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転生魔女ですが救世はお断りします!〜世界を救うとか面倒くさい〜  作者: 高木 藍


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(49)屋敷の中

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カサンドラは、一気に時を止める魔法を使った経緯を話し終えると、お茶を一口飲み、ふぅと息を吐いた。


 「なるほどね。なかなかハードな人生だったのね」 


 私とマーレがうんうんと頷いていると、微妙な表情のマリアとリンがいた。エルラインは無表情で、背後に立っている。


 「マリアとリンはどうかしたの?」

 「…話の腰を折るのはどうかと思って言わなかったんだけど、何を話しているのかさっぱりわからないのよ…」

 マリアがおずおずと話すと、リンが頷く。


 「さっきはこっちを見て名前を言われたので、紹介してくれてると思ったですが、この方の名前もわからないです…」

 リンがしゅんとしている。


 え?どういうこと?


 私がマーレを見ると、何か思いついたようだ。

 

 「そう言えばそうかもしれないわ。カサンドラは古代精霊語を話しているものね。昔はこの言葉が人族でも使われていたけれど、7〜800年前から変わってきて、ここ400年くらいから今の言葉になったんじゃないかしら。エルフやドワーフ、魔族は古代精霊語を話す人もいるけど、それ以外の獣人族や人族は話せないかもしれないわね」


 マーレは頬に手を当てて、コテンと首を傾げる。いちいち可愛い。


 そうなの?ってか、古代精霊語を話してるつもりもなかったんだけど。


 エルラインは元々エルフの里で育ったし理解できるのか。しかし、言葉が通じないと不便だね。こっちの言葉が理解できる魔法を作ろうか。


 『クリエイト:言語理解』


 「言語理解」


 わたしは、カサンドラに魔法をかけた。


 「カサンドラ、マリア達はアナタの言葉がわかってなかったので、わかるようにアナタに魔法をかけたわ。マリアとリンは、もう一度自己紹介してみて」


 マリアは頷くと、話し始めた。


 「はじめまして。私は白狼の牙と言う冒険者パーティーの弓士。マリアよよろしくね」

 「同じく魔法師のリンです。よろしくです」


 二人が話すと、カサンドラは驚いた顔をした。


 「本当に違う言語だったのね。失礼したわ。魔法師のカサンドラ。よろしくお願いするわ。全く知らない言語なのに、理解できて話ができるなんで、変な感覚ね。私の知ってる魔法にはなかったわ。どう言う仕組みなのかしら。一度魔法式に起こして研究したいわ」


 …さすが、元宮廷魔法師。魔法への探究心が半端ない。突っ込まれると面倒くさいので、話を変えよう。


 「ええっと、カサンドラがさっき話していたことを、掻い摘んで話すわね。そこに寝ているクラウルは、騎士団長だったんだけど、カサンドラの婚約者だった王太子に嵌められて、辺境に飛ばされた挙句病気になって、瀕死になった。んで、同時にカサンドラは宮廷魔法師団を追われた。自宅で軟禁されてたけど、クラウルの瀕死を知って家出して、ここで看病してたわけ。でも、治せないから、病気が治せるかもしれない未来に託して、魔法で屋敷事時間を止めた。100年くらいの予定が1300年経ってたと」


 「…そうまとめられると、自分の人生がなんだかつまらないわね」


 せっかくマリア達に分かりやすく話したのに、カサンドラは複雑な表情だ。


 「カサンドラさんは、全てを捨ててクラウルさんに人生を捧げたですね!素敵です」


 あんな簡単な説明だったのに、乙女なリンには刺さったようで、キラキラした瞳でカサンドラを見ている。


 「1300年も経ってしまっていたら、親族や友人も居ないだろうし、これからの生活が大変ね」


 さすがパーティーの苦労人マリアは現実的だ。とは言え、マリアの言う事は最もで、唯一残っていた屋敷もわたしの物になっている。


 「1300年前の生きた歴史証人を追い出したりはしないわ。差し当たって、クラウルが回復するまでは、ここで面倒を見ましょう。二人の身の振り方はその後に考えたらいいわ。その間に、改装を進めて、薬店を開く準備をしましょう」


