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17 大抜擢

2021/07/14:誤字修正と言い回しの一部を修正しました。


 領地に戻り、明日行われる鵜沼城攻略会議について考えてみた。

 正直、吉乃さんの件でなかなかそっちを考えている時間が無かったのだが、前回は斎藤龍興をどういう手段で孤立化させるかが宿題になっていた。

 ここで、斎藤家の家臣の、忠誠度や政治信条を改めて確認してみることにした。

 

○安藤守就

 忠誠度:75

 思想:中道


○稲葉良通

 忠誠度:74

 思想:中道


○氏家直元

 忠誠度:81

 思想:中道


○竹中重治

 忠誠度:71

 思想:革新


○遠山友忠

 忠誠度:81

 思想:保守


○加藤光泰

 忠誠度:85

 思想:中道


○原長頼

 忠誠度:77

 思想:中道


○不破光治

 忠誠度:79

 思想:中道


○斎藤利三

 忠誠度:73

 思想:中道


○日根野弘就

 忠誠度:70

 思想:中道


○古田重然

 忠誠度:69

 思想:革新



 忠誠度はこれまでのゲームの傾向からすれば、80を下回った場合、寝返る可能性が高いと言える。

 70を切ったら危険水域で、即、家宝などを与えて忠誠心を高めなければいけない値だ。

 主だった武将だけでもこの状態である。

 やはり大名がもうひとつなヤツだとこういうことになる。

 古田織部など、一声掛けただけでホイホイとやってきそうである。

 竹中半兵衛もちょっと本の一冊も与えればコロッと行きそうである。

 やはりこの時代、最低85はないと安心して城など任せられないだろう。

 付け入る隙はやはり竹中半兵衛と美濃三人衆だ。

 特に安藤守就と氏家卜全は、寝返れば城も付いてくるのでお得である。

 まあ、実際にはゲームのように簡単に行かないのは、良く分かっている。

 だが、史実でも三人衆と竹中は最初に造反し、美濃攻略の糸口となったのだ。

 ここで問題なのは、織田が先に浅井との同盟を結んでいたから一層、斎藤家の孤立が深刻化した経緯がある。

 それが無いかぎり、斎藤家は浅井家と盟を結ぼうとするであろう。

 そうなれば逆に追い詰められるのはこちらである。

 もちろん先を見る目に優れた信長さんである、そんなことは分かりきっていると思うが、念のために本人にその意思があるのか、確認しなくてはならない。

 大沢次郎左衛門に金4000で面会せよという依頼を出した時点で、そこまで考えてのことと理解すべきだろうが、こちらの進展具合を見てから浅井との同盟依頼に結びつけようとしているなら、思惑が外れることになるので、早めの確認が必要だ。

 ここは鵜沼城に拘らず、総合的に判断する必要がある。

 最悪犬山・鵜沼ラインは最後でも良いかも知れないのだ。

 浅井との同盟がなれば、先に西美濃でも良いのだ。

 武田と織田信清の繋がりを気にするから、どうしても東から安全にして行きたい気持ちは分かるが、そっちは徳川さんにお願いするとしよう。

 さて、宿題になっているのは、具体的な方策である。

 まずは斎藤龍興の暗君ぶりを見せつけ、あなた達は蔑ろにされてますよと美濃三人衆らに思わせるのには、何をするのが一番良いか。

 全くの嘘では誰も信じない。

 ある程度の真実を交えなくては、疑心暗鬼を呼び起こすことは出来ないだろう。

 そのためには、もうすこし城内で起きていることを知る必要がある。

 下準備として、龍興の政策決定の過程を知る必要があるだろう。

 もしかして、この水晶玉で覗けちゃったりして?

 試しにやってみよう。

 だがやはり、稲葉山城を映すことは出来たが、城内までは見ることはできない。

 そのかわり、偶然にも興味深いものを見ることができた。

 恐らく竹中重治と思われる武将が、たまたま城から出てくるところが見えたのだが、暫く様子を見ていると、何やらその辺に有る物に当たり散らしているように見える。

 その行き先が地図から判断するに、どうやら安藤守就の屋敷と思われるのだ。

 事の詳細を知るには、やはり現地に誰か行くしかないな。

 稲葉山城にいても不自然ではなく、三人衆、竹中重治に話しができる人間か。

 案外たたら場の親父なんて、適任かも知れないな。

 まあ、その辺の人選は小六達の方が詳しいだろう。

 古典的な方法だが、間者を送り込んで叛心を煽るのが一番なようだ。


 翌日、関係者全員が新築の我が屋敷に勢揃いしていた。

 昨夜ザックリ考えた俺の方針を聞いて、皆がほぼ異論を挟むことは無かった。

 しかも、たたら場の親父案まで採用になったのには驚いた。

 こういうのって坊さんとか行商人とかが良いじゃないのか?

