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第37話 未来がある気がした

「それから私はナノに入り、内部からナノ壊滅の計画をたて時期を伺った。αとは一時休戦という形になったわ。今は違うけど。それと今思えば麗美さんは由愛に似ていたわね」


「最初に麗美にあった時の似ているってそういうことだったんですね」


「私の中に由愛がいるわ」


「全て理解しました」


「ありがとう」


「これが1年前に起きたゲームの具現化。私はその現場に居合わせたのかね」


「あなたもそこにいたのね」


「γウイルス、まさか私以外にそんな適合者候補がいたとはね」


「ナノの拠点ではいくつもの実験体がいた。拠点に入ると同時にナノのボスに薬を投与される。その瞬間から適合の実験は始まっていたのよ。私のγの覚醒はほんの微細なものだったから、最初は身を潜めていた。だけどβのあなたを超えた時に私は完全にこの力を使いこなしたと思っていたのよ。まさかこんなに隠し玉が存在しただなんてね」


「私は由愛にたくされたものがあるの。絶対にウイルスプログラムを殲滅する。運命を変えなくちゃいけない。だからあなたのその力は私が消させてもらうわ」


「βウイルスの本来の能力、別のプログラムウイルスに干渉して消滅させるアンチウイルス能力か。やっぱりβが頭一つ抜けてるわね」


「これは由愛からのミラクルギフトで手に入れた全覚醒能力が具現化したもの。普通の適合者に劣るわけがないでしょ。それに条件は相手を戦闘不能にすること。これでγを消す準備は整ったわ」


「どこでそんな奴を手に入れたのよ」


「うん? 春樹のこと? 彼は拾ってきたのよ」


「え?」


「私が仮想領域に入れたら、どういうわけか完全覚醒を遂げた。多少MMOをやりこんでいたみたいだけど、まさかここまでバグのような存在になるとは驚きだわ」


「やりこんでたって君、いったいどんなプレイの仕方をしていたのよ」


「え? 普通にレベル上げ狩りですね。全部NPCが相手で、マルチプレイはしません」


「は……そんな馬鹿な」


「力を手にしても上には上がいる。春樹はこんなにばかげた方法で最強の力を手に入れたってことよ」


「私たちの苦労が馬鹿らしくなってくるわね……」


「そうね……だけど私は一緒に戦える存在が出来て今はとても嬉しいわ。由愛の時は足手まといだった。でも今は自分も戦えるし、守ってあげられる。それにもう一人じゃない」


「あなたたちならαも倒されちゃうかもね」


「そろそろ時間よ堀本凜。何か言い残すことはあるかしら?」


「私もナノの犠牲者に過ぎないのよ。ゲーム世界に消えた人々の存在はいったいどこに、消えてどこへたどり着くのか、これからそれを知れるというのは、とても知識的好奇心が生まれて嬉しいわ」


「そう、それはいいことね。どこまでも知識を求めるのはあなたらしいことだわ」


「凜さん」


「沙月さん、私が貰ってたクライアントからの案件、全部消しといてくださいよ。闇営業ばらすなんてひどすぎですからね」


「私に酷いことしたのに、よく言えますねそんなこと。とはいえいい取材が今日は出来ました。あなたの闇営業の記録はなかったことにしておきますから」


「ふん、まあ別にこれからこの世界から消えるし、そんなことはどうでもいいけど」


「そうともいえませんよ」


「うん? 春樹君、どういうことかな?」


「俺たちはゲームの世界に消えた人を全て元に戻します。そうなったら、あなたも現実世界の罪を償うことになるでしょう」


「おやおや手ひどいことをいうもんだ。満足していかせてくれよ」


「そのための私ですからね。ナノは今夜で壊滅です」


「後はαを追うだけということかい。それはチェックメイトといった感じだね。ナノの今後はかなり危ういな」


「安心してください凜さん、戻ってきたら私がまた案件を持ってきてあげますよ。普通のホワイトな奴をね」


「はははは、君のホワイトはグレーよりじゃないのかね? しかし私は裏ボスの席についていたけど、やっぱりボスの器はあの子αだったか」


「それじゃあ、また全てが解決したら会いましょう堀本凜」


「うん、そうさせてもらうわ、こんな私にも未来がある気がした」


「-」


「GAME CLEAR」


 αは逃亡、ギルドナノの裏ボスであるγこと堀本凜は里音先輩の手によりHPが0になりゲームの世界のはざまに消えていったのであった。







「皆さん今日はありがとうございました。まさかゲームの具現化についてここまで知ることが出来たとは驚きです。全てのゲームの具現化事件にはギルドナノが関わっていた。このことは私の記事のネタにさせてもらいます」


「まあ、信じる人は誰もいないでしょうね。あなたの記事は面白い作り話として多くの人に笑い物にされるわ。それと個人情報はNGだから。入れたら消すわよ」


「うわうわ、あなたに言われるとそれはまた恐ろしいものです。それに私は笑い物にされているのは慣れてます。それに皆さんがゲームの世界のはざまに消えた人を開放出来れば、私の記事は大きく賞賛されることでしょう。そうなったら大量のお金が、じゅる、おほほほほほ」


「ずいぶん愉快なことね」


「とにかくみんな無事で良かったです」


 俺たちは無事里音先輩を救い、ナノの拠点を犠牲を出すことなく抜け出せたのだった。


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