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転生魔女ですが救世はお断りします!〜世界を救うとか面倒くさい〜  作者: 高木 藍


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(48)魔女との愛

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 〈カサンドラ視点〉


 私は宮廷魔法師として、王宮で働いていたの。公爵家の娘で、魔力は人一倍多かったので、ゆくゆくは王太子妃にと言われていたの。年々、王族の魔力は減少傾向にあって、当時の王様も、その従兄弟である父も、先代とは比べ物にならないくらい、魔力が少なかったの。その中にいて、数世代以降希に見る魔力を持っていた私は、引く手数多だった。自慢に聞こえたらごめんなさいね。でも、事実そのおかげで、人々の私を見る目は一人の女性を見るものではなく、魔力という金の成る木を見るものだったのよ。


 婚約者である王太子は、私に劣等感を抱き、私を見る目は冷たかった。いつも私と比べられ、益々意固地にそして、私から心は遠ざかっていったわ。

 ある時、王宮からほど近い森で、魔力溜まりが見つかったと報告があったの。宮廷魔法師団は調査隊を派遣し、私も参加したわ。その時、騎士団も派遣されていて、代替りしたばかりの騎士団長だった彼に出会ったの。

 同じ宮廷魔法師団の人たちは、王太子寄りの人が多くて、妬みもあり、私は浮いていたの。さらに、騎士団と宮廷魔法師団は折り合いが悪かったので、私が何と意見を言っても、何も聞き入れては貰えなかった。そんな中で、彼は「この場にいて、一番魔力を感じ取れ、操れる人の意見を聞き入れないのは、国益に反することになる」そう言って、一番話を聞いてくれたわ。


 調査の結果、その魔力溜まりは危険と判断され、早急に対応が求められたわ。その結果を王太子に報告したところ、「そんな危険なものは見つかっていない」と反論されたの。虚偽の疑いまでかけられたわ。それを確かめるため、彼と魔力溜まりまで確認に行くと…何も、何もなくなっていたの。私と彼が唖然としているところに、王太子の息のかかった騎士団員から「王太子に報告する」と咎められたわ。

 王宮に戻ると、私と彼が逢瀬を重ね、虚偽の報告で王太子を失墜させようとしていると、根も葉もない噂を立てられていたわ。王太子はそれを理由に私との婚約を破棄。私は宮廷魔法師団を退団させられたわ。まんまと王太子の策に嵌められてしまった。私だけなら耐えられた。でも、彼まで…騎士団長だった彼は、降格され、魔族との交戦が激しい地域へと左遷されたわ。


 私は「一族の恥だ」そう言われて、屋敷に軟禁されたの。みんな、私を褒め称えながら、実は妬みや突出した魔力に恐れがあったのね。今までと掌を返すように冷遇されたわ。魔力を抑える装具をはめられ、言われるがまま、魔法具を作らされる毎日だった。でも、実はその装具は何の効果もなかったのだけれど。はめた瞬間、私の魔力に当てられて壊れたの。それでも、無気力だった私は、何もかも受け入れたの。その時になって、彼への恋心を自覚したから…。


 「…カサンドラ」

 その声は、家庭内で唯一私の味方だったお姉様だった。


 「ブレオッシュ伯爵から手紙が届いていたわ。お父様に見つかる前にこっそり抜きとってきたの。今晩もう一度顔をだすわ。その時までにお返事を書くのよ。私が必ず届けるわ」

 お姉様は、そう言って去っていったわ。


 早速手紙を見た。

 『カサンドラ・カレ・エバーデル公爵令嬢様

 

 初めてのご挨拶となります。ブリオッシュ家家令、マーカス・ボッシュと申します。季節のご挨拶もなく、申し訳ございません。取り急ぎ、主人の代筆として、筆を取らせて頂きました。主人は派遣先で病に冒され、領地へと帰郷しました。