 以前親父が砂金が採れたと言って持ち込んで来た経緯を話したら、それと同じことを龍興にやれば良いと言うのだ。

 龍興に金山探索の提案をすると同時に、竹中半兵衛と美濃三人衆の悪評を吹き込むのだ。

 その証拠に大垣城下を、織田の家臣と思しき者がうろちょろしていた、と伝えれば、うろちょろしていたことは事実なわけだし、疑心の種を撒くことはできそうだ。

 さらに、あの親父は俺にだいぶ恩義を感じているようなので、そこも使える理由なのだそうだ。

 敵将の忠誠心を下げるのは、別に依頼がなくても勧められる行為ではあるが、それらも浅井との同盟が成ってこそなので、信長さんに確認することについても全員の一致をみた。

 たたら場の親父は、小六がよく知っているというので、その交渉は任せることにした。

 さらに協議の結果、竹中重治と三人衆の方にも人を送るべきということで、

 こちらは玄蕃が、適任の僧侶が居るというのでそちらもお任せする。

 鵜沼城については、竹中重治が調略に応じると言うまでは放置する、という意見で纏まった。

 つまり、大沢次郎左衛門については竹中さんにお願いしようという算段である。

 こちらとしても、犬山城を攻める背後から大沢次郎左衛門に攻められなければ、そのまま居座ってもらっても一向に構わない。

 最終的にこちらの陣営に入ってもらえるなら、動かないで居てくれるだけで良いのだ。

 彼がメンツに拘るなら、そういう解決策もあるだろう。

 その辺の話を、俺が明日清洲に行って、信長さんに直接話すことにした。


 「しかし、その水晶玉というのは恐ろしいもんじゃの」


 という秀吉の感想に一同がうなずく。

 まあ、この時代からすればとんでもないチートアイテムには違いない。

 今で言えばドローンを飛ばしているようなものだからな。

 完全に反則技である。

 ついでに稲葉山城の布陣も全員に見てもらい、この城をまともに攻めて落とすことの大変さを改めて知ることにもなった。

 仮に10倍の兵力が有っても落とせるかどうか怪しいという。

 それを見て、やはり内部から崩すしかないだろうという考えに、皆の同意を得ることができた。

 そして明日の信長さんとの面会には、秀吉も一緒に行きたいと言い出した。

 俺だけだと説得力に欠けるだろうと思っているのだろう、秀吉と川並衆の総意ということを強調するためにも、来てもらった方が良いかもしれない。

 その後、それぞれの役割と細部の詰めを行い会議を終了、宴会へとなだれ込んだ。

 なんか連日飲み明かしてないか?俺たち。


 宴会は盛り上がりながらも実に粛々と、大人の飲み会であった。

 俺も一升は飲まなかったし、小六も今朝は調子が良さそうである。

 唯一秀吉だけは青白い顔をしていたが。


 清洲城に着いたのが昼頃で、小姓の人に取り次いでもらってから、待つこと2時間あまり。

 ようやく信長さんにお目通りがかなった。

 まあ、突然押し掛けた割には早めに会って頂けた方だろう。

 俺がまず、大沢次郎左衛門の説得に単独で当たったが無理だったこと報告し、それについてを詫びた上で、この際、斎藤家の結束を崩して内部から崩壊させる方が良いという話をした。

 それに当たって浅井長政と同盟が欠かせないこと、それも可及的速やかに行うべしと言う提案をした。

 これが単なる思いつきではなく、秀吉はじめ川並衆の面々も同意していることを、署名を入れた意見書として提出した。

 それについて信長さんは暫く黙って聞いていたが、委細承知と言ったっきりまた黙り込んでしまった。

 そんなことは分かっとると言いたげである。

 どうやら他に悩ましい問題を抱えているようで、もしかして鵜沼城に揺さぶりをかけられれば、そこから動かしていこうと考えていたのかも知れない。

 だとすれば、やはり武田対策であろうか。

 史実では川中島の戦は来年のはずだが、既に信濃は大半が武田領となっている。

 矛先がこちらに向くのも時間の問題である。

 そのためにも現在徳川との同盟に向けての話し合いが続いているが、宿敵今川の家臣だった相手と同盟を結ぶのに、抵抗のある者も少なく無いのだろう。

 こちらもなかなか進展していないようだ。

 なるほど、現状結構な手詰まり状態ではあるのね。

 よし、ここは一発賭に出よう。

 伸るか反るか、自分が浅井と話をする、と言おうと思った矢先に、信長さんに先を越されてしまった。


 「吉子よ、お主に西美濃攻略と浅井との同盟の段取りを任せる。見事仕切って見せよ」

 「えぇ〜っ!」

 「それと秀吉。吉子の与力となれ」

 「えっ!えぇ〜っ!!」

 「2人で合力して事に当たれば、成し遂げられるであろう」


 思っても見ない展開である。

 秀吉が俺の部下?

 いやぁ、それって領地はどうなるんでしょう?

