雷撃
ラテン語のようなものが出てきますが、ラテン語ではありません。
作中にでてくる空想の古代語です。ご了承ください。
マリーローズは、部屋でしばらく時間を潰した後、全て終わったふりをして、ハサンに報告した。
ハサンは、問題なかったか心配していたようだが、なにもトラブルがなかったと聞いて安心したのか、約束の小金貨5枚をくれて、また明晩宜しくと帰してくれた。
その後、ジークフリートと合流し、ムハンマドから聞いた事実を伝える。
「天の光とは、どうやら雷撃のことのようですね。
天空からの雷撃とは、どうやっているのか。飛行戦車の飛行高度は最高約200m。飛行兵で100m。それを超えると失速してしまいます。我々の知らない未知の兵器のようですね。」
「うむ。遺跡にある太古の神というのも気になる。まずは明朝からその遺跡を調査してみよう。未知の雷撃で武装しているようだが、飛行兵の戦闘補助装置なら解析できるかもしれん。」
一旦宿に帰り、3時間ほど仮眠をとる。それから飛行兵に戻り、遺跡に出発だ。
〜 〜 〜 〜
予定通り、翌未明から二人は飛行兵を駆って遺跡に向かった。
少し、遠回りになるが、市街地付近を避けて、南側から遺跡にアプローチする。遺跡の南端まで、残り5kmとなったところで、案の定、戦闘補助装置が警告を出した。
「マリー様、相手のレーダーに捉えられたようです。一度降下しましょう。」
ジークフリート機は、右下の岩場を指し、降下を始めた。マリーローズ機もそれに続く。
「レーダーで監視しているところを見ると、やはり我々の得た古代兵器と同じ類のものだな。」
「はい、攻撃は固定式の雷撃砲と見るべきですね。迂闊に射程圏内に入ると躱しきれない可能性もあります。」
「位置を特定できれば、その死角から近づけるだろう。一度攻撃させれば、ある程度は戦闘補助装置が割り出してくれるだろう?」
「私が囮になりましょう。マリー様は射程圏外から確認願います。」
「いや、2機に対して攻撃させたほうが、より正確に割り出せるだろう。私なら大丈夫だ。」
ジークフリートは、マリーローズの操作技術が既にベテランの域に達していることを思い出した。
「承知しました。マリー様はここから、私は左方300m程離れた位置から進みます。射程圏の割り出しも必要ですから、進入時は速度に注意願います。」
「了解した。」
2機が飛行開始して、約2km程度進んだところで、遺跡からの無線を受信した。
『vestra Aircraft in territorio invadendi statim Ex ambulare』
古代語で、領空内侵入している旨の通知と即時退去しなければ攻撃するとの警告だった。
ちなみに、二人はこの程度の古代語は解することができるくらいには習熟がすすんでいる。
警告は何度か繰り返し、遺跡端から約1kmになった時、戦闘補助装置の照準捕捉に対する警報が
鳴り響いた。
<Tonitrua AIM captis >
<Tonitrua AIM captis >
マリーローズは、本能的に機体を左に急旋回した。その機体の残像を雷撃が貫く。
間一髪だった。すぐに反転し急加速、射程圏内から離脱する。
2撃目を撃たせる余裕はなかった。一撃目を躱せたのが奇跡だ。
「ジークフリート無事か?」
「大丈夫です、マリー様。そちらを先に攻撃したようです。わたしは余裕がありました。」
「うむ。戦闘補助装置に射撃位置の割り出しをさせてくれ。わたしの計算結果とあわせて、確認しよう。」
〜 〜 〜 〜
二人は、最初に降下した岩場に戻り、お互いの戦闘補助装置を同期させて、演算結果を確認している。
「攻撃開始位置は遺跡中心から推定半径2km。
雷撃砲の射程は20km。型式D127−0259001。
射撃位置は、(36.342974, 3.221268)、遺跡中心。
射撃位置高度は5.3m。
砲門数1
ジークフリート機の計算結果も同じ。」
「相手は、遺跡の戦闘補助装置のようですね。彼奴らのいう神とは戦闘補助装置のことでしょうか?」
「うむ。しかし戦闘補助装置はあくまで操縦者補助だろう。この遺跡は少し違うような気がする。」
「こちらの雷撃砲の射程も20km。3km程度まで近づけば、遠視機能で目視確認できるだろう。
確認できれば、先制攻撃して破壊していまえばよい。」
「では、その作戦で行きましょう。」
二人はハッチを閉め、飛行兵を起動し、上昇した。
目標から3kmの地点に到着し、小高い岩山に着陸する。
遠視機能を最大にし、目標となる雷撃砲を捕捉するように、戦闘補助機能に指示する。
画面に目標が見えた。金属らしき黒い円筒が立っているだけである。
「見えたかジークフリート?」
「はいマリー様。射出口が見えませんが、あれが雷撃砲の本体でしょう。」
「ジークフリートはそのまま監視を頼む。私が狙う。」
「承知しました。」
マリーローズは、戦闘補助装置に目標を指示し、自動照準させる。
正面画面の映しだされている円筒に照準があった瞬間、赤く光った。
同時に戦闘補助装置から警告<Tonitrua AIM captis >(雷撃に照準捕捉されました)
「っつ!」
回避!!
間に合った。仰け反るように機体を後ろに倒し間一髪躱した。戦闘補助装置のおかげだ。
マリーローズの操作よりも一瞬早く予備動作を起こしていた。でなければ、操縦席ごと抉られていただろう。
そのまま滑り落ち、岩山の後ろに隠れるが、第二撃はなかった。
「大丈夫ですかマリー様。!」
ジークフリートの焦った無線が入ってくる。
「おちつけ、大丈夫だ。照準捕捉を検知して反撃してきたな。やっかいな。」
「こちらが捕捉した瞬間に撃ってきた。完全に自動攻撃だな。もしや、、、」
「inimicus specif icationem Ad analyze」
<inimicus specif artificialis intelligentia,093021 aestimari>
「Quid? artificialis intelligentia,」
<Lorem Cogitare Certamina auxilium ratio>
「Compare fortis 」
<Computationem perfectum.>
マリーローズは戦闘補助装置に、敵の戦闘補助装置について聞いてみた。
「人工知能? 自分の意志を持つ戦闘補助装置だと言っているな。この機体よりも優れていると?」
「だとすると、力勝負では勝てないな。ジークフリート、今日のところは、相手の力量を測れたところで、引き上げて作戦を練り直そう。」
「承知しました。。。。マリー様、いつの間にそこまで古代語を使えるようになったのですか? 私を超えています。」
「ふん。乗ってる間中、奴とおしゃべりしていれば仲良くなれるさ。旅は道連れ世は、なんだったか?」




