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秋鋼  作者: MTL2
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第一種目リレ-

運動場


ド-ン!ド-ン!!


『次は!学年対抗リレ-です!!』


「「「ウォオオオオオオオオオオッッ!!」」」


「来たな!」


「あぁ、来た」


「来たね」


軽くストレッチをする3人

足を伸ばし、「よし!」と気合いを入れる


「今年の3年は短距離走の地区大会優勝者が居るらしいな」

「難敵だぜ」


「うん、気を引き締めないとね」


「俺は運動神経に自信有るけどな!!」


「無駄に運動神経は有るからな、蔵波は」


「無駄に、ってお前」



「さて、と」

「私の見せ場ね」


「頑張りましょ!」


「うん!ファイトだよ-!!」


3人と同じく、森草達の女子グル-プもストレッチ

彼女達も屈伸などの準備体操に余念がない


『生徒の皆さんは----』


アナウンスの指示に従い、それぞれの配置につく生徒達


「え-、では第一走者、前へ」


ザッ…


それぞれ並ぶ1年生、2年生、3年生

その隣では鬼村が面倒臭そうにピストルを上へと向ける


「よ-い…」

「ドンッ」


ドッッッッッ!!!!


「「「「速ッッッ!?」」」」


まずは3年生の異常なスタ-トダッシュ

スタ-トラインには多量の土煙が立つ程である


「マジかよ!!」


「シャレになりませんよね…」


その後、通常のスピ-ドで2年生と熊谷もダッシュ

現在のトップは3年生である



観客席


「速いね…、彼」


「身体強化系能力者か?」


「笑えんジョ-クだ」


「はぁ、暑苦しい」

「ゼロ、セントちゃんは?」


「騎馬戦選手の控え室に行ったぜ」

「応援してやらなきゃな」


「すいませ-ん」


「「「?」」」


「保護者の方ですか?」


「まぁ、一応…」


「騎馬戦のゲストを捜してるんですが、どうです?」

「決勝に残った学年と戦うんですが」


「…へぇ~」


(何かを企んでる目だな)


(ロクでもない、を付け足せ)


(…嫌な予感がするねぇ)



運動場


「ふぅ」


「お疲れ、熊谷」

「2着か」


「2年生の人、結構速かったよ~」

「3年生は流石、だね」


「まさか初っ端に優勝者を持ってくるとはな」

「流石に予想外だぜ」


「まぁ、アンカ-は蔵波だから安心かなぁ」


「おいおい、そこまで期待するなって」


「あははは」


『1年生、次の走者は蒼空 波斗-』


「お!蒼空だ!!」


「大丈夫かな、蒼空」

「そんなに速くなかったけど」


「そ、そう言えば…」


『2年生、次の走者は--』


「来たぁっっ!!」


「!?」


「女子だぁ!!」

「揺れるぜ!!」


「何が?」


「決まってんだろ!」

「おっ」


ゴンッッッッ!!


「少しは自重しろ、馬鹿」


「うごがぁ…!!!」


「ナイス、桜見」


「フン!」


「何か…、川が見えて…」


「そっちに行ったらアウトだと思う」



「…ふぅ」


「緊張してる?」


笑顔で波斗へと語りかける2年生の女子


「い、いえ!頑張ります!!」


波斗は気張り、強気な返事を返す


「手加減はしないわよ?」


「俺もです!!」



「…」


「どうしたの?森草ちゃん」


「…フン!」


(青春だねぇ)



「任せるぞ-!蒼空!!」


「よし!来い!!」


パシッ


前走者からバトンを受け取る波斗

このままコ-スを走り抜け、次の走者に渡すだけだ

スタ-ト時、圧倒的リ-ドだった3年生も失速

全力で行けば…、勝てる見込みは充分にある!!


「いよぉおおおしっ!!」


全力で走り出す波斗

落ち着け

しっかりと地面を蹴って、手を振って

いつも通り走れば大丈夫!!




…のはずだった


「ウフフ♪」


ドンッッ!!


「えぇえええええ!?」


2年生女子、まさかの疾風走


「ちょ!速っっ!?」


ヤバい、計算外だ

と言うか計算外過ぎる


「言ったでしょう?手加減は無しだ、って」


「速過ぎでしょうがぁああああああ!!!」


呆気にとられた3年生走者を抜く2年生走者

勝負は決まった、かに思えた



「お!?」


「蒼空の奴…」

「速ぇえええええええ!?」


(おぉ!?)


自分でも驚くほどの速さ


「あら、速いじゃない」


嬉しそうに微笑む2年生走者

波斗はそれどころではない


(何で俺!こんなに速いんだ!?)


ふと、波斗の脳内に浮かぶ単語

それを繋ぎ合わせれば答えがでるのに、そう時間は掛からなかった


任務、ロンドン、見回り

高層ビル、爆弾

廃病院、走行


今までの任務の御蔭か

…体つきが変わったな-、とは思っていたが


「蒼空!」


「頼む!!」


次の走者にバトンを渡す

それよりも少し速くゴ-ルしていた2年生走者が波斗の元へ走ってくる


「速いじゃん♪」


「ど、どうも…」


「陸上部、入ってみない?」


「え、遠慮しておきます」


「えぇ、残念」

「でも、どうしてそんなに速いの?」


「…日頃の苦労、ですかね」


「?」



「羨ましいな!蒼空!!」


「え?何が」


1年生の列に戻って来るなり、蔵波が波斗へと突っ掛かってくる

少し頭部が腫れているのは気のせいか


「あの人…!!」


「え?あの2年生?」


「陸上部の次期キャプテンと名高い人だぞ!!」

「畜生…!目を付けて貰いやがって!!」


「あ、そなの…」


まぁ、陸上部に入るつもりもないし、あの人には憧れてもない

と言う事で蔵波の愚痴はあっさりスル-した


「ほっ…」


その様子を見ていた委員長が安堵の息をついていたのは気のせいか?




暫くし、順々にリレ-も進行

遂にアンカ-対決となった


「いよっし!!」


「「「頑張れ-!蔵波-!!!」」」


1年生アンカ-は蔵波

学年の男子からの熱い声援が飛ぶ

女子の黄色い声援など、普段の行動を考えれば飛ぶはずもないが


「が、頑張れ-…」


「え?何か言った?桜見ちゃん」


「な、何でも無い!!」



「先輩に花を持たせたいが…」

「流石に今回は手加減できねぇな」


2年生のアンカ-は陸上部

野球部のエ-スで、活躍の程は1年生教室に届く程の物だ


「「「頑張って----!!!」」」


「「「キャァアアアアアアアッ!先輩!!!」」」


全学年からの黄色い声援

蔵波が妬ましそうに見ているが、敢えてツッコまないでおこう


「…」


無言で屈伸する3年生

その立ち姿は威風堂々と言ったところか

年長者の威厳が溢れ出ている

彼は陸上部の現キャプテン

長距離走では全国大会で2位と言う実力者だ


「はぁっ!はぁっ!!」


「うぉおおおおおお!!」


「はぁあああああ!!」


全力で、ほぼ同時にバトンを伸ばす1、2、3学年走者

3人はそれぞれバトンを受け取り、駆けだした



読んでいただきありがとうございました

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