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秋鋼  作者: MTL2
97/600

動くデルタロス

屋上


「…行動を開始する」

「準備は良いな?来栖」


「あぁ」


「フフッ、楽しみにしてるわ」





生徒待機所


「総合点数的にも良い勝負だな」


「あの組が強敵だねぇ」


デデン!


「お?」


「どうしたんだろ…」


デデンッ!デデデンッ!!


「和太鼓の音?」

「こんな種目、有ったか」


「いや、記憶に無いけど…」


デデデ-ンッ!!



教員本部


「音源は?」


「ふ、船村先生!」

「それが…、解らないんです」


「解らない?」


「はい」

「放送機材も使われてませんし、スピ-カ-でもないし…」


「だが、周囲のあちらこちらから聞こえるぞ」


「どうしてでしょうか…」


「PTAのサプライズ、でもねぇな」


「恐らく、そうでしょうね…」



運動用


『いよぉおおおおおっっ!!』


デデンッ!!


ドォオオオオオオオンッッ!!


「「「!?」」」


突如、運動場の中心に現れた銅像

数十メ-トルはあろうかと言う、武者の銅像である


「お、おぉ!?」


『あぁ!我こそは石川五右衛門なりぃいいいいいっ!!』


「な、何だ?」


「手が込んでるな、サプライズか」


「どうやって動いてるんだよ」


ざわざわと騒がしくなり始める観客席

生徒も教師も保護者も、サプライズか何かかと騒ぐ


『今こそ!この時代に見参したりっ!!』

『あぁ!よよい!!』


デデンッ!!


「お、おぉ-!!」


その立派な立ち姿に、だんだんと拍手が送られ始める



観客席


「何だ?アレは」


「サプライズでしょう」


「サプライズにしては妙だな」

「まぁ、個人的には嫌いではないが」


石川五右衛門の動く像を見詰める雨雲

心なしか、少しだけ嬉しそうに見える


「雨雲!!」


「どうした?鎖基」


「樹湯だ!!」

「奴の能力を知っているか!?」


「…確か、念力系だったな」

「精神の物写だったか」


「そうよ」

「精神を写した物体を操る」

「それが樹湯キユ エイの能力ね」


「それよりも厄介なのは群馬さんでは?」

群麻グンマ 飯実イイミは私も目を付けてましたから」


「アイツの能力って何だ?」


「デ-タ化です」


「デ-タ化?」

「何だ、そりゃ」


「詳しい話はアレを止めた後にしましょう」


デデンッ!


『よよいっ!!』


「今は舞っているだけですが、いつ暴れ出すか解りません」

「どうにかして人員を移動しなければ…」


「…その必要は無さそうだぜ」


「え?」


彩愛が辺りを見回すと、先刻まで騒いでいた生徒も保護者も教員も居ない

ただ、彩愛達以外は誰も居なくなっている


「どういう…!?」


「ナイスだ、森草」


「ありがとうございます、ゼロさん」


「あら、森草ちゃん」

「コレが噂に聞く人避けの能力?」


「はい」

「アナタ達を除く人達を外に追い出しました」

「ですけど、長くは持ちません」


「何分ってトコだ?」


「持って30分ですね」

「それまでに勝負を決めていただかないと、戻ってきます」


「感謝する、森草」

「俺と鎖基はアレを止めよう」


「解ったわ」

「私は来栖を探すわ」


「俺は群麻の野郎を探す」

「馬常は彩愛と楓を頼むぜ」


「うん、解ったよ…」


「…火星と波斗は?」


「外に出しました」


「えぇ!?」


「外にも誰か居るかも知れませんからね」

「セントさんと蒼空と火星さんは外に行っていただきました」

「でも、他の人と違って意識操作はしてませんのでここには入ってこれます」


「意識操作?」


「森草は意識を操作するんだよ」

「結界の類っつ-よりは意識を操作する」

「[入らせない]よりは[入るという意識を起こさせない]の方が正しいな」


「なるほどね」

「優秀な能力じゃない」


「あ、ありがとうございます」

「でも、この能力を使ってると満足に動けないんです」

「それに、能力を持ってる人や能力に抵抗のある人は破れるんです」

「制限時間付きですし…」


「まぁ、一般人を追い出しただけでも有り難いわよ」

「それじゃ、行きましょう」


「「「了解」」」



九華梨高校外


「あれ?何でこんな所に…」


「どうして居るんだ?」


「思い出せねぇなぁ…」



「あ、アレ!?」

「確か先刻まで運動会をしてたんじゃ…」


「しっ!静かにして下さイ、蒼空さン」


「あ、は、はい…」

「えっと、セントさんですよね?」


「はイ、そうでス」

「コレは森草さんの能力でス」

「無作為に能力被者に情報を与えると記憶が再生しまス」

「そうなると厄介ですかラ」


「委員長の能力か…」

「…俺はどうすれば良いんですか?」


「まずは彼等を落ち着けましょウ」

「後は火星さんと貴方と私で彼等を誘導しまス」


「はい」

「…火星さんは?」


「ここだよ」


「あぁ、居た居た」

「何処に行ってたんです?」


「取り敢えず、誰も中に残ってないかと見てきたんだ」

「織鶴達しか居なかったよ」


「そうですカ」

「でハ…」

「皆さ-ン!!」


「「「「「?」」」」」


「今回はボランティアに参加していただいてありがとうございましたタ-!!」


「ボランティア?」


「そうだったっけ…」


「あぁ、そうだったよ!」

「そう言えばボランティアじゃないか!!」


「そ、そうだったね-!!」


セントの言葉に賛同するかのように波斗と火星が叫び出す


「おぉ!そうじゃないか!!」


「あぁ、そうだそうだ」


「今回はお疲れ様でしタ-!!」

「皆様の御陰デ…」


まるで台本を読んでるかのように在り来たりな言葉を並べるセント

そのまま皆は納得し、それぞれに帰路を辿っていく


「ふゥ…」


「凄いですね!セントさん」


「いえいエ!適当に言葉を並べただけですヨ」

「それよりも、誰も中に入らないように見張りましょうウ」

「蒼空さんと火星さんは追敵襲の無いように見張って下さい」


「解りました」


「解った」



久華梨高校内


運動場


「むぅううんっっ!!」


ゴォオオオンッッ!!


『ぬぇいっ!?』


鎖基の鉄拳によりバランスを崩す像


「墜閃(武)」


それを追撃するように雨雲の刀が像の頭を狙う


キィンッッ!!


『効かんぞぅっ!!』


像は状態を建て直し、腰に差した巨剣を抜く


『名刀、村正なりぃ!!』

『この刀!あぁ!破れるかなぁ!?』


「厄介だな」

「堅い」


「うむ!堅いな!!」

「我が動きを封じよう!!」

「その間に頼む!!」


「…解った」



屋上


「来たか」


「こんな目立つ所に居たら解るわよ」


「…そうだな」


ゆっくりと立ち上がる男

風になびく青髪を手で押さえ、溜息をつく


「元No,4か…」

「織鶴 千刃よ」


「来栖ね」

「アンタと闘うとは…」


「すまないが、手加減は出来ない」

「許してくれ」


「逆でしょう?」

「手加減はしないわ」

「覚悟しなさい、裏切り者」


「来い…!!」





読んでいただきありがとうございました

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