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秋鋼  作者: MTL2
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デルタロス

アパ-ト


蒼空の部屋


「…」


ポチッ


『先日、アメリカで謎の爆発があり…』


物騒だな

とは言え、もっと物騒な世界を知っている自分だが


コンコンッ


「はい?」


ガチャッ


「大丈夫かな、波斗君」


「あぁ、大家さん」

「大丈夫ですよ」


「そうか、良かった」

「コレね、実家から送られてきたんだ」

「きゅうり、どうだい?」


「ありがとうございます」

「すいませんね、いつも」


「いやいや、君のお父さんには世話になったからね」

「恩返しが彼に出来なかった分、君にしたいんだよ」


「は、はい」


大屋さんは学生時代、父さんに色々と助けられたらしい

物心ついたときから親の居なかった俺をこのアパ-トに住まわせてくれた恩人だ


「塩で食べると美味しいよ」


「た、試してみます!」


「うん、うん」

「それじゃ、お休み」


「はい、お休みなさい」


ガチャンッ


「俺も寝るかなぁ」

「…明日の朝飯はキュウリの酢の物だな」



万屋


「楓ちゃんは?」


「もう寝たぞ」


「そう」

「…今回は何の任務で来たのかしら」


「始末、だ」


「[デルタロス]の連中ね」


「残念な話だがな」

「俺は同僚を殺したくないのが本音だ」


「…あの連中、何で軍を裏切ったんだか」


「それは俺も解らない」

「軍公認のチ-ム内では中々の成績だったはずだ」

「裏切る理由は何だろうか…」


「…解らないわね」

「だけど、貴方達に命令が来たのは事実」

「受けるんでしょう?」


「あぁ、受ける」

「だが…、少しばかり危険だ」

「楓をお前達に預けたい」


「解ったわ」

「それぐらいは無料で良いわよ」


「助かる」

「依頼遂行は明明後日だ」

「それまでは情報を集めたい」

「任務は俺は鎖基と2人で行く」

「その間、楓を頼むぞ」


「えぇ、解ったわ」


「…」


「…まさかとは思うけど」

「変な事、考えてないでしょうね?」


「…もし、もしの話だ」

「奴等が改心するのならば…」


「やめときなさい」

「淡い希望よ」


「…そうだな」


小さくため息をつく雨雲

思い詰めた様子で机の上のコップを手に取る


「何故、奴等は…」


カランカラ-ン


「駄目だったぞ!!」

「居なかった!!!」


「もう居るぞ」


「む!?いつの間に帰って来たのだ!?」


「先刻な」


「て言うか、探し始めて3時間も経ったら一回ぐらい様子見に戻るでしょ、普通」


「コイツに普通と言う言葉は存在しないぞ」


「…そうだったわね」



森草の家


「良いですヨ」

「その日は特に予定はありませんシ」


「やった♪」

「助かるわ、セントさん」


「いえいエ」


「何の話をしてんだ?」


「あ!ゼロさン」

「森草さんの学校で文化祭が有るらしいんですヨ」


「文化祭?」

「あの学校行事と言う名を借りた馬鹿騒ぎか」


「鬼村先生と同じような事を言わないでくださいよ…」

「どうします?ゼロさんも来ますか?」


「俺はまだ傷が完治しねぇ」

「見に行くぐらいなら、な」


「皆が行くんだったらお弁当も要るね…」

「俺が用意するよ…」


「ば、馬常さんって、料理出来るんですか?」


「暫くは一人暮らしだったしね…」

「まぁ、お弁当ぐらいなら出来るよ…」


「助かります♪」


「珍しく浮かれてんなぁ」

「楽しみなのか」


「はい!それはもう!!」


「ゼロさん、ゼロさン」


「ん?」


「コレですヨ」


「フォ-クダンス?」


「はイ!男女が手を取り合って踊るダンスでス!」

「それが楽しみなんですヨ!!」


「…何でだ?」


「鈍いですネ…」

「それは、好きな男性と手を繋げ」


「セントちゃんッッッッッッッ!!!」


「は、はイ!?」


「静かにしてね!?」


「す、すいませン…」


「…何なんだ?」


「さぁね…」





廃墟


「…くそ」


「大丈夫か、樹湯キユ


月に照らされる廃墟

そこには2つの人影


「大丈夫なモンかよ!!」

「なんで!あの情報を知っただけで…!!」


「俺も妙だとは思う」

「だけど、今は逃げるしかねぇだろ」

「いつか無実が証明されるはずだ」


「…んなはず有るかよ!!」

「もう無理だ!絶対に!!」


「落ち着け」

來須クルスがそろそろ買い出しから帰ってくるはずだ」

「空腹なんだろ?誰でも苛つくさ」


「…悪い」


「いや、気にするな」


バタンッ


「遅いぞ、來須」

「何処まで行って…」


「こんばんは」

「貴方達の言ってる來須って人はこの人かしら?」


「「!!」」


暗くて姿は見えない

だが、声からして女性だろう

その女性の手にはボロボロになり動かない男が1人


「來須!!」


「貴様ァ!!」


「まぁ、待ちなさい」

「私は戦いに来たのではないわ」


「笑わせるな!!」

「來須をそんな状態にしておいて…!!」


「あら、私じゃないわ」

「軍よ」


「嘘をつけ!!」


「待て、樹湯」


「何でだよ!群麻グンマ!!」

「コイツは敵だぞ!!」


「確かに味方という確証はない」

「だが、敵という確証も無いだろう」


「そうだが…!!」


「フフフ、話の通じる人が居るみたいで助かるわ」

「私は…、そうね、N2とでも読んで頂戴」


「N2…、No,nameか」

「任務用語で[ナナシ]を意味する」

「名乗る気は無い、と言う事だな?」


「ワケありなのよね」

「察してくれると嬉しいわ」


「…良いだろう」

「取り敢えず、來須をこちらへ」


「えぇ、どうぞ」


ドサッ


「來須!」


來須を抱き抱える樹湯


「貴様の目的は何だ?」

「俺達に何の用だ」


淡々と群麻はN2に質問を投げかける


「私の目的は1人の男を捜し出すこと」


その一言と共に暗闇から出てくる女性

縁なしの眼鏡、薄黄色の髪、豊満な胸、160㎝程度の身長

ポニ-テ-ルで腰まで届く長さの髪は彼女が歩く度に揺れている


「男?」


「えぇ、そうよ」

「それが成功すれば、貴方達を群の手が届かない所まで案内するわ」

「どう?中々の好条件と思うけど」


「軍の手が届かない所、だと?」

「そんな所!有るはずがないだろう!!」


「…解った」

「引き受けよう」


「群麻!?」


「樹湯、確かにお前の言う通りだ」

「軍の手の届かない所などない」

「つまり、俺達もいつかは捕まり殺される」

「そうだろう?」


「うっ…」


「ならば、この女を信用するしか有るまい」

「極小の可能性にすら縋りつくべきだ」


「…解ぁったよ」


「助かる」

「さて、N2」

「任務の話を詳しく聞かせてくれ」


「えぇ、解ったわ」

「先刻、行った通りの人捜しよ」

「天之川 夜空」

「この人物を捜し出して欲しいの」


「天之川 夜空…」

「元No,5か」


「戦闘の必要は無いから」

「捜すだけで良いの」


「それだけじゃ情報が少なすぎるだろ!!」


「まぁ、人の話は最後まで聞きなさい」

「天之川 夜空が次に出没するであろう場所が解ったのよ」


「何処だ?」


「九華梨高校よ」



読んでいただきありがとうございました

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