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020 桁違いの利益成長

「というわけで、今は二人で企業からの分析依頼をどんどんさばいてる」


「ファンタジー世界に来てまでデータ分析してるって、レーヤらしいんだお」


俺は二人に企業にスプシで事業分析シートを作っているというようなことを伝えた。


ゲームの世界に来てまでネチネチ数字いじってたら性根が腐るんだおと、フトシは興味がなさげだった。


学生の頃からフトシは数学が苦手だったなぁ。


「シートってどんな感じなんですか?」


「こんな感じ」


理系の七瀬ちゃんは研究なんかで数字を分析ことも多かろう。一定の興味を示してくれる人間がいて俺は嬉しかった。


俺は複数枚のシートをかっこよく配置した。


「うっわぁ……」


待て待て、好印象を持ったときの声じゃないぞ七瀬ちゃん。


明らかに声の高さがドン引きトーンだ。


え?


全人類、こういう分析って好きでしょう?


経営者達の反応がいいからって調子に乗ってたけど、これが普通の反応なのか?


壁一面に表示されたグラフを前に七瀬ちゃんが苦笑い。おまけに一歩後ずさった。悲しい。


「こうして見る分には中二心をくすぐるデザインだけども、これを一日中いじって何が楽しいのかは全然わからないんだお」


「兄さん!あっいや、その、別にいいと思いますよ?」


俺は心の中で涙を流した……


「まぁでも楽しめてるみたいで安心したお」


タノシイ?俺は楽しんでいるのか?


いや、めちゃくちゃ楽しいな。全世界のあらゆる情報にアクセスし放題で、好きなだけ表計算ソフトで遊んでいいよ!みたいな体験ここでしかできない。


ここ数日脳汁が出すぎていて日付の感覚がなくなっていたな……


「ちなみにこれで、どれくらい稼いでるんだお?」


「あぁ……まったく確認してなかったな……」


「スゥ、スゥ……10億4380万G……スゥ……」


「「「は?」」」


3人の言葉が重なった。


サーヤが寝ながら返事をしてきたことなど頭から吹っ飛んだ。


二人にシートの閲覧権限を付与してとりあえず会計用のデータを並べていこうか。


「ちょっと計算してみる……できた」


画面に表示された数字の表示形式を変更、集計しグラフの作成までを一瞬で行う。


こちらの世界では頭で思い描いた操作が即反映される。


慣れてくると現実世界よりも操作が数段早くなった。


「一瞬でめちゃくちゃ画面の数字がうごいだんだお……」


「スキル(自力)です」


やっぱりスプシをいじるのは楽しいな。


「うっっわぁ……契約金で9億Gくらい、月額の料金で1.5億Gくらいってとこか」


契約金はサーヤの提案だ。


最初の分析シートづくりの手数料として月額料金半年分を請求するようにしている。


それにしても何個のシートを納品しただろうか。ええと、合計で316個ってとこか。


同じ企業に十個以上納品したこともあったので関わった企業の数はまだそれほど多くない。


分析シート自体は作っていくと必要な分析も企業間でかなり似通ってくる。


取得するデータのソースにだけ気をつければシートに作成に大した時間はかからない。


月額平均50万Gくらいとってるのか……サーヤさん本当に10倍取ってるよ……


「月額料金は毎月入ってくるから、このままニートでも年間売上として1.5億Gが12ヶ月分で18億G、加えて9億Gの契約金で27億Gが計上される予定だな」


自分で言っていて頭がおかしくなりそうだ。


あと、結局サーヤの言ったとおりになっていて少し悔しい。


俺はシートのニーズを過小評価していたらしい。


それにしてもこんなに金が取れてたとは。


サーヤさんの人脈と営業能力マジぱねぇ……


最初に彼女が外に出ていってから、分刻みで顧客リストに追記がされていったことを思い出す。


減っていくより増えていくほうが速い作業リストなど絶望でしかない。


正直トラウマになりかけていたぞ。


それにしても目先の業務に没頭しすぎて、報酬のことなどすっかり忘れていた……


やめやめ、ワーク・ライフ・バランス第一。


デスマーチはもう勘弁だ。


目の前で倒れているサーヤを見ながら、俺は働き方改革の提案を心に誓った。


「27億Gって、お、お前、自分が何言ってるのか、分かってるのかお!?」


フトシが珍しく俊敏に動いて大きな声で俺に尋ねた。


「い、言われてみればすごいな!!!」


まぁ現実世界だったらこんなにうまくいくはずがない。


言ってしまえば所詮ゲームなのだ。


まぁ楽しませてもらってるから十分満足なのだが。


「今ある分だけでも1億円だお!!!」


「……あ、」


俺の思考がフリーズした。


「そういえばそういうゲームだった、な……」


「ふはっ……」


俺が半笑いでフトシの方を見ると、フトシが呆れ果てた表情で笑った。


データ分析に没頭する余り、ぼったくられて怒り狂っていたことも、なんで100万円も課金したのかということも、全部忘れていた。


そういえば、この〈Hannibal Online〉は稼げるゲームっていう触れ込みだったじゃないか。


「え?10億Gって1億円に相当するの?まじなのか?」


「マジだお……」「マジですよ……」


フトシと七瀬ちゃんがハモりながら答えてくれた。


「え、ちょっと待って。おじさん頭が古いから理解できないよ......」


一体どういう仕組みでゲーム内通貨が価値を持つのか?


ゲームのコイン、魔法石、装備、キャラクター。そういうものをたくさん購入すると快適にゲームをプレイできる。


最初、ソーシャルゲームで1万コインを100円で購入できたとしよう。


じゃあ、攻略が進んで玄人になったとき、ゲーム内で1億コイン稼ぐことができたとしよう。


この1億コインは100万円課金してでも手に入れたいものだろうか?


もちろん多くのゲームで答えはNOだろう?


幼少期に遊んでいたゲームの無限UPキノコ、無限増殖が可能なアイテム、無限に増やせる所持金を思い出す。


最初はお金を払ってでも欲しいほどだったアイテムの価値は、攻略が進むと急速に失われていった。


ではゲーム内通貨は、俺が手に入れた10億Gは、どういう仕組みで価値を保っているんだろうか?

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