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秋鋼  作者: MTL2
72/600

四国へ

日本


万屋


「で、用はそれだけかしら」


「いや、本命が有るぜ」


「何?」


「四国にな、[残骸]が有るんだ」

「それを始末してくんね-かな」


「また面倒臭い事を…」


「良いだろ-?依頼だぜ」

「報酬は弾むからよ!」


「却下よ」


「仕方ね-な-」

「茶柱」


「はい」


茶柱は鞄から綺麗な用紙を取りだし、急に読み始める


「器物破損、傷害致死、不法侵入」

「その他、数十の罪状が有ります」


「…国家権力に頼るのか」


「火星の件は軍命令じゃね-からな」

「軍の護権は使えね-ぜ?」


「チッ…」


「コレは軍からの正式な依頼だしな」

「断れば刑務所へGOだぜ」


「…火星!彩愛!!」


「何だ?」


「何ですか」


「行ってきなさい」


「「えぇ!?」」


「仕方ないでしょ」

「あの件は火星のせいだし、彩愛も協力したじゃない」

「自己責任!!」


「うぅ…」

「で、でも!それなら!!」


「何よ?」


「蒼空君にも責任は有るはずです!!」


「確かにそうね」

「波斗も追加」


「えぇ----!?」


「じゃ-、よろしく頼むぜ」

「向こうにゃ助っ人も居るからよ!!」


「助っ人?」


「会えば解るさ」


「…まぁ、良いわ」

「じゃ、火星達は行ってきてね」


「「「了解」しました…」」


「今から」


「今からですか!?」


「「やっぱり」」



ドイツ


遺跡最奥


「クソが…」


「そんなに怒らないで落ち着いてさ~!」

「疲れるだけっしょ」


ケタケタと笑う祭峰

顔には老人の面が付けられている


「強いね…」


「アレでも遊んでやがる」

「本気を出しゃ、俺でも殺されないようにするのが精一杯かもな」


「そんなになんだ…」


「だ、大丈夫なんですか、お2人共…」


「テメェは自分の身を按じてろ」

「馬常、案内人を護ってやれよ」


「はいはい」


「…祭峰!」


「ん-?何?」


「今からの攻撃、避けんな」


「…はぁ?」

「じょ-く?いっつぁじょ-く?」


「ジョ-クじゃねぇよ」

「遺跡、壊したくねぇんだわ」


「じゃ、諦め…」


「る、と思うか?」


ゴッッ!!


「…!?」


1秒と無い瞬間

痛みすら確認できない速さ


「げほっ…!!」


祭峰が嗚咽感を感じる前に打ち込まれる拳


「先刻のは訂正だ」


ゼロに顔を捕まれ、祭峰は地面へと叩きつけられる


「避けるな、じゃないな」

「避けられねぇんだよ…、テメェは」


ドドドドドドドドドド!!!


遅れてくる音

それはつまり、ゼロの拳が音速を超えたと言う事を意味する


「能力か…!!」


「そうだ」


祭峰から発掘物を奪い取り、馬常へと放り投げる


「テメェはそれ持って先に遺跡から出ろ」

「勿論、案内人も一緒にな」


「ぜ、ゼロさんは…?」


「コイツをどうにかしなきゃなんねぇだろ」


「は、はい…」

「お気を付けて…」


「おう」



遺跡通路


「大丈夫でしょうか、ゼロさんは」

「私は1人でも出れますから、馬常さんはゼロさんに援護に向かった方が…」


「ん-…、意味無いから良いや」


「え?」


「俺なんかが行ってもさ…」

「足手まといなんだ…」


「どういう…」


「ゼロも祭峰も…、本気なんかじゃなかったんだよね」


「しかし、殺されないようにするのが精一杯と…」


「能力を使わないと、の話かな」

「遺跡さ…、壊れるとかの話じゃないかもよ…」


「え…?」


「この国が滅びてもおかしくないんだからさ…」



最奥


「…」


「…」


「…クックック」

「クハハハハハハハハッハハハッッ!」


「どうした、気でも触れたか」


「お前の能力は身体強化と思ってたんだけどな」

「違うのか…」


「まぁな」


「物質の速度を操る能力」

「代償は…、体内時間」

「そうだろ?」


「…良い勘してるじゃねぇか」


段々と白くなっていくゼロの髪

肌にシワが出来、段々と細くなっていく


「先刻、お前の髪が白くなっていた」

「白髪、か」


「そうだ」


「危険な能力だな…」

「使えば使うほどに老衰し死へと近づく」


「…無駄話は終わらせようじゃねぇか」

「とっととケリぃ付けようぜ」


「違うな」

「お前は違う」


「…あ?」


「そんな事が目的じゃないだろう?」

「ケリを付ける為じゃないはずだ」


「どうして、そう思う?」


「同じ匂い、かな」

「するんだよねぇ、君から」


「…テメェと一緒に」


「一緒じゃないか」

「腹の底から湧き上がる殺意を押さえ込んでる」


「…」


「同類、だろう?」


「…どうにも、抑えられそうにねぇんだわ」


小さく笑うゼロ


(髪が黒く…?若返っているのか)

「…何を抑えられないんだ?」


「バケモンだよ…」

「お前なら解るだろ?」


「あぁ、よぅく解るよ」


「困るよな?」

「自分の奥底に居るバケモンを抑えるのは」

「普段を無意識に抑えてるんだけどな…、無理なんだよ」

「ここまで来るとな、抑えられねぇんだ」


「…コレは予想以上かな」


裂けたかのように広がる口

にたりと白い歯がゼロの口から覗く


「殺したくなるんだよなぁ」

「なぁ?そうだろう?」


(馬常とか言う奴等を返したのは足手まといだったからじゃない…)

(巻き込まない自信がないから、か)


「今から壊れる」

「付き合えよ」


「是非、そうしたいね」




読んでいただきありがとうございました

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