 一同は異論はないようで、頷いている。


 「迷惑をかけて申し訳ないわ。彼を治すことに囚われていて、その後のことなんて考えてもいなかった。魔法を解いてくれたのが、ユーミ達で本当に良かった」


 カサンドラは泣きそうな顔で頭を下げる。


 「心配しなくても、こんなに強い結界魔法を解ける人なんて、私かカシアスでなければユーミしかいなかったんだから、必然だわ。たとえカシアスでも、悪いようにはしなかったでしょう。安心して彼の治療に専念なさいな」

 微笑むマーレは差し詰め菩薩のようだ。カサンドラはおいおい泣きながら、マーレに礼を言っている。いや、解いたのわたしですからね。


 「申し訳ないけど、この屋敷の所有権は今は私にあるの。屋敷にある金品はそちらに渡すけれど、その後どうするかは、二人で決めてね。クラウルが回復したら、二人の身分証をどうするか相談する為に、カシアスの所に行かないとね」



 その後、カサンドラに伴われて、屋敷の中を見て回ることにした。


 1階の奥には広い厨房があった。


 「食材とかも一緒に時を止めたから、すぐにでも使えると思うわ。でもごめんなさい。私、料理とかできなくて…」


 カサンドラは恐縮している。公爵家の令嬢だったんだから、そりゃそうだろう。


 「心配しなくても、奥内のことはエルラインが仕切ってくれるから大丈夫よ」

 エルラインは無表情で頷く。


 「ここの食材は、今ではもう無いものとかありそうね。調べて珍しいのは取っておいたほうがよくない?」


 マリア、いいこと言うね!


 「そうしましょう。後で見てみましょう」

 

 

 浴場はあったが、湯に浸かる文化はなかったようで、サウナとそれを流す水場のみだった。ここに風呂を増設しよう。

 トイレは2階に2つ、1階に使用人用が1つあった。水洗ではなく、スライムが直にいるトイレだった。ここも水洗に変えよう。スライムが見えないように。

 因みに、下水処理しているのは、今でもスライムだ。エステラでは、街の地下に巨大な下水タンクがあって、そこにスライムが放流されている。スライムがキレイにした水を川に戻しているのだ。エステラ以外の街はトイレにそのままスライムがいて、ウニョウニョ動いている上で用を足すのだ。コレールで初めて見たときは声をあげそうになった。慣れたけど。


 1階には厨房、ダイニング、応接室、浴場、使用人用の二人部屋が3部屋あった。2階には主寝室とそれにつながるドレスルーム、大きなリビングルームと執務室、書庫、客室が5部屋あった。屋根裏には物置部屋と一人用の使用人部屋が2部屋あった。客室はどれも広かったし、使用人部屋も十分広かった。


 とりあえず、カサンドラはクラウルと一緒にいたいということなので、そのまま主寝室を使ってもらう。わたしとマーレは客室を使う事にした。エルラインは1階の使用人用を使うと言ったので、ベットを1つ片付けて、寝心地のいい大きなベットを作ってあげた。無表情で喜んでいた。主寝室や客室の寝具は十分寝心地が良さそうだったので、そのまま使う事にする。


 「うう…うらやましいですぅ。私もここに住みたいですぅ」

 リンが恨めしげに部屋をみる。

 「リンたちは自分たちのパーティーハウスがあるんでしょう?」

 「こんなに広くないし、ベッドも固いし、マリアと同室だし」

 ブツブツと恨み言が止まらない。


 「こんなに部屋があるんだから、時々遊びにおいで」

 「本当ですかっ?!」

 「でも、ザックやジョーイも寂しいだろうし、せっかくパーティーハウスがあるんだから、入り浸るのはダメだからね」

 「約束するです!」


 リンが笑顔で頷く。あ、マリアもね。


 お腹が空いたので、ここで昼食をとって冒険者ギルドに行くことにする。食材は空間収納の物を使う事にした。と言っても、作るのはエルラインだけど。わたしたちはリビングルームで食事ができるまで雑談する。エルラインを手伝おうとしたが、断固として拒否された。

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