第75話 遠征討伐開始
「ふふ、驚かせちゃったかしら? 元の私はここからそう遠くはない距離にいるのよ」
「なんで、お前が出てこられるんだよ」
影の声はスキルの麗美だった。
「どうやら睡眠中みたいだよ。他には3人いるから、起こしてくれるって安心したんでしょうね」
「気楽な奴だな」
「いい機会だし起こしに行ってあげれば?」
「誰がいくかよ」
「本当は行きたいくせに」
「消されたい?」
「はあ、折角心配してあげたのに」
「余計なお世話だ。それでなんの用があって出てきたんだよ」
「用なんてないよ。ただ面白いことになってるから、お知らせしに来て上げたんだ」
「ふーん面白いことね、だったら早く言えよ」
「ここの温泉は混浴なんだって」
「ぶほっ」
俺はちょうど飲んでいたお茶を噴出した。
「ははは、いい反応ね」
「くだらなすぎだろ。マジで消えろよ」
「まあ、それだけじゃないんだけどね」
「じゃあ、何を言いに来たの?」
「春樹君と旅館で一緒に話したかったの」
「じゃあもう、用は済んだから、消えろよ」
「でも気にならないの?」
「何が」
「次の神器の情報についてよ」
「なんでお前がそれを知っているんだよ」
「予感がするのよ私と春樹君は近い未来、2人だけの世界で一緒になるってね」
「まだそんなこと言ってるのかよ。残念ながらそんな未来はこないな」
「だっておかしくない? なんで4つ揃ったら全てがゲームの世界になると思われていた神器が、こんなにあっさり半分も陥落してるの」
「一人はこっちの味方になったしな」
「私は神八聖ことライズを信用するべきではないと思うわ。彼女は何を考えているわかないもの」
「俺からしたらお前の方が何を考えてるか分からないけどね。それに安心しろよ、別に神八聖を完全に信じているわけじゃない。でも今は協力するほかないだろ?」
「確かに日常を守るなら彼女は強力な協力者になるわね。私も結局まだ力を見せてないから、信用されてないとみて取れる」
「それに関しては幸いだ。麗美の方に脅威がなくてよかったよ」
「でも今回でやっと私の活躍を春樹君に見てもらえるわけだ」
「その心配もいらないぞ。お前が出る前に俺が直ぐに神器を倒すからな」
「ふーん、果たしてできるでしょうね。楽しみにしておくわ」
影は消えてった。
「はあーこれ凄いわね」
「うん、普段食べられないものがたくさん揃っているよ」
旅館の料理が出てきた。懐石料理なだけに豪華な品が揃っていた。
「里音ちゃん、これどうやって食べればいいの?」
「知らないわよ、そんなの」
「食べ方とか気にしなくていいだろ」
「春樹君、それは流石に雑すぎるでしょ」
「そう?」
庶民枠の俺たちは全員、未知のものを見た反応になっていた。1人を除いて。
「みんなマナーがなってないわよ。これには食べる順番と決まった所作があるのよ」
「夏菜ちゃん、分かるの?」
「当たり前じゃないの。私の家ではこの程度のマナーは教えられてるのよ」
「流石お嬢様だぜ」
夏菜はみんなに褒められてうれしそうだった。
「あ、当たり前でしょ。みんな私の真似するのよ」
夏菜のおかげで俺たちの教養が更に高くなった。
「お前たち起きろ!」
「うん?」
気づけば次の日の朝になっていた。
俺たちを起こしてくれたのは、ライズNo1だった羅琉だった。
「羅琉さんじゃないですか、どうしてここに?」
「私もライズ様に同行していたんだ。もうじき出発するからお前たちも来るんだ」
「いや、朝早すぎるだろ」
時刻は朝4時、次の日に合流すると言っていたのは知っていたが、まさか朝4時だと思うわけがない。
「私まだ寝ていたいんだけど?」
「ふん、由愛は子供ね。この程度の変化にも対処できないの?」
「里音ちゃんも目が半開きだけど」
「これは、目に埃が入ったのよ」
「おーい、2人とも、そろそろ合流地点につくぞ」
俺たちは羅琉さんの車で合流地点に向かった。
「お前たち、旅行気分はそろそろ切り替えろよ。ここからはΩの神器の痕跡が確認された討伐場所に入る」
「分かりました」
「あれじゃない?」
こちらを見ながら、手を振っている人物を見つけた。
「あれは、神八聖さんですね」
「ああ、ついたみたいだな」
「美織頼むよ」
「はい」
「魔法『ペナルティ』発動」
「うん? なんだこれ」
神八聖に近づいたときに、違和感を感じた。
ルール1、マスターの半径100m以内の対象者は強制的にルールに従う
ルール2、対象者にはルールを破った時ペナルティを課す
ルール3、対象者はマスターの指示に従う
ルール4 対象者はマスターの加護を高速で受けることが出来る
ルール5 対象者が生命の危機に瀕した時、対象を特定のポイントに飛ばす
ルール6 ペナルティは対象を特定のポイントに飛ばす
「いやあ、久しぶりみんな。早速だけどみんなの安全のために、魔法を掛けさせてもらったよ」
「どういうこと?」




