マリーローズの決意
話は少し戻る。
ジークフリートの同行が決まった後、二人はそこで野営する事にした。
今後の予定を共有する時間を取るためだ。
火を起こし、焚き火を囲んで座る。
ジークフリートが、準備していた旅グッズから、お茶を入れ、手渡す。
「準備が良いのですね。いつから気付いていたのですか?」
「私が、殿下、、、マリー様の護衛として同行するよう指示を受けたのは、飛行兵の操作訓練を開始した頃です。
グーテンベルク閣下がいつか、については存じません。」
「それから、ずっと見張っていたと言うわけですね。
私は貴方の目を盗んで外に出る機会を作るのに苦労していたと言うのに。」
「申し訳ありません。そのような閣下の指示でしたので。」
「まぁ、いいでしょう。グーテンベルク将軍の思惑は大凡わかります。それは私の意志と合致しているので、問題ありません。」
マリーローズは、アレクサンドラの皇位継承の為、グーテンベルクが見て見ぬふりをしたのを悟っていた。恐らく、その裏には、皇国首脳陣もいるだろうが、アレクサンドラは知るまい。
追手を出されないよう、手紙には事実を書いた。
まだ幼い彼女が傷つかないよう、配慮はしたが、それでも衝撃だろう。
アレクサンドラが出奔を受け入れてくれたことは、ジークフリートへの命令に変更がなかったことからもわかる。
「私は、皇位継承権を放棄しました。
出奔したのは、私が側にいればアレクサンドラの足枷になると思ったからです。
しかし、皇家の血脈として、皇国の為、身命を賭すという気持ちに変わりはありません。
私は、この世界の皇国に対する不利益を排除したいと考えています。」
皇国の、というよりはアレクサンドラの、と言い換えたほうが良いかもしれない。
マリーローズは続ける。
「療養している間、世界の情勢を調べました。
グーテンベルク将軍の力を借り、諜報部隊からも情報をもらいました。
その情報の中で、今後、皇国の脅威になると分析したものを、調査します。
調査結果によっては、その脅威を排除します。
そのために、最新の兵装を持ち出しました。
しかし勝手に、軍事行動を起こす以上は、ブランドリアの名は出せません。
ブランドリアの関係者と推察される言動には気をつけなければなりません。
持ち物から、姓名、紋章、部隊名等は総て消し去ってください。
よろしいでしょうか?」
「承知いたしました。それに関しては、事前に実施しております。」
ジークフリートは、グーテンベルクからの指示で、機体、兵装の部隊表示、
その他、持ち物から身元が判明するものは総て消去している。
「本当に、準備がいいのですね。。。」
「マリー様、最初の目的地はどちらでしょうか?」
「イベル半島です。最近、エトリカの軍が出入りしているとの情報があります。
その情報の中に、最近、北部沿岸地域で勢力を拡大しているというエトリカの新興国の存在が垣間見えます。
私は、その新興勢力を危険視しています。
イベル半島を抑えられると、西と南からの挟撃というリスクも発生します。
まずはラント候領のイベル半島への玄関口である、バルスルトという町に行きましょう。」