 あ、それはそのままで良いのか。

 信長さんはさらに続けた。


 「お主らでは武威が足らねば権六を付けさせよう」

 「権六?柴田権六さん?」

 「不足か?」

 「滅相もございません!!是非ともご助力頂ければと思います」

 「ならば以上じゃ。下がって良い」

 「ははぁっ!」


 いやぁ、えらいことになったな。

 柴田勝家は嘗て林秀貞と共に織田信勝に付いて信長と対立して破れた後、土田御前の取りなしで助命され、信長の家臣になった経緯がある。

 だからこれまでほとんど表だった活躍が無い。

 つまり全く信用されて無かったのだ。

 なので俺みたいなぽっと出の新参者の下に付けられ、嫌がらせのような目に遭ってしまうわけだ。

 恐らくだいぶ腐ってると思うが、そこは腐っても柴田勝家である。

 俺にしてみれば後見人みたいな役割になるのだろう。

 名声は諸国に轟いているだろうから、勝家が後ろ盾になれば、無名な俺でもちょっとは箔が付くかも知れない。

 そして秀吉君である。

 彼としてはだいぶ複雑な気分なのではなかろうか。

 一国一城の主となる夢が、暫し遠ざかることとなったことは否めない。

 だが、本人はいたって平静というより、ニヤニヤしている。


 「済まんな藤吉郎、まさかこんなことになるとは…」

 「なに、ワシも吉子の与力と言われて驚いたが、驚いた理由は与力という役職に就けたことじゃ、実はお主の下で働きたいと前から思っとったんじゃ」

 「えぇ?そうなの?」

 「しかも柴田様まで一緒に働けるとなりゃ、願ったり叶ったりってもんじゃ」

 「そ、そうですか」

 「以後、よろしく頼まぁ…じゃない。宜しゅうお頼み申す!」

 「はあ、こちらこそ」


 予想外の展開に頭を抱えながらも、清洲城を出ようとしたところ、門の手前で髭もじゃらの大男が待ち構えていた。

 見間違いのしようも無い、柴田権六その人であった。

 声をかけようと近寄ったところ、柴田さんはスッと片足を引き頭を下げて臣下の構えをとる。


 「只今より柴田権六勝家、大谷吉子様が下臣と成りて、相務めますことお許し願奉ります」

 「は、はぁ」


 堅いなぁ。

 いかにも侍な態度に、こちらも畏まってしまう。


 「こちらこそ、よろしくお願いいたしまする」

 「はっ!この柴田、一命に掛けまして御役目、全うさせていただく所存。何なりと下命なさりませ」

 「じゃ、じゃあ、その堅苦しいやり取りを何とかしたいです」

 「なんと、これは某としたことが、思い至らず申し訳ない」

 「柴田殿、吉子…様は気安いお方じゃ。もっと力を抜いた話し方が良いのじゃ」

 「それに、武将としては柴田様の方がずっと格上なんですから、仕方ないから手を貸してやるか、ぐらいの感じでちょうど良いと思います」

 「大谷様、某に様付けはお止めください。廻りの者が考え違いを致します。あくまで大谷様が主、某は従にござります」

 「あ、すいません、気をつけます」

 「大谷様が謝ることではございません、某の態度が不遜なればこそ、このような誤解が起こるもの。某の不徳の致すところにございます」

 「いやいや、明らかにこちらの力不足ですよ。柴田さん、で良いですよね、私のような者に仕えさせられてご不満でしょうけど、これから大事業を成し遂げねばならないので、そのためには貴男の力が必ず必要となるでしょう。そこでご自分の力を示せれば、信長様は必ず見ておられるから、後々重用されることは疑いないと思いますよ」

 「有り難きお言葉、この柴田、改めて大谷様にお仕えできること、大殿様に感謝致したいと存じます」

 「だから堅いって」

 「申し訳ござらん、某、これ意外の話し方を知りませぬ故、ご容赦願いたい」

 「そうですか、まあ仕方がない」

 「さらに失礼ながら、某、今し方、大谷様への臣下の命を頂いたばかりにて、馬も、具足も屋敷に置いてきてしまった次第、お許し頂ければ後より追いつきます故、お先立ち頂ければと存じます」

 「あ、ウチの屋敷、場所知ってる?」

 「は!御領地にて造営中の城の一角に有ると聞いております」

 「まあ、どうせ途中で追いつかれるだろうからね、ゆっくりで良いですよ」

 「は!しからばこれにて失礼致しまする」


 はあ、疲れる。

 どう見てもあっちの方が格上だものねぇ。

 持て余しそう。

 しかし、凄いの来ちゃったな。

 柴田勝家ですよ。

 いやぁ、スペックも半端ないねぇ。


柴田勝家

 年齢40

 織田家:武将

 所持金:17560

 総合レベル:18

 思想:保守

 宗教:仏教

 名声:165

 使用武器:刀

 領地:なし

 能力値:

  統率87、武力92、知略68、政治66

  体力95、腕力88、技量80、乗馬10、砲術0、走力8

 常駐スキル:鑑定

 製造スキル:

 戦場スキル:看破、恫喝、瓶割り


 と言うわけで、柴田勝家と木下秀吉が部下になりました。


ここまでお読みくださりありがとうございます。

誤字、脱字、誤謬、誤用、事実誤認、ご意見、ご感想など何でも結構ですので、メッセージを頂けると、とても励みになりますし、このまま書き続けて大丈夫かどうか指針にもなりますので、是非お願いできればと思います。

ひきつづきよろしくお願いします。

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