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25 目出度きかな

ちょっと短めです。済みません。

 10月5日。

 俺はまた、清洲城に呼ばれていた。

 何事かと構えて行ったのだが、何のことは無い。

 例の天ぷらを、当主の俺様に食わす前に調略相手に食わす奴があるか、と言う話だった。

 まあ確かにそうなのだが、半分は偶発的なことだったので、あえてやったわけじゃ無いことを延々と説明する羽目になってしまった。

 当然の流れで、織田家中の重臣達を招いての天ぷらパーティーを一週間後、開くこととなった。

 今度は参加者も多く20人あまりとなり、町子ちゃんと2人では到底手が回らないので、秀吉に頼んで寧々さまを貸してもらうことにした。

 参加メンバーは以下の通りである。


 織田信長

 織田信興

 織田信包

 織田長益

 丹羽長秀

 佐久間信盛

 滝川一益

 柴田勝家

 池田恒興

 佐々成政

 河尻秀隆

 森 可成

 林 秀貞

 前田利家

 村井貞勝

 木下秀吉

 水野信元

 魚住隼人

 蜂谷頼隆

 金森長近

 毛利良勝

 毛利長秀

 岩室長門守

 山口飛騨守

 平井久右衛門

 太田牛一


 役目などで参加できなかった者を除けば、ほぼ織田家の主要メンバー勢揃いである。

 ここで毒などを盛って全員毒殺すれば、歴史はどうなってしまうのだろうか。

 それにしても、こんなことで主要な家臣を全部呼び寄せるとは、信長さんも何を考えているのか分からない。

 毒殺の危険もさることながら、それぞれの持ち場がどうなっているのかが心配である。

 ただまあ、まだ尾張一国だけだから出来たことでもあるのかもしれない。

 これが美濃を手中にした後では不可能であったろう。

 さて、肝心の天ぷらであるが、今回は舞茸に加え、椎茸と、獅子唐がまだ日本に無いので伏見甘長唐辛子という、獅子唐よりちょっと細長く辛みの無い青唐辛子を追加してみた。

 前回の反省も踏まえ、今回は全員の見ている前で、揚げる鍋も二つ用意して、目の前で揚げる姿を見てもらい、揚がって油が切れたらすぐさま膳に運び、文字通り揚げたてを食べていただくことにした。

 更に、前回、ご飯だけ別に出しておいたのだが、ほとんど食べられなかったことを考え、今回は最後にかき揚げ丼にして、出すことにした。

 量を少なめにして、その分品数をおおくしたのだ。

 配る手間が大変だったが、そのぶん満足していただける内容だったと思う。

 自分で言うのもなんだが、俺が生前、唯一食べたことがある新橋の高級天ぷら店の天ぷらと比較しても、見劣りのしない出来映えだと自負したいと思う。


 結論から言えば、天ぷらパーティーは大成功であった。

 酒も2樽用意したが、キレイに無くなった。

 っていうか足りなかったので、途中でもう一樽追加したほどだ。

 天ぷらの味もさることながら、久々に家臣が一堂に会したことが大きく、最後はまるで大戦に勝った後のようなドンチャン騒ぎになってしまった。

 俺のことも、女だてらに妙に出世している奴がいる、とあまり良く思われていない部分もあったのだが、今回のことでだいぶ見方が変わってきたようだ。

 また、このパーティー開催のきっかけとなった天ぷら情報は、柴田勝家からもたらされた。

 つまり信長さんに、大谷吉子が天ぷらと称す格別に美味なる料理を作る、とご注進したのは柴田勝家だった。

 彼はこれまで、一度敵方に付いて出戻ってきたことで、家中でも肩身の狭い思いをしていたのだが、今回のことでだいぶ扱いも変わってくるのではなかろうか。

 更に、それとなく信長さんに、我が領地で天ぷら専門店を作っても良いかしら?とお伺いを立てることも忘れていない。

 木曽川、長良川で捕れる鮎などをメニューに加え、鵜飼いと合わせて観光化すれば、かなりの集客が期待できるのではないかと思う。

 さらに、うなぎなども豊富に捕れるので、こういった食文化の発信基地になれれば、あの街並みも生かした観光都市とすることが可能となるかも知れない。

 そんな、うっすらとした将来のことを考えながら、後片付けをしようとしていたところ、まだ家中の皆さんがいる中で信長さんが俺をわざわざ呼びつけた。


 「吉子よ。此度の料理、誠にあっぱれであった。お主の手に掛かればゴミのように捨てられておった小鰺さえ、斯様に旨きものになるとはさすがじゃ。先ほど天ぷらを尾張の名物にしたいと申しておったな。存分にやるが良い!」

