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73 新レシピ

もう松も取れてますが、いちおうご挨拶です。

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

戯れに、第1話の冒頭に、パッケージアート風のイラストをアップしました。

何となく作品のイメージをくみ取っていただければと思います。

 気がつけば、2月も残すところあと5日。(ゲームなので2月も30日ある)

 新領地の治水工事もあと2日ほどで修了する見込みである。

 城の二基の櫓にはそれぞれ2台の連弩が設置され、東西南北に延びる街道を睨んでいる。

 いよいよ馬車にも連弩が載せられ、牽引式とあわせて、今か今かと実用試験を受ける時を待っていた。

 更に、兵員輸送用の10人乗りの馬車も完成し、こちらも実際にフル装備の兵員に乗ってもらって、野戦で使えるかテストをするタイミングを待っていた。

 鐵之助は、美紀さんの問題があってもいつも通り、今日も連弩を作り続けている。

 忍びとして入って来た2人の弟子も、そのまま矢を作り続けている。

 そんな現在の領地の状況と、美紀さんに対して行った措置を報告するため、俺は清洲城で信長さんと会っていた。


 「まことに、その忍びを取り込んだと申すか」

 「はい、絶対とは言えませんが私の感じたところ、その場の言い逃れでこちらに協力すると言ったとは思えません」

 「信じられん。草となる者には余程の忠誠心がなければ、任せたりしないはず。出浦盛清がそのような失態を犯すとはな」


 そう感想を述べたのは、森さんである。

 この方面の責任者でもある彼にも、報告しない訳にはいかない。

 彼女が二重スパイである以上、こちらの情報がある程度漏れるのは覚悟しなくてはならない。

 だが、その真実の中に嘘を織り交ぜるからこそ、効果があるというものだ。

 そこを何とか説明して、2人に納得していただいた。

 そして、去年信長さんから3ヶ月で新領地を利用出来るようにしろと命ぜられた成果の報告と、新兵器の性能試験を関係者に見てもらうため、織田家重鎮たちを領地にお招きしたいと提案したのだ。

 信長さんからは快諾をいただき、3月になって早々の2日に他の重臣らも引き連れて来ていただけることとなった。

 羊羹の時のような押し掛けでは無く、こちらから招いた形になるので、きちんとしたお出迎えとお持てなしをしなければならない。

 誰が来るかは、明日中にまとめて文でお知らせいただけると言うことで、それに合わせて、精一杯のお持てなしをするとしよう。

 となれば、何か新しい料理を披露しなければなるまい。

 問題は、何を作るか。

 そう言えば正月、おせち料理って食べなかったなぁ。

 それどころじゃ無かったというのもあるが、おせちかぁ。

 でももうすぐ3月だしな。

 じゃぁ雛あられか菱餅?

 ちょっと、お持てなしと言うには足らないな。

 もっとインパクトがあるとなると、やっぱり甘味系ですかねぇ。

 おせちで甘味と言えば、やっぱりアレですかねぇ?

 栗きんとん。


 ちょっと脳内レシピを繙(ひもと)いたところ、必要な材料は〈栗の甘露煮、さつまいも、砂糖、みりん、塩、甘露煮の汁〉だとぉ!?

 いきなり無理っぽいな。

 まず、さつまいもが無い。

 更に言えばみりんも無い。

 まあ、みりんの代わりは甘い中国酒で代用出来ると思うが、さつまいもは無理である。

 これはちょっと見込み無しだな。

 栗きんとんがダメなら伊達巻きか?

 こっちのレシピはどうだろう?〈卵、砂糖、みりん、出汁、塩、醤油、はんぺん(白身魚のすり身)〉う〜ん。

 みりんと魚のすり身が問題だが、こっちの方がまだ可能性高いな。

 それと、名前が伊達巻きって言うのも問題なので、卵カステラとかにしておくかな。

 伊達と言えば政宗だが、この時代まだ政宗は生まれていない。

 それどころかその父の輝宗でさえ家督を継いでいない。

 その前の伊達晴宗がまだ当主の時代だ。

 少し前に内紛などもあったようだが、東北地方の中でも全国に名の通った名家である。

 そんな名家の名を、卵焼きの名前に使ったりすれば、色々物議を醸す事になるだろうから、伊達巻きと呼ぶのは止めておこう。

 そうと決まれば、みりんの代用品になる酒を見つけなくてはならない。

 城を出てから俺は、すぐに酒屋へと向かった。

 うちの領地の酒屋は、俺が流行らせたせいなのだが、最近はほぼ清酒しか置いてないので、ちょっと変わった酒は、清洲でないとなかなか見つからないのだ。


 しかし、清洲の酒屋に来て愕然となった。

 こっちでも清酒フィーバーが起こっていたのだ。

 料理酒的な物まで減らすことは無いだろうと文句を言ったが、清酒しか売れないんだから仕方ないと、言われてしまった。

 こりゃ、間違い無く俺のせいだな。

 まいったなぁ。


 ※みりんの代用には日本酒に蜂蜜や砂糖を混ぜてもいける気がしますが。


 おっと、神様、久しぶりですなぁ。

 煮物なんかならそれでも良いかもしれないが、どうだろうな。

 おお、確かにレシピにもそんなことが書いてあるな。

 なるほど、蜂蜜ならむしろ低カロリーになるってか。

 蜂蜜ねぇ。

 確か砂糖より高価だった気がするんだが。


 ※そうですね。まだ日本では養蜂業というものが確立されておりませんからね。

  専ら山師などが偶然に見つけた物を献上したりして、偉い人の口に入るという感じでしょうか。


 なるほど〜。

 つまり養蜂をきちんと産業化出来れば、良い商売になりそうだねぇ。

 ってか、そんな高価な物伊達巻きごときに使えるかい!

