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ブランドリア戦記  作者: 夏見静
マリーローズ放浪篇1 -アルジェントの神-
60/82

突入

王都防衛の切り札で可能な限り秘匿しておきたかったが、敵の斥候が監視しているのは承知で出すしかない状況になってしまった。

AIがコントロールする無人攻撃機10機。この軍事衛星統括管理センターの守備システムの一つだ。

直径2m程の円盤型で、小型のレーザー砲を搭載し飛行する。AIがコントロールするためパイロットは必要ない。

通常は遺跡地下の格納庫にあって、発進時は砂に埋もれたゲートが開く。実戦で使用するのは今回が初めてだ。

作戦行動可能時間が短い為、王都防衛任務が限界だが、火力、機動力とも、ブランドリアの戦車を圧倒できる。

仮に戦局が悪化し、中海からの上陸を許しても、王都の守備に不安はないはずだった。


ブランドリアの戦力は充分調査した。其の上で大金を使い戦車も手に入れ、攻略法も検討した。しかし機動歩兵については厳重に秘匿されていたのだろう、全く網に掛からなかった。

それで今回の失態だ。


「AI、敵の位置は捕捉できているか?」


「デキテイマス モクヒョウスウ2 スタンドレーザー ト インターセプター ヲ レンケイ サセマスカ?」


「連携だ。2機とも確実に撃破しろ。遺跡3km以内に人がいれば敵味方の識別は不要だ、即攻撃だ。」

相手は2機、どちらも同じ古代の超兵器だ、数的にも、スタンドレーザーの存在を考えてもこちらが圧倒的に有利なはずだ。斥候もついでに始末できれば、情報も守られる。


格納庫から飛び立った無人攻撃機インターセプター10機は、半数にわかれ、それぞれマリーローズ機、ジークフリート機の向かう。飛行速度は飛行兵を上回っている。



~ ~ ~ ~


<acies caueant Planum est inimicus appropinquare>(警告します。敵機が接近しています。)

<X obiecti volantes interceptor ad astra mille>(無人攻撃機10です)

<Mobilitas hostem altior. Recedere non potest>(飛行速度が当機を上回っています。離脱不可能。)


「マリー様、離脱は不可能です。固定雷撃砲からの砲撃の可能性があります。死角になる位置から出ないようにしてください。離れていては各個撃破されます。2機を同調させ対応します。訓練でやった内容です、大丈夫。」


「了解。7時方向の岩山の陰に入り、後退しつつ迎撃する。」

マリーローズは、敵機を捕捉しつつ全速後退する。


<Aer enim vehicula inanibus vallum uteris?>(対無人攻撃機用のジャミングを使用しますか?)


「Etiam」(肯定)


<Levi armatura hostis.Normal tormento ad disceptandum output modum mutatio?>(敵の軽装甲にあわせ雷撃砲の出力を調整し、連射モードに変更しますか?)


「Etiam」(肯定)



ジークフリートは、マリーローズ機に全速で接近しつつ迎撃態勢を整える。すべての変更はマリーローズ機に反映される。


2機は、岩山を固定砲台との射線上にはさみつつ、全力で後退する。しかし、インターセプターはすでにこちらを包囲するように展開を始めている。


「マリー様、後退しながら攻撃を開始します。」

2機は雷撃の連射を左右に散らす、インターセプターはそれぞれ回避しながら、包囲を完成させようとするが、飛行兵の戦闘補助装置の動作予測がその動きを上回る。ジークフリート側の一機が雷撃の連射を躱しきれず轟音とともに出火し墜落した。

インターセプターの雷撃は空を切る。これも戦闘補助装置の動作予測が効いている。

2機は相互に上下左右に位置を入れ替え、インターセプターの包囲が完成させるのを阻止している。インターセプター側は総ての判断が1歩遅れている。


射線を得るために機体の姿勢に制限が出るインターセプターに対し、飛行兵は腕の可動域内であれば、機体の運動方向を変えずに発射できるため圧倒的に有利である。飛行速度では劣るが、相性が良い。

ちなみにこれは飛行兵の戦闘補助装置にとっては、無人攻撃機戦闘におけるセオリー通りの戦い方で、搭乗者のマリーローズたちは、戦闘補助装置の指示に従い操作しているだけだ。

2機目が撃墜された。


「マリー様、固定砲の射角に入ると危険です。」

途中、何度かマリーローズが戦闘設定域を外れることがあったためジークフリートが注意を促す。


「大丈夫だ、少し試したいことがあったので、あえて逸脱した。すまない。」


その後も有利に戦闘を進め、3機目を撃墜した。




~ ~ ~ ~


「テッキガ ジャミングヲ シヨウシタタメ ダイレクトコントロールヲ ソウシツ インターセプターハ ドクジノ ジョウキョウハンダンデ  セントウヲ ケイゾクチュウ ゲンザイ 3キソウシツ」


