66話 ダンジョンの呪いと意地
サンクの陣営では――
カブトが本当に壊れてしまった。
「カブト……俺のようになりたいって言ってたよね?
俺の真似をしたのか?」
あいつの笑みが、頭から離れない。
俺は何もしないんじゃなくて、何もできないのに……。
「カブトがやられちゃったよ~」
俺には見ていることしかできなかった。
<だから、あれでいいのじゃ。
本来なら。
だが、今回の奴はおかしい……>
「もうカンカイの言っていることは、分からないよ。
やられていいもんじゃないだろ?
復活はするけど……」
納得なんて、できるはずもないけどね。
<そうじゃ。
復活するということが、このダンジョンの強みだ。
奴は蘇るごとに強くなる>
「変態なのに?」
<そこが今回のおかしなところだが、むしろ恐怖が増しておる>
「何考えてるか分からない奴って、怖いよね」
<力ある敵より、意図が読めない相手のほうが厄介だ。
奴は、お前に何かしらの答えを見出したようだな。
我とは違う、何か……>
「俺は無慈悲じゃないよ?」
思わず言い返したけど……
<……>
カンカイの沈黙が、妙に引っかかった。
***
そのとき。
ドリュウが何も貢献できていない自分を責めていた。
途方に暮れ、隠し通路からダンジョンの外へと出ようとしていた。
「サンク様。
ドリュウの行動が変です」
コノハから連絡が入る。
「どうした?」
「ドリュウがダンジョンを抜けようとしています」
どうして?
やることがないから、ここにいるのが嫌になっちゃった?
……違う。
あいつは、そんな奴じゃない。
言われたことだけやるような、そんな薄い奴じゃない。
有能な仲間がまた一人いなくなるなんて……
それだけは、絶対に避けたい。
「コノハ。
ドリュウを止めるんだ」
そのとき、ドリュウから声が届いた。
「魔王様。
オラ、人間に近い姿になったでやす。
なので、街に行く許可がほしいっす」
「どういうことだ?」
予想外の言葉に、思考が追いつかない。
俺、何か間違えた?
ドリュウのことも、大切な仲間だと思っている。
ちゃんと、平等に接してきたはずだ。
「オラにも意地があるっす。
魔王様のお役に立ちたいでやす」
その声には、迷いがなかった。
俺には止める言葉が浮かばなかった。
そして……
リュウドウ王国へと旅立って行った。
止めるべきだったのか。
快く送り出す方がよかったのか。
答えは分からない。
……
配下はダンジョンから出られるの?
<うむ。
試してみたが、大丈夫であった。
しかし、我は違う>
カンカイは出られなかった?
<試してはおらぬ。
だが、ダンジョンの呪いは感じる。
魔力が我をここに縛り付けているとな>
「なんだよそれ。
まるで呪いじゃん」
<そうだな。
まるで生きた生物のようにダンジョンを感じておる。
我を使って、ダンジョンは成長しているのだろうな>
「怖いこと言うなよ」
<だが、少し違和感を感じておる。
お前の体に入ってから、その呪いを感じない。
おかしなもんじゃ>
「おかしなことだらけだな」
思わず苦笑が漏れる。
でも。
ドリュウのこと。
カブトのこと。
ダンジョンのこと。
どれも放っておけない。
ひとつ片付いたと思えば、またひとつ増えていく。
「……カブトの変態さが増すのか?」
あの狂気じみた笑みが、脳裏によみがえる。
思わす顔をしかめ――
小さく、ため息をついた。
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