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秋鋼  作者: MTL2
78/600

屋上の感染者

ドイツ


露店街


「お!このリンゴ美味そうだね」

「おばちゃん!一個ちょうだい!!」


「金は有るのか?だゼ」


「無いけど」


「…」


露店街を歩く祭峰とラグド

祭峰はリンゴを購入し、しゃくりとかじる


「う-ん、美味い」

「流石、ドイツ」


「それは関係無い様な気がするゼ」

「…先刻、あの状態になろうとしたな?だゼ」


「仕方ないだろ-?」

「あのままじゃ負けてかも、だし」


「この国を滅ぼす気かと思ったゼ」


「あははは!そりゃ-、無いね」

「加減はするさ」


「お前の言葉程、信用できない物も珍しいゼ」

「橋唐が愚痴を言うのもよく解るゼ」


「ちぇ-」


しゃりっ


「…死んでないかね、ゼロは」


「殺し掛けたのはアンタだゼ…」


「だねぇ」



遺跡


最奥


「ゼロ…」


「…ぁ」


「ゼロ-…」


「うるせぇ…」


「生きてるんだねぇ」


「死ねるか…」


「はい、ソ-セ-…」

「…ウィンナ-」


「まだ、そのネタを引っ張りやがるのか…」

「食うけど」


もしゃもしゃ


「…どうだった、祭峰は」


「強ぇ」

「死ぬかと思ったな」


「ゼロが?珍しいね…」


「アイツに勝てねぇ様じゃ…、[隻眼]には勝てねぇな…」

「まだまだ、か…」


「精進してね-…」


「へいへい…」

「…帰るか」


「立てる?」


「どうにかな」

「発掘物は無事か」


「うん」

「…じゃ、帰ろうか」


「おう」



日本


徳島


廃病院


東病棟屋上



ギィ…


(…どうだ?)


(何も居らんぞ…?)


「…」


(!)

(待て!何ぞや居る!!)


(え!?)


(アレは…、人間か…?)


(人避けの護符術を使ってるんじゃなかったのか!?)


(アレは外からの侵入を防ぐモンや!)

(元から中に居られたら意味ないねん…)


(それじゃ…)


(肝試しに来たガキやろうなぁ…)

(どうしようか、1人やし)


(外だったら安全かな)


(やろうな)

(外に出るまで送ってやればOKや)


(一応、響さんと火星さんに連絡…)

(…あれ?)


(どないしたんや?)


(け、携帯が…)


(無くしたんか!?)

(情けな…、あれ?)


(一斑もかよ!?)


(やってもうたぁあ----!!)


(…仕方ない、携帯はあの子を送り届けてから捜そう)


(そうやなぁ…)

(無くしたら響さんに殺されるで…)



「…」


「ちょっと、君」


「…」


「ここは危ないよ」

「早く出…」


「…ぁ-」


「…え?」


ぐるりと回転する首

普通の人間には有り得ない動き


「あぁ-…」


バチィンッッ!!


「!!」


波斗の頭上で炸裂する雷


「能力者!?」


「伏せぃや!蒼空!!」

「壁、守、盾!!」


浮遊する3枚の札

それぞれが結界を張り、波斗を護る


「いけるか!?」


「ど、どうにか…」

「助かったよ、一斑」


「それ所ちゃうで!!」

「コイツ…!!」


「あぁ、能力者…」


「違う!!」

「[残骸]に感染した死体や…!!」


「!?」



出入り口付近


「今、屋上で何か光ったような…」


「[残骸]かいな…」

「東病棟やな」


「どうする?」


「どのみち、あのアホ共を迎えに行かなアカン」

「行くで」


「そうだな」



屋上


「…人、だよな?」

「マネキンとかじゃなく…」


「何処ぞの山で遭難死したか…、殺されたか…」

「何にせよ、人間の死体や」


「…封じるのか?」


「いや、逃げる」


「はぁ!?」


「人間は例外なんや」

「動物に感染するんとはワケが違う」

「器が大きすぎるんや」


「…器?」


「響さんも一回しか会うた事が無いらしいねんけど…」

「人間の[残骸]感染者は周囲の[残骸]全てを吸収してまうらしいねん」


「…って事は?」


「アイツは多重能力者も同じや」

「全ての能力を吸収したバケモンやな」


「…逃げた方が良いな」


「ほなから、そう言ようやろ」

「逃げるで」


じりじりと一歩一歩、後ろへ足を引きずる2人


「あ-?」


感染者がふらりと揺れた瞬間


「今や!!!」


一気に振り返り、出口へと飛び込む


だが


バタンッ


「「!?」」


ガァン!!


「あがっ…」


突然、扉が閉まり2人は扉に頭から突っ込んだ形になる


「痛い…」


「な、何で閉まったんや!?」


ガチンッ!ガチンッ!!


「開かん…」


「…もしかして」

「閉じ込められた?」


「…」


「…」


「…嘘だろ?」


「嘘ちゃうで…」


「あぁ-」


ボコボコボコ…


地面から這え出る岩手


「おごぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」


恐ろしい叫び声と共に数十メ-トルはありそうな石像が現れる


「属性系の岩系やな…!!」

「壁、守、盾!!」


ガゴンッ!!


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」


「ぐぅ…!!」


ギリギリと硬直する石像と一斑


「蒼空!何とかしてくれぃや!!」


「任せろ!!」


バチィイイイイインッッ!!


「あ゛あ゛あ゛がぁあ゛あ゛あ!?」


ボロボロと崩れ落ちる石像の腕


「破壊も出来るんかいな!?」


「いや、今のは壊れる形に…」

「つまりは無茶苦茶な凸型に腕を変形させただけだ」

「破壊までは…」


「あがっががががっががあぁあああああ゛あ゛あ゛あ゛!!」


「来たで!!」


「懲りずに…!!」


ばしゃんっ


「…え?」


波斗の腹部にかかる水


「何で水が…」


「あぁ-…」


「アイツ…!!」


ずるん


水は形を変え、波斗の首に絡まりつく


「かぁ…!!」

(首を…!締め…!!)


「蒼空ぁ!!」


「あ゛ぁあ゛ああ゛ああ!!!」


ヤバい…!!

避けられない!!

このままじゃ…!!

死…!!




ガキィンッッ!!


「!?」


「いけるかいな…!!」


「い…ち…まだ…ら…!!」


波斗の数十㎝手前で、一斑はどうにか結界を張る

しかし、徐々に、徐々に押され始めている


(流石に連用はキツいな…!!)


「ぐがっ…!!」


ギリギリと波斗の首を締め上げる水


「絶対絶命…、やな…」



ガァアアアアンッッッッ!!


「「!?」」


「あ゛あ゛ッッ!?」


激しい炸裂音

石像の顔面に激突する扉

それと共に、後ろに弾け飛ぶ石像


「情けないのぅ」

「まだまだやな」


「響さん…!!」


バツンッ!!


「大丈夫かい?蒼空君」


波斗の首を締めていた水をいとも簡単に引き千切る火星


「げほっ!げほっ…」

「ひ、火星さん…!!」


「さぁ-て、調子乗ってくれたのぅ?[残骸]」


ゴキゴキと鈍い音で唸る響の拳


「お仕置きの時間だな」


首をぐるりと回す火星


「「ブッ殺す」」



読んでいただきありがとうございました

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