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はぁ〜。
甘いものが飲みたくなってカフェ・オ・レを飲んでる。
とりあえずお願いして町に連れて行ってもらったら薬草を売ったお金でお店見て回って欲しいものを買おう。
まぁ無理して買う必要もないけどね。
連れて行ってもらえるとして途中で休憩するよね?
お弁当作ろうかな。
ユーグさんはサンドイッチの方がいいよね。
私はおにぎりがいいんだけど…
どっちも作って持って行けばいいか。
あっ。
洗濯物を乾燥機にかけてたけど終わったみたい。
アイロンかけて持っていこう。
夕方着替えと食事を持ってテントに行く。
ユーグさんは起きて水差しからコップに注いで飲んでいた。
「体調どうかな?食べれそう?」
「ああ。大丈夫だ。」
トレーを置いて額に手をあてる。
うん。
下がってる。
「熱下がったみたいね。よかった。さっ、召し上がれ。」
祈りを捧げて食べ始めたから私はバスタオルを交換して
着替えを置く。
バスタオルを持って家に戻りお茶の準備をしてテントに行く。
量は多めにしたはずなのにペロリと食べてしまっていた。
男の人の食欲って凄いのね。
どれだけ食べれば満足するんだろう?
お茶と言っても緑茶とかこの世界にあるかわからないから用意したのは紅茶。
それとクッキー。
それらを勧めて話をする。
「ユーグさんお願いがあるんだけど…」
「何だ?これは美味いな。食事も美味かったし。俺に出来る事ならいいが。」
「ユーグさんが帰る時に私も町まで連れて行ってほしいの。」
「それは…リリーは戦えるのか?戦えないなら試練の森は厳しいと思う。」
「戦えないけど防御はできるよ。」
「それでも俺しかいないんだ。俺が戦っている時に別のモンスターがきたら?俺がモンスターにやられたら?
防御魔法だけじゃ無理だ。モンスターを甘く見るな。」
やっぱり足手纏いになるからダメかぁ。
モンスターに襲われた事ないけど言っても信じてもらえないよね。仕方ない。場所だけでも教えてもらえないかな。
「わかった。じゃあ町の場所教えてくれる?私この場所しか知らないからいつか町に行ってみたいの。」
「場所を教えたら1人ですぐに行こうとするんじゃないのか?」
「かもね?心配?それならユーグさんと一緒に行った方が安心だよね?一緒に連れて行ってよ!」
「はぁーーーー。ったく。しょうがねーなぁ。俺が守ってやるよ!だけど俺に何かあったらお前はすぐに逃げるんだ。いいな!約束できるか?」
頭をガシガシ掻きながら真剣な顔で言われた。
「わかった。ありがとう。」
「じゃあ急で悪いけど明日朝出発でいいか?薬草も採りたいし。」
「わかった。薬草は私も持ってるから足りなかったら言ってね。じゃあ早めに寝ないと!ユーグさんもゆっくり寝てね。おやすみなさい。」
「ああ、おやすみ。」
俺が守ってやる
心臓をキュッと掴まれたような気がした。
同期や社内に気になる人や好きな人はいなかったけれど
悪役令嬢とザマァされるのは劇だとわかっていても嫌な思いをしていたから。
する方は楽しそうだったけどされる方は苦痛だよ。
劇の筈なのに…イジメられてるような気がしてた。
嫌だと言っても聞いてもらえないし、誰も助けてくれなかった。
だから守るって言われて嬉しかった。
初めて言われた。
しかも男性からだよ?
ユーグさんは森の中は危ないから守るよって感じだろうけど
…
心臓がドキドキして恥ずかしくてそのあと早口で喋って戻っちゃった。
変に思われてなければいいけど…
食器類を片付けて朝食とお弁当の準備をする。
お風呂に入ってさっさと寝よう。
はぁ〜〜〜〜〜。
布団に転がって考える。
助けてくれた恩人に酷い事をしてしまった。
知らなかったとはいえ女性を怖がらせて泣かせてしまった。
2度と怖がらせて泣かせないようにしなければ…
しかし名前もなくここに1人で暮らしていて町にも行った事がないとは…
女性の1人暮らしだから意識がないとはいえ家に入れないのは当然だな。
ベッドではないがテントで寝ているにしてはこの布団?は気持ちがいい。地面の硬さやデコボコが感じられないから欲しいな。
しかし…
彼女は本当に人間か?
あの黒髪…初めて見たが艶があって綺麗だった。
顔立ちは見慣れないが美人というより可愛らしいほうだな。
それに食事も美味かった。
礼をせねばなるまいが何をすれば良いのかわからんな。
おっと今日は月が出てるな。
よし。
月光草が咲いてくれてるといいんだが…
こればかりはどうしようもないからなぁ。
採れるまでここにいる訳にはいかないし。
とにかく探すか。