「ジャミングノ エイキヨウデ コチラカラノ サクセンシジガ デキナイ ジョウキョウハンダンニ オクレガデテイル オヨビ キタイカンノレンケイニモ エイキョウガデテイル」


「ダイレクトコントロールガ デキナイタメ スタンドレーザーデノ エンゴシャゲキフノウ」


「スタンドレーザーでの援護ができないのは不利だ。一度攻撃を中止し戻せるか?」


「アンチリモートコントロール ノ ジャミング ガ シヨウサレテイルタメ クウカンデンドウデ テッタイシジスル タダシ ジュンジ シジトナルノデ デンタツニ チエンガハッセイスル」


「防衛ラインまで撤退させろ。」



〜 〜 〜 〜


インターセプターが撤退を始めた。1機ずつ離脱していくので、孤立したやつを追加で3機撃墜する。


「ジークフリート、このまま残りを追撃する。」


「いや、しかしまだ4機残っています。固定雷撃砲と連携されると危険です。」


「戦闘中に何度か岩山の陰から出て、固定雷撃砲の射角に入ってみたが、一度も照準捕捉もされなかった。恐らくジャミングされていると、無人攻撃機と連携できないのだろう。」

戦闘中に、設定域を逸脱して試していたやつだ。


「それを利用する。ジャミング中、無人攻撃機は単独の戦闘補助装置で動いているのだろう。あれをひきつれて遺跡中央まで突破し、固定雷撃法を破壊する。あれが我々の周りを飛んでいると固定雷撃砲は照準捕捉できないか、もしくは精度が落ちるはずだ。距離2km、約90秒弱だ。何とか行ける!

今を逃すと遺跡を潰すチャンスは二度とない!」


そういうと、マリーローズは全速でインターセプターの追撃に入った。ジークフリートも後を追う。


インターセプターは防衛ライン付近で待機していた。


「全速で、やつらの間を抜ける。ただし撃墜はするな、後を追わせるんだ!」

マリーローズら2機は岩山の陰から飛び出し全速で飛行しながら雷撃を連射する。


インターセプターは雷撃を回避しつつ反撃を行うが、照準捕捉が間に合わない。


「ついてこい、間抜けめ!」

その隙に2機はインターセプターの間をすり抜けて防衛ライン内に入った。

インターセプターは方向転換しすぐさま追尾してくる。


「よし食らいついてきた。なるべく奴らが我々の背後にいるように誘導しろ。」

マリーローズら2機は連携し上下左右にジグザク飛行しながら、腕を後方に回し雷撃砲を連射する。

インターセプターは追尾と雷撃回避で手一杯で、照準捕捉のための姿勢制御ができない。


固定雷撃砲からの照準捕捉も砲撃もない。あと1km。



〜 〜 〜 〜


「ザンゾンスウ4 ボウエウラインフキンデ タイキチュウ」


「やられたな。あの機動歩兵というのは圧倒的だ。ジャミングはまだ効いているのか?」


「テキノ ジャミングハ ケイゾクチュウ」


「ふむ、一度こちらまで撤退させるか。。」


「テキ2 コウソクイドウヲカイシ ボウエイラインマデアト100m」


「なに?突っ込んで来る気か?」


「テキ2 インターセプターヲトッパ インターセプターガツイゲキニハイリマシタ」


「スタンドレーザーはどうした。砲撃せよ!」


「フカノウ シャセンジョウニ インターセプターアリ ユウグンキヘノホウゲキハ キョカサレテイマセン」


「しまった! こちらが砲撃できないことに気付かれたか!」


「テキ2 キョリ300 ショウジュンホソクサレマシタ」


「くそっ!」


〜 〜 〜 〜


残り距離300mを切った、


「マリー様、後ろの連中は私が牽制します。その隙にやってください。」

そういうとジークフリートは後退飛行に切り替え、雷撃砲の連射を強めた。

インターセプターは上下に散り、完全に射線を外した。


雷撃砲出力最大! 固定雷撃砲を照準捕捉!

「発射っ!」


赤い雷撃が石柱の上部、固定雷撃砲に直撃した。石柱上部溶解。 成功!

続けて2撃目、石柱下部に直撃、溶解。


「ジークフリート、成功だ! 固定雷撃砲沈黙。無人攻撃機の殲滅に入るぞ。連携再開だ!」


2機は散開し、セオリー通りの戦闘で、残りのインターセプターを撃破、戦闘は終了した。


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