第56話 赤い瞳
「何これ―? 植物?」
「触らないでください!」
「うわっ、ごめんなさーい」
麗美は羅流に怒られた。
「ここはライズ創設者、ライズ様の遺体が保管されているいわば墓場です」
「は、墓場あ? うわっ超怖い、春樹君助けて―!」
「おい、まとわりつくなよ麗美、由愛が予知してたんだからある程度は予測しておけよ」
「いやああ墓場怖―い! 助けて春樹氏!」
「おい、由愛も便乗するな」
「何をやっているんですかあなた達は?」
「な、なんでもありません続けてください羅流さん」
「はい、ここから本題なんですが、ライズ様の秘伝書がなくなりました。そしてライズ様の遺体も同時に消失してしまいました」
「は? どういうこと? 痛った」
「も、ももももももしかして、ライズ様の遺体が動き出して秘伝書を持ち去ったってこと? ここここ、怖すぎるうううう」
「おい、落ち着けって麗美、遺体が動くわけないだろ? 後そんなに強く腕を引っ張るな! ちぎれる、おい由愛! 麗美を落ち着かせてくれ」
「安心して麗美ちゃん、秘伝書は間違いなく消えているわ! つまり遺体が本当に動き出したのよ」
「ほら、やっぱり由愛ちゃんも言っているじゃないの! 怖いよおおお!」
「おい! 由愛、それ逆効果だから、分かっててやっただろ?」
「さて、どうかなあ」
「確信犯だな! 落ち着け麗美、誰かが持ち去ったって可能性もあるだろ?」
「あ、そっか、流石に遺体が動くわけないもんね! ふう一安心」
「……」
羅琉はもはや反応すらしなくなっていた。
「その誰かが持ち去ったという推測だが、それはほぼありえない」
「どうして?」
「ここは穂美香様が施してセキュリティシステムによってライズNo1のものしか入れないようになっている。つまり干渉できるのは私のみだ」
穂美香といえば天才ハッカーだ。俺たちは彼女の凄さを十分に知っている。つまり第三者が持ち去った線は薄いのかもしれない。
「じゃあ羅琉さんが持ち去ったんで決まりじゃないですか!」
「ふ、ふざけるな! 私はそんなことしていないし、する意味もないだろ。ライズとはもう関係のない存在になって、私にもプライベートというものができたんだよ」
「でも、この状況はそうとしか考えられないわ羅琉氏。遺体が動くなんてありえないでしょ」
「ああ、そうなるだろうと思って、私が犯人ではない証拠がある」
「証拠?」
「ライズNo1にのみライズ様の秘伝書と遺体に異変があった時、感知する時計が与えられている。この時計によって異変の時刻が記録されている。私はその時ライズ拠点から遠く離れた空港にいた。受付で調べればその記録があるはずだ」
「なんで、空港にいたんですかね」
「そういう仕事なんだよ。私のクライアントは海外にもいるんでね」
「なるほど」
流石ハッカー集団にいただけのことはあるようだ。
「じゃあ、やっぱり遺体が動いたってことじゃないの!」
「そういうことになるな! そして君を呼んだのは、これが原因だ」
「なんだこれは」
壁には次の文字が刻まれていた。
ゲーム具現化の次の余波が来るよ。神器の力の所持者を集めて対策を立てることをおすすめする
「なんでこんなところに文字が刻まれてるんだ?」
「さあな、神器とはα、β、γ、Ωのプログラムウイルスの原型のことだ。つまりその能力者を集めろということなんだろう」
「でも僕は適合者じゃありませんよ」
「すまんな、お前たちのことを少し監視させてもらった。使えるんだろ? 彼女の傍にいると能力が」
「なんで監視してんだよ!」
「うわああ、プライバシーの侵害だわ! 私羅琉さんのこと訴える!」
「ちょっ! そこまでする? そこの彼女は気づいてたんだろ?」
「ふふ、私に監視は通じないよ。何か悪いことをしようとしていたら、許さないからね」
「肝に銘じておくよ」
羅琉は由愛をみて冷や汗をかいてそう答えた。
「なんだ、由愛が気づいていたのかあ。それじゃあ、いいってことで」
「麗美巻き込んじゃって色々ごめんな」
「いいよいいよ、私も自分からついてきたわけだしね」
「私が確認した段階で神器の能力者と呼べる人物はお前たち3人だけだ。つまりこのメッセンジャーと対等に渡り合える存在も君たちだけ、おそらく相手はライズ様、何を考えているのか分からないが、君たちに後は任せるとするよ」
「ちょっと待ってください! 麗美もカウントされてるんですか?」
「ああ、知らなかったのか。彼女にはもう一つの人格がある」
「は?」
「そろそろ姿を現したらどうだ?」
「えへへ、あんまり知られたくなかったんだけど」
「麗美?」
その時、麗美の瞳が赤みを帯びてる気がした。




