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秋鋼  作者: MTL2
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デ-タ化

「不審者じゃねぇって…」


「怪しいんですけど」


「うるせぇ」

「悪いか」


「「「悪い」」」


「オイ」

「…って、んな場合じゃねぇんだ」

「早く出ていけ」


「ホホホホホホ!出ていけだなんて酷いですねぇ!!」


「!」


「私がお相手しますよぉ?」

「No,3殿ぉ」


「…アロンか」

「お前達!予定変更だ!!」

「外まで全力で走れ!!」


「え…?」


「行けッッッ!!」


「は、はい!!」


ダダダダダダダ…


「…逃がしますかぁ」


「行かせると言ったか?」


「…チッ」

「残念ですが、貴方の相手は私がしましょうぅ」


「そう来なくっちゃな」

「群麻は後回しだ」

「今すぐぶち殺してやるよ」


「ホホホホホ!殺されるのは私ではありませんよぉ!!」

「分身共!!」


メキメキメキ…


「うげぇ…」


「そんな露骨に嫌な顔をぉ」


「しないでくださいよぉ」


「悲しくぅ」


「なるではないですかぁ」


4体に分かれるアロン

臓器は中途半端に体からはみ出ており、眼球や片腕がない者までいる


「雑だなぁ、おい」


「急なのでねぇ、申し訳ない」

「行けぇ!分身共ぉ!!」


「「「ホホホホホホホホ!!」」」


一斉に飛びかかる分身達

手にはナイフや尖骨が握られている


「…うぜぇな」


ゴキンッッ


音が聞こえたのは一瞬

されど、4体はその[一瞬]にして肉塊と化した


「無駄に能力使いたくねぇからな」

「無しで充分だ」


「ホホホホ…、そうですかぁ」

「しかし!私は幾らでも量産できるのですよぉ!!」


メキメキメキメキ…


「行きなさい!分身達よ!!」


「…うざってぇなぁ」



校舎内


2階


「どうすんだよ!」


「逃げるしかねぇだろ!」

「何か解んねぇけど、ヤバそうな空気だったしよ!!」


「蔵波の言う通りだよ」

「相手が単独とは限らないし」


「何は兎も角、早く逃げなきゃ…」


コッ…


「しっ!」


「「!?」」


(どうしたんだよ!!)


(…誰か居るよ)

(2人とも、少し静かにして)


(お、おぅ)

(何か熊谷が逞しく見えるぜ…)


「…誰か居るのか」


「「「…」」」


静かに息を潜める3人

聞きなれない声なので、さらに緊張が高まる


「…気のせい」


(((ホッ…)))


「ではないな」


「「「!!!」」」


「誰だ、貴様等」


ジロリと3人を睨み付ける男

赤黒い中短髪と淵無しのメガネ

茶色いコ-トを着込み、煙草を咥えている


「…見つかったか」


チャキンッ


懐からバタフライナイフを取り出す桜見

それを群麻へと突きつけ、お前等は逃げろと蔵波と熊谷に合図する


…だが


「おいおい、レディ見捨てて逃げろ、ってか?」

「そんなの屑か糞野郎のする事だぜ」


「だねぇ」

「って言うか、ナイフを常備してる人は危険で放っとけないかな」


「お前等…!」

「馬鹿か!?コイツはタダモンじゃねぇんだぞ!!」


「「馬鹿ですけど?」」


「…ッ!!」


「殺すつもりなどない」

「…が、タダでは返せないな」


群麻は首を軽く回す

メガネを取り、静かに目を閉じる


「…デ-タ化」

「第3式」


「!」


バチンッ!


「な、ナイフが…」


バラバラバラ…


「パチンコ玉にぃ!?」


「すまないな」

「だが、高校生がナイフなど持つべきではない」


「な、何しやがった!?」


「少しばかり、な」

「俺の能力だ」


「能力…!?」


「…過去に一斉的に能力が開花しただろう」


「あの時か…!!」


それは五眼衆事件の時である

五眼衆が軍の搖動のために人工能力によって能力を爆発的に開花させた

さらに、その中から有志者を選抜しロンドンで共に戦闘させた事件


「でも、あの時の能力は無くなったんでしょ?」


「…俺は特異体質でな」

「まだ残ってるのだ」


無論、嘘である

本来的に群麻に備わっている能力だ

だが、群麻は桜見達が能力の事を知って軍に狙われる事を恐れたのだ

腐っても、元は人々を救おうと集まった集団がデルタロスであるのだから


彼等が全くの見当違いの能力と思っているのなら、軍も迂闊に手は出せないはずだ

彼等が危険に巻き込まれるのは忍びない


「…それを使って犯罪行為かよ」


「好きで行ってるワケではない」


「じゃぁ…」


「これ以上は言えんな」


「…見逃してはくれるのか?」


「タダでは返せないな」

「眠って貰う」


「…何?」


「少しばかり、記憶を改ざんする」

「俺の能力は物質を別の物質へと変える事」

「限度こそ有るが、元が有るのならば大抵の物は可能だ」

「無論…、記憶もな」

「千切れた布と布を繋ぎ合せるのと同じだ」

「安心しろ、死にはしない」


「…嫌だね」

「例え1分1秒でも記憶は消したくねぇ」


「そうしなければ殺す事になる」

「諦めてくれ」


「却下だ!!」


「…無理矢理にでも消すさ」


フッ…


「…ッ!」


「眠れ」


バタンッ!!


その場に倒れ込む蔵波、熊谷、桜見


「…さて、記憶を改ざんするか」


ゆらっ


「…む?」

「貴様は…」




運動場


「な、何で鎖基と雨雲が戦って…?」


「解らないけど、あの鎖基はおかしいよ…」

「あんな戦い方しないもん!!」


「確かに妙ですね」

「雨雲さんなら大丈夫でしょうが、流石に長期戦は…」


「…止めるよ」


「駄目ですよ」

「貴方が私と楓ちゃんと森草ちゃんから離れるのを敵が狙っていたらどうするんですか」

「それに、森草ちゃんの邪魔をされたら台無しですよ」


「でも…」


ドォオオオオオオオオオンッッッ!!!


「「「!?」」」


「がっ…!!」


「アレは来栖…?」


「どうして空から…」


屋上から笑顔で手を振る人影


「…アレって織鶴さんじゃないかな」


「あぁ、納得です」


「重いぞぉおおおおおおおおッッッ!!」


「!?」


来栖を放り投げる鎖基

元気満々である


「む!?雨雲か!!」

「敵はどうした!?」


「…目が覚めたか」


「何がだ!?」

「我は寝ていたのか!?」


「…いや」

(衝撃によって目が覚めたか…)

(後で織鶴には礼を言っておかねばならないな)


…鎖基を操ったのは間違いなく絵道だ

No,2直属部下が関わっているのなら動ぬ証拠だな


だが、どうして鎖基を?

奴の目的は何だ…?



九華梨校舎外


「あらら」


「どうしたんですかぁ?」


「失敗ね」

「残念」


「しかし、時間稼ぎはできましたねぇ」

「丁度、完成しましたよぉ」


「助かるわ、アロン」


「いえいえぇ」

「どういたしまして、絵道殿ぉ」






読んでいただきありがとうございました

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