 主人は先の短い死期を察し、先代が亡くなる直前に建てた別荘で余生を過ごしたいと申しております。口ではお嬢様のお話をなさいませんが、時折、ふと無意識にお嬢様の名をつぶやかれておいでです。生まれた時より主人と共にある私には、主人がお嬢様に焦がれておられるのが、はっきりとわかりました。 

 失礼なお願いでございますのは承知しております。どうか、一目で結構でございます。主人とお会い頂けませんでしょうか。主人が亡くなる前に。お返事をお待ち申し上げます。

 ブリオッシュ家家令 マーカス・ボッシュ』


 私は手紙を見て愕然としたわ。私のせいで、彼の前途ある未来を奪ってしまった。夢にまで見た彼がこの世からいなくなってしまう。私は必ず会いに行くと返事を書き、この家を出る準備をしたわ。お姉様に手紙を託し、私が家から出ることを秘密にしてもらったの。おそらく、今生の別れとなるだろうから、お姉様とは涙で別れたわ。


 「カサンドラ。貴女は私の誇りよ。こんな所で貴女を腐らせるくらいなら、死ぬまで会えないとしても、大空へ飛びた立たせるわ」

 「ありがとう。ありがとうお姉様。お父様とお母様をお願いね。お兄様にもお礼を」

 「あんなわからず屋達のことは心配しないで。貴女はここではないどこかで幸せになるのよ」


 お姉様はそう言って、私に金貨と宝石の入った袋を渡してくれた。


 お姉様と別れを済ませ、私は転移で森まで飛んだわ。その後、ブリオッシュ家の家令と待ち合わせ、彼の屋敷へと向かった。


 「クラウル様…!」


 久しぶりに会う彼は、すっかりやせ細り、死期が近いことが見てわかったわ。


 「カサンドラ様!どうしてここに…」

 驚く彼に縋り付き、泣いて謝ることしかできなかった。


 「あの後、会うことも出来ず、謝罪することも出来なかった。本当に本当にごめんなさい。私のせいで貴方をこんな目に合わせてしまった」

 「カサンドラ様、貴女は何も悪くない。それに、私はなんの後悔もしていないのですよ。寧ろ病に倒れたことが悔しくて堪らない…あのまま王都にいたならば、魔族との現状を知ることもなかったかもしれない」


 彼は魔族との関係を憂いていたわ。そして、腐り切った国の中枢を嘆いた。


 「今となっては、私にはどうしようもないですが。しかし、天に召される前にカサンドラ様に、会えて良かった」

 「私のことはカサンドラと。敬語も不要です。私は家を捨てました。私はただのカサンドラです」

 彼は目を見開き驚いた顔をしたあと、優しく微笑んで、

 「では、私のことはクラウルと呼んでくれ」


 それから、彼は自分が死んだら弟に家督が譲られる様に手配し、この別荘である屋敷のみ自分の物として、すべてを弟に譲った。ここに、少ないの使用人とともに越してきて、しばらくは落ち着いていたわ。その間に、彼と想いが通じ、愛し合うようになったの。でも、彼は「君はまだ若い。私のように死にゆく者でなく、君を幸せに出来る人と一緒になるべきだ」そう言って、婚姻は結ばなかったわ。

 私には彼しかいなかった。何としてでも彼を治したかった。私は病の元凶である、胸の魔物を退治するすべがないか、必死に研究したわ。私は周囲に姿を知られるわけにいかないから、なるべく身を隠して生活していたの。すると、いつしか、この屋敷に魔女が出入りしていると噂されるようになってしまった。


 彼の意識が無くなり、もう駄目だと思ったわ。そこで、時を止める魔法を使って、彼の病を未来に託したの。魔法を行使する前に、屋敷の使用人には休暇をいいつけ、屋敷には彼と二人になるようにしたわ。何年も時を止める魔法には、膨大な魔力が必要なため、私のすべての魔力と持っているすべての魔石を使ったわ。計算ではおおよそ100年くらいのはずだったんだけれど…。

 





 

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