救出
「ぐっ、なんだ此処は。ひどい臭いだ。」
「本当にこんなとこに人がいるんですか。死体置き場みたいだが?」
「ここに、殿下が拘束されていると情報があったんです。いないと確証がとれるまでは戻りません。」
第一皇女マリーローズが行方不明になってから2週間近く経っていた。
男が2人、女が一人、皇城の地下へ続く螺旋階段を降りていた。兵士のようだが、
皇国軍の一般兵の兵装ではない。
先頭を行く男が最も年長のようでリーダーらしかった。ガッシリとした体格で腰に剣を差し、
手に松明を持っている。
真ん中の男は若く長身で、腰には短剣を差し、手には短槍を握っている。
後方は女だった。大柄で筋肉質だが美しい顔立ちをしている。こちらは細身の剣を腰に差していた。
階段を降りきると長い通路がありそこを進む。
「なにか気配がするな。注意しろ。」
「了解。」
「後方は私が警戒する。」
3人は連携が取れた動きで前に進む。
「!」
前方通路の影から、棍棒を振りかぶった大男が飛びかかってきた。牢番だ。
リーダーは即対応し、棍棒を、持っていた松明で弾き飛ばし、牢番に蹴りを入れた。
牢番は吹き飛び、突き当りの壁にしこたま背中を打ち付け、動かなくなった。
「まだいるかもしれん、周囲の警戒を怠るな。」
リーダーは警戒しつつ牢番に近づき話しかけた。
「きさま、きさまは牢番だな?聞きたいことがある。協力すれば命まではとらん」
「ごごはおでのいえだ。はやぐででいげ」
「ででいってやるよ、おまえが協力すればな。ここに女が囚われているはずだ、居場所を教えろ。」
「あれば、おでのものだ。おでがもらっだんだ。」
「やはりここにいたか。どこだ? 言わなくてもいいが、その場合はお前を殺して虱潰しにさがす
だけだ。」
「・・・・。このざきのでつのどびらのへや」
「鍵がかかっているんだろう? 鍵はどこだ?」
「・・・・・。」
「まぁいい。どうせ今飛び出てきたところがお前の部屋だろう。そこにあるだろう。」
長身の槍使いが用心しながら入っていった。
「ありましたよ。これでしょう。」
すぐに手に鍵の束を持って出てきた
「じゃーな。」
そう言うとリーダーは、懐から出した針のようなものを、牢番の首筋に刺した。
「ぐがっ!」
みるみる牢番の顔は紫色に変色し息絶えた。毒針のようだ。
薄暗い通路を進み、鉄扉の部屋を見つけた。鍵を合わせて開く。
松明で部屋内を照らすと、奥の壁に人間らしきものが吊るされていた。
ひどい状況だった。生きているのか死んでいるのかわからない。女兵士が呼びかけてみる。
「第一皇女マリーローズ殿下でしょうか?」
「・・・・・。」
返事がない。少し反応があったので死んではいないようだった。
しかしおそらく皇女で間違いないだろう。顔は識別できないが、わずかに銀髪が見える。
吊るしている鎖を巻き下げて下に下ろす。手首の腕輪を鍵で外し開放する。
ひどい悪臭がした。体の一部が腐っているかもしれない。
とりあえず、通路に出て、静かに床に卸す。
「皇女殿下でしょうか?」再度聞いた。
「・・・・。そうです。」吐く息とともに小さく答えた。




