戻ることが出来る。
でもβは美織がいる。だから代わりにこの遺跡の力でよって接続が開始する。これをサンプルで現実のものにして、異世界への扉を出現、そして座標は主導権を握った俺が決めることができ、それを魔王フロロメが葬られたダンジョンに指定する。この時遺跡の力であつめた魂をフロロメの所に送り届ける。フロロメは魂を送ると復活するという調べはついている。最後に私の魂もささげよう、これが私の計画だ。
―
「魔王フロロメの準備は整ったよさよなら……魔王フロロメ復活だ」
内村開園は自らのHPをゼロにして消え去った。
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