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ブランドリア戦記  作者: 夏見静
アレクサンドラ救国篇
5/82

救出

「ぐっ、なんだ此処は。ひどい臭いだ。」


「本当にこんなとこに人がいるんですか。死体置き場みたいだが?」


「ここに、殿下が拘束されていると情報があったんです。いないと確証がとれるまでは戻りません。」

第一皇女マリーローズが行方不明になってから2週間近く経っていた。


男が2人、女が一人、皇城の地下へ続く螺旋階段を降りていた。兵士のようだが、

皇国軍の一般兵の兵装ではない。

先頭を行く男が最も年長のようでリーダーらしかった。ガッシリとした体格で腰に剣を差し、

手に松明を持っている。

真ん中の男は若く長身で、腰には短剣を差し、手には短槍を握っている。

後方は女だった。大柄で筋肉質だが美しい顔立ちをしている。こちらは細身の剣を腰に差していた。



階段を降りきると長い通路がありそこを進む。


「なにか気配がするな。注意しろ。」

「了解。」

「後方は私が警戒する。」

3人は連携が取れた動きで前に進む。


「!」

前方通路の影から、棍棒を振りかぶった大男が飛びかかってきた。牢番だ。

リーダーは即対応し、棍棒を、持っていた松明で弾き飛ばし、牢番に蹴りを入れた。

牢番は吹き飛び、突き当りの壁にしこたま背中を打ち付け、動かなくなった。


「まだいるかもしれん、周囲の警戒を怠るな。」


リーダーは警戒しつつ牢番に近づき話しかけた。


「きさま、きさまは牢番だな?聞きたいことがある。協力すれば命まではとらん」


「ごごはおでのいえだ。はやぐででいげ」


「ででいってやるよ、おまえが協力すればな。ここに女が囚われているはずだ、居場所を教えろ。」


「あれば、おでのものだ。おでがもらっだんだ。」


「やはりここにいたか。どこだ? 言わなくてもいいが、その場合はお前を殺して虱潰しにさがす

だけだ。」


「・・・・。このざきのでつのどびらのへや」


「鍵がかかっているんだろう? 鍵はどこだ?」


「・・・・・。」


「まぁいい。どうせ今飛び出てきたところがお前の部屋だろう。そこにあるだろう。」


長身の槍使いが用心しながら入っていった。


「ありましたよ。これでしょう。」

すぐに手に鍵の束を持って出てきた


「じゃーな。」

そう言うとリーダーは、懐から出した針のようなものを、牢番の首筋に刺した。


「ぐがっ!」


みるみる牢番の顔は紫色に変色し息絶えた。毒針のようだ。


薄暗い通路を進み、鉄扉の部屋を見つけた。鍵を合わせて開く。

松明で部屋内を照らすと、奥の壁に人間らしきものが吊るされていた。


ひどい状況だった。生きているのか死んでいるのかわからない。女兵士が呼びかけてみる。


「第一皇女マリーローズ殿下でしょうか?」


「・・・・・。」


返事がない。少し反応があったので死んではいないようだった。

しかしおそらく皇女で間違いないだろう。顔は識別できないが、わずかに銀髪が見える。

吊るしている鎖を巻き下げて下に下ろす。手首の腕輪を鍵で外し開放する。

ひどい悪臭がした。体の一部が腐っているかもしれない。

とりあえず、通路に出て、静かに床に卸す。


「皇女殿下でしょうか?」再度聞いた。


「・・・・。そうです。」吐く息とともに小さく答えた。



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