第11話 適正
「ふむ……ならチタンを芯に持ち手を樹鉄、刃の部分をダマスカスと砕いたオリハルコンの合金でどうだ。これなら軽いし硬い、刃こぼれもしにくい刀に出来るぞ」
「なるほど、確かにそれならば拙者の剣筋にもあってるでござるし、オリハルコンのお陰で無実体系への攻撃も可能でござるな」
「えーっと……」
「重くて硬いハンマーか……ならば丸々タングステンで作ろう。ただ衝撃吸収をつけなければ脆くなる。ヘッド部分と接続部にはミスリルのスライムマテリアルを使おう」
「どうしてこうなったんだっけ?」
「……さぁね?」
「お、二人も何を作るか決めたかい?」
「「いえ、まだ何も」」
「そうか!なら決まったら遠慮なく言ってくれよな!」
そう言うとガハハと笑いながら立派な髭を蓄えた小さなおじさん……ではなく、ドワーフのおじさんに二人はそう言うと、一緒にため息をつく。
どうしてこんな状況になったのか、それは昨日まで遡る。
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「いやぁー凄い人だったねノーちゃん。カルラドアコアの港町とは比べ物にならないねぇー」
「早く宿で休みたい……」
「あはは……まぁ、あんな超巨大種なんて普通見る事ないからね、あの人混みも仕方ないよ。はい、あーん」
「あー……んむ」
「あ、居た居た。おーい二人共ー」
ようやくテリアラムダの港にたどり着き、クラーケンの死体を見に来た野次馬の人混みから何とか抜け出し、二人はクラーケンについて説明する天裂達の代わりに宿を探していた。
するとそんな二人を見つけたマシュウが遠くから手を振ってくる。
「ん?マシュウさん?それに天裂さんも。どうしたんですか?それにそちらの方は?」
「俺ァ、ガードナーっていうこの街で鍛冶屋をやってるドワーフだ。お嬢さん達もこの御二方のお仲間と聞いてな、是非ともお礼をさせてもらいたくて探してたんだ」
「は、はぁ……でも私達は特に何も……」
「ハッハッハッ!何を言う!恩人の仲間ならそれは我らの恩人!そして恩人へ力を貸すことが恩人への力になる!」
「は、はぁ……あのー、マシュウさん?」
「えっとですね、この街は主に漁で食料を調達してたのですが、例のクラーケンによって最近漁が出来ず困っていた所、我々が助けたから恩返しさせてほしい。との事です」
「なるほど。それであのー、私達はどうすれば……」
「宿はこちらで用意させてもらった。詳しい報酬なんかの話は後日話し合って決めるとして、今日はゆっくり休んでくれ」
「かたじけない。このような暖かい対応、感謝でござる」
「と、言うことでとりあえず宿は確保出来たって感じです。まぁ今日はゆっくりさせて貰いましょう」
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と、言う事があり今に至るのだった。
「とはいえ、お礼に武具作ってあげるって言われてもなぁ……」
「おや?武器種で悩んで居るのでござるか?」
「はい。ノーちゃんは武器を使って戦うって訳じゃないですし……それに私も──────あれ?」
「ん?どうかしたのでござるか?」
「い、いやその、実はー……」
「実は?」
「私、そういや今まで戦った事ないなーって……」
気不味そうに人差し指同士をつんつんとしながらルシィーナがそう言うと、一瞬だけ訪れた静寂の後────
「「えぇぇ!?」」
天裂とマシュウの驚きの声が鍛冶工房へと響き渡ったのであった。
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「いやまぁ確かに相方が戦闘を、もう片方がその他をというペアの冒険者は多く居ますが……本当に戦闘技能が全く無いんですか?」
「はい……」
「えーっと……弱い魔物の相手もやった事が無いでござるか?」
「はいぃ……」
「「ふぅーむ……」」
ルシィーナの衝撃発言を受け、天裂とマシュウはルシィーナだけでなくノートゥーンも連れて2回の会議室へと集まっていた。
「基本的にその、私はノーちゃんの契約者ってだけで知識方面のサポートは出来るんですけど、そのー……戦闘はノーちゃんにいつも任せっきりで……」
「ふぅむ……契約者故戦闘面はノートゥーン殿に丸投げでござるか……ん?契約?貴殿らは契りを結んで居るのでござるか?」
「は、はい。その、村が襲われた時にノーちゃんを助ける為に……」
「なるほど……という事は少なくとも戦闘で充分戦える程度の魔力は持っているんですね。なら戦闘経験が無いだけで精神面も強い、これなら何とかなりますよ」
マシュウにそう言われ、終始不安そうな顔であったルシィーナは良かったと安堵の息を吐く。
「でも、何で私の精神面も強いと……?私、そこまでグロテスクなものが得意とかいう訳じゃないんですが……」
「あまり一般的に知られては居ませんがこの世界に住まう誰しもが持つ魔力、実はその人の精神の強さで魔力の量や強弱が変わってくるのですよ」
「つまり心が広ければ広い程魔力は多くなり、強固な意志を持つ程魔力の質は高くなるのでござる」
「そうだったんだ……ノーちゃんはしってた?」
「まぁ……ね、想いの強さは世界をも変える。何事も最後の決め手になるのは意志の力だから」
「そっか……よし!マシュウさん、天裂さん、私魔術師になります!」
何かを想っているのか、少し切なげな顔のノートゥーンを見たルシィーナはそう2人に向かってそう宣言したのだった。