 「はは!ありがとうございます」

 「只今より、お主を膳奉行に任ずる」

 「はは〜っ!謹んでお受けいたします」

 「少なくとも年2回は天ぷらの会を開くように」

 「あ、はい、承りました」

 「褒美に、これをやるとしよう」


 そう言うと、信長さんは小姓に予め用意させていたのだろう、細長い桐箱を持って来させた。

 そして箱を開けると、そこには見事な拵(こしら)えの脇差しが一振り入っていた。


 「安心せい。さほどの名刀では無い。此度のような戦働きでは無い功績にはちょうど良かろう」

 「とんでもございません。このような物を頂けるだけでも、有り難きこと。生涯のうちにそう有ることではございません」

 「フハハハ。心にも無いことを。名刀ではないが数打ちでも無いぞ。銘も入っておるしな」


 見れば目録に「備前 長船 勝光」と書いてある。

 正直刀のことはよく知らない。

 が、備前と言えば長船とか吉井なんとかさんとか有名な刀の産地である。

 勝光というのは、さぞや名のある刀工なんでしょう。


 「飾り気の無い刀じゃが、そこが良いという者も居る。まあ気楽に使えば良い」

 「ありがとうございます」


 刀なので気楽に使うのもどうかとは思うが、実用的と言いたいのだろう。

 その時、後の方で大声で囃したてる者がいた。


 「目出度きかな、目出度きかな〜!」


 木下秀吉であった。

 頭の上で手を叩き、がに股で妙な踊りを踊っている。

 その姿はまさしく猿のようであり、その姿を見て信長さんも「猿がおる、猿がおるぞ〜!ぶわ〜っはっはっ!」

 と指を指して大笑いを始めてしまった。

 それを見て、他の家臣も秀吉に合わせ、「目出度きかな、目出度きかな〜!」と、一緒になって踊り出してしまった。

 いつの間にか家臣達は秀吉の後に続いて踊り歩き、その列に信長さんも加わってしまった。

 こうなりゃ俺も加わるしか無い。

 寧々さまや、側にいた小姓も巻き込んで「目出度きかな〜!」の列はグルッと円を描き、盆踊りのように輪になって延々と踊り続けるという、完全に混沌(カオス)な状態となっていった。


 ※アイテム、備前長船・勝光の脇差を入手しました。

  効果:統率+5


 ※大谷さん、勲功と名声値が上がったのでレベルアップが可能となりました。


 いやいや、今こんな時に言われても困るんだけど!

 っていうか、ついこの間レベルアップしなかった?


 ※前回までも、織田家に対する勲功は重ねていたのですが、結果が出ていなかったのです。

  ですが、ここひと月の勲功は、これまで積み重ねてきたものが、次々と結果となって表れてきたことで、急激に評価アップに繋がったものと思われます。


 そりゃ結構だけど、この騒ぎが収まったら確認しますんで。


 ※忘れずに確認をお願いしますね。


 はいはい。


 結局バカ騒ぎは一時間ほど続き、フラフラになりながらもそれぞれ、三々五々と帰っていった。

 女性陣は後片付けを終えると、どっと疲れが出たのか全くの無表情になりながら、それぞれ寝床へと向かって行った。

 どれ、レベルアップの確認ですか。

 なんかアイテム貰う度にレベルアップしてないか。


○大谷(飛騨掾)吉子(女)

 年齢17

 織田家:武将

 所持金:7180

 総合レベル:15

 思想:革新

 宗教:なし

 名声:125(補正+10)

 使用武器:メイン・火炎鳳凰緋扇

      サブ・脇差

 領地:吉子村

 能力値:

  統率81(補正+5)、武力74、知略95、政治87

  体力82、腕力61(補正+10)、技量53(補正+10)、乗馬6、砲術1、走力8

 常駐スキル:鑑定、茶の湯

 製造スキル:調理

 戦場スキル:看破、非道


 そういえば誕生日過ぎてたな。

 17歳ですか。まだまだ若いねぇ。

 しかし、何気に凄いスペックになってきたな。

 数字だけ見ればもう軍師クラスだよねぇ。

 あ、走力も上がっている。

 鵜沼城から一晩走り続けたのが効いたのかな。

 まあ、だいぶ嵩上げされた能力値だけど、名声が120超えてるならいっぱしの武将ってことかな。


 翌日、昨日のバカ騒ぎなどまるで無かったかのごとく、皆さんごく普通に自分の持ち場に戻っていった。

 俺も町子ちゃんらを連れて、自領まで戻る。

 やっぱり馬車が欲しいな。

 特にこうやって婦女子や荷物の多いときなど、馬子でテクテクじゃぁ効率が悪くていけない。

 牛に引かせる荷車もあるのだが、それに人が乗ることは無いし、何より遅い。

 馬車の開発をどうにかして進めないとな。

 なんか良い方法ありますか?神様。


 ※やはり、一番速いのは外国人と知り合いになることでしょう。

  特に船乗りは、そういった木工の技術に長けている者が多いので、お勧めです。

  上手くすれば、外洋航行が出来る船の設計も可能になるかも知れません。


 それにはキリスト教の伝来が必須というわけね。


 ※そうなりますね。


 宣教師待ちか。

 もう少し町が発展すればやって来るかもな。

 確か天ぷらの語源がポルトガル語とか聞いたんだが、もしかしてその辺に引っ掛かって来てくれると、良いねぇ。

 よし、天ぷら専門店も早急に準備をするとしよう。


 領地に戻ると、早くも浅井からの返事が届いていた。

 早速次回の会談の日取りの相談かと思ったが、どうも違うようだ。

 今回の同盟話が朝倉の知るところとなり、朝倉の方から、「もし織田と組むようなこと有らばこれまでの関係が崩れるかも知れぬ」と脅しをかけられたらしく、特に浅井三将は完全に後ろ向きな状態になってしまったそうだ。

 こりゃ、浅井の前に朝倉を何とかしないといけないのかな?

 美濃でさえまだ手が出せないのに、朝倉にまで工作を仕掛ける余裕などあるだろうか。

 今の俺の実力じゃ、到底無理だ。

 かと言って、朝倉不可侵条約は織田にとって将来足枷となりかねない。

 こりゃ柴田さんじゃないけど、お市様の色香で、浅井長政本人を転ばせるしか無いのかもしれんな。


ここまでお読みくださりありがとうございます。

誤字、脱字、誤解、誤謬、天ぷらを舐めているなど、ご意見、ご感想、なんでも結構ですので、メッセージをいただければ、更に頑張ろうという励みになりますので、よろしくお願いします。

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