 砂糖で十分ですわ。


 と言うことで、伊達巻きの作り方。

 まずは魚のすり身を作る。

 白身魚なら何でも良いが、この時期はたらなどが手に入りやすい。

 骨や皮を取って乳鉢で磨り潰す。

 ペースト状になったら卵を大量投入。

 泡立てながらまんべんなく混ぜ合わせる。

 更に酒、砂糖、塩、醤油、だし汁を混ぜ合わせ緩い液状になるまで混ぜる。

 ここで味見をして、ちゃんと伊達巻きの味になってるかチェックしたら、あとは焼くだけである。

 本来ならオーブンが良いのだが、今回は今川焼きの装置を使って四角く焼き上げる。

 弱火でじっくりと焼き上げ、表面に焦げ目が付いたら裏返して両面を焼く。

 焼き上がったら巻き簀でグルグル巻きにして、解けないように固定して自然に冷ませば出来上がりである。

 うん、しっとりとした甘さが何とも言えませんね。

 確かに砂糖だけだと、甘すぎる気がするな。

 蜂蜜を使えばより風味が良くなることは間違い無いだろう。

 これは、養蜂を本格的に始めるべきかな。

 そう言えば斎藤家に蜂屋って武将がいたけど、関係あるのかな?


 ※蜂は居たかもしれませんが、養蜂とは関係無いと思います。


 そうですか。

 なら、俺が始めればパイオニアだな。

 いずれ特産品に追加してやるとしよう。


 より伊達巻きの完成度を上げているところに、ちょうど今回の参加者の名簿が届いた。

 さてはまた30人ぐらい来ちゃうのかな、と思ったが、意外なことに10人程しか来ない。


 丹羽長秀

 佐久間信盛

 森可成

 柴田勝家

 池田恒興

 滝川一益

 村井貞勝

 佐々成政

 前田利家

 松平家康

 石川数正

 

 だが、いつものお歴々に加え、徳川家康と石川数正の名が見える。

 岡崎からわざわざ呼びつけるとは、俺の言う新兵器とやらがそれなりに注目されていると言うことだろうか。

 あるいは、武田・今川対策として、今回の兵器が有効かどうか探る意味合いもあるのかもしれない。

 こちらとしては、しっかりとプレゼン出来るように、準備を進めることにしよう。


 鐵之助と又右衛門に連弩と馬車に関するプレゼンの準備をするように命じて、俺は当日のお持てなしの献立を千恵蔵を交え、台所番と相談する。

 俺がこの時期旬の魚と言えば「寒鰆(かんさわら)」じゃないかと言うと、アンコウ鍋も棄てがたいなどと、千恵蔵が生意気なことを言い出した。

 アンコウなんて今まで1回しか食べたこと無いぞ。

 アンコウのマークが描いてある戦車は何度か見かけたことはあるがな。

 ふうん、君は食べたことあるんだね。

 ともあれ、ここで色々話してても水揚げが無かったら意味が無いので、結局前日に市場に行って判断すると言うことになった。

 馬車と連弩のお披露目は、開拓した新領地で行えば1度にお披露目と報告が行えると言うことで、それに向けて、急遽観覧席と試射場の設営が突貫工事で行われた。

 さらに、兵員輸送の実演のためフル装備の鉄砲隊8名を選抜し、身ぎれいにしておくように言い渡した。

 大急ぎで様々な準備を進めているうちに、あっという間に2月30日を迎えてしまった。

 早速、領地チェックをするとしよう。


○吉子村

 領主:大谷吉子

 所属:織田家

 人口:3152人

 石高:418石

 金収入:7280

 米収穫:2950

 総兵数:800(うち雇い兵200、警備兵100)

 商業:927

 農業:545

 木産:140

 鉄産:80

 民忠:64

 特産品:魚・菓子

 

 ◇施設

 市場:2

 工房:1

 城郭:1(吉又城)

 港:2

 店舗:2


 おっ!ついに特産品に菓子の文字が!

 それにしても商業と、現金収入が突出してきてるな。

 まあ、新領地に水田が完成すれば一気に石高も上がるだろう。

 そろそろ人口も3000を超えて、村と言うよりは街に近づいてきてるようですが、どうなんでしょう?


 ※法律上共通の規定は特にありませんが、県が定める人口に達し、かつ中心地に全戸数の6割があれば町と認められるようです。


 それは今の日本の法律でしょ。

 このゲーム上ではどうなのよ。


 ※特に決まりはありません。

  街と名乗りたかったら、改名をすればすぐに実行出来ます。


 あそ。

 何かこう、達成感ってものが無いね。

 人口3500人超えた。

 ようやく街だ〜!

 とか言いたくなるじゃん。


 ※ゲームならそうなるかもしれませんね。

  でもここは、大谷さんが現実に生きている世界ですから。


 でも、ゲームなんでしょ?


 ※ゲームが元だとしても、大谷さんやNPCにとっては現実なのですよ。


 ふむ……。

 まあそうね。

 したくてもログアウトとか出来ないもんね。


 ※そういうことです。


 まあいいや。

 明後日には、お歴々をお迎えしなくてはならないからな。

 そんなことで悶々としている場合じゃ無い。

 そう思っていたところ、早馬で文が届けられた。

 誰からだ?

 封書の差出人の所に「次郎左衛門」の文字が見えた。

 ん?大沢さん?何の用だろう。

 文の内容は、「明後日、其方の領地で新しく出来た甘味専門店にて、今川焼きとやらを是非食したい」と言うことだった。

 え!?明後日?

 それは……まずいな!


ここまでお読みくださりありがとうございます。

イラストに余計な力を注いだため、本文がちょっと短くなってしまいました。

次からは平常通り、週2回更新のペースに戻りたいと思います。

ひきつづきよろしくお願いします。


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