20 金策と探索
「チッ……ここも駄目か」
『また空だったねー』
さっそくダンジョンに潜った俺たちは、仕事をさっさと終わらせて宝箱を探していたのだが、よーやく見つけた宝箱は全部空だった。
「上層は冒険者の数も多いしな……リポップしてもすぐに見つけられちまうんだろう」
『当てが外れちゃったねー。帰ろっかー』
「諦めるの早すぎだろ……それなら冒険者の少ない場所を探せばいい」
幸い俺たちは楽に下層へと潜れるのだ。というわけで競争率が低いであろう下層へとおりていった。
しかし下層は下層で問題があった……。
『みーくーん疲れたー』
「もう少し頑張れ……次の部屋こそ本命だ」
と、俺の感が告げている。アンを鼓舞して部屋の隅々まで探させた。が……。
『見当たらないよー』
「こんなはずじゃ……」
無情にも感が外れてしまった。おかしい……こんなはずじゃなかった。
『みーくんは運悪いもんねー』
「うるせー! そもそもダンジョンが広すぎるんだよ!」
そう。問題とはダンジョンのスケールであった。今までは目的地を目指して最短コースを走っているだけだったの気にならなかったのだが……いざ宝箱を探してみるとその広さに圧倒された。そのうえ下りれば下りるほど広くなっていたのだから質が悪い。
そんな広いダンジョンの空き部屋をしらみつぶしに探しているのだからただただ時間が掛かる。加えて上層よりも宝箱の数が少ないように思えた。単純に広くなったぶんみつかりづらくなっただけとは思えないほど渋い。
『もう諦めよー。六層に下りてから空箱一つしか見つかってないんだしー』
「くっ……せめて金属探知的なものでもあれば」
『う~ん……あったかなー』
「え? まさかあんの?」
鞄をあさりだしたアンに期待を寄せると……。
『じゃーん!』
「もしやと思って期待しちゃった俺がバカだったわ……」
アンが取り出したのはL字の金属棒だった。
「それダウジングするやつだよね? 水脈でも見つけるつもりなの?」
『あれれーみーくん知らないのー? 埋蔵金だって探せちゃうんだよーこれ』
「ふ~ん……で、その棒を両手に握って走れるわけ?」
『ああー……』
無理だと気づいたようだ。そもそも探すのは埋蔵されている金属ではなく地上に剥き出しの宝箱だ。ダウジングなんてお呼びじゃない……いや、待てよ?
ダウジングについてちょっと検索をかけてみる。すると失踪者や失せ物の捜索に使われるとあった。たしかにそんな内容の海外番組を見た記憶があったので調べてみたらビンゴだった。
真意のほどは定かではないが、やってみる価値はあるかもしれない。少なくとも闇雲に探すよりはマシだろう。しかしド素人のアンでは不安だ……。
「う~ん……あっ」
ひょっとしてと思いアプリサイトで検索をかけてみた結果……。
「マジかよ……あったわ」
『なにがー?』
「ダウジングアプリ」
『がーん……この棒高かったのにー』
「棒とか言うなよ……」
一度全てのアプリを閉じてからダウジングアプリをダウンロードする。ちなみに金属探知機アプリなんてものまであった。スマホってすげーな……。
「さてと……」
さっそく立ち上げて使ってみる。非常に多くの項目が出てきた。その中に目当ての宝物検索という項目があったのでさっそく押してみると……。
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「くそがっ!」
いきなり使えないアプリに腹を立ててアンインストールした。無駄な時間を使ってしまった……。
いつまでもマップを閉じておくわけにもいかないのでアプリを起動する。見なれたマップに特に変化はなかった。
「そういえば……」
このアプリにはナビとしての機能までついていたっけ? 使わない機能だったので調べていなかったが何か役立つ機能はないかと探ってみると……。
「マジかよ……」
目的地の項目のなかに宝箱なんてド直球な項目をみつけてしまった……。先ほどまでの苦労はなんだったのだろう?
「でもなぁ……」
いくらなんでもそんな便利な機能は……もしかするともしかするのか?
意を決して押してみると……マップ上に小さな宝箱のアイコンが浮き上がり推奨経路まで示してくれた。
なんなのこれ? もう便利すぎて怖い……。
『みーくーん、どうですかー?』
「え? ああ……解決したわ。これから宝箱まで誘導する」
『さっすがみーくん!』
「いや、俺は何も……」
たんにアプリを使いこなせていなかっただけなので心苦しい……。
気を取り直してナビに従ってルートを進んでいく。モンスターのチェック項目に印をいれたら避けて通る道まで案内してくれるのでもう至れり尽くせりだ。ほんともっと早く気づいていればよかったよ……。
そんなわけであとは楽勝……とはいかなかった。
『あーあーまた空だねー』
「俺を責めるような言い方やめてくれる?」
すでに六階層に散らばる全ての宝箱をみつけたというのにその全てが空だった……。
リポップ率悪すぎじゃないの? クレーム入りますよこれ?
アンも飽きてきたのか俺を非難してくるしまつだ。そしてとうとう次にで最後。悪いのは俺じゃないのだが、なんだか申し訳ない気分になってきた……。
『ああー!』
アンの奇声と視線の先にはまだ閉じたままの宝箱があった。
「よし!」
思わずガッツポーズ。ようやく報われたことに俺のテンションも上がる。自転車からおりたアンが宝箱をあけるのを今か今かと待ち構える。
『なにがでるかなーなにがでるかなー――ぶふぉっ!』
意気揚々と宝箱をあけた瞬間黒い煙が吹き出し視界を覆う。緊急事態発生! 緊急事態発生!
「おい! アンどうした? 大丈夫なのか?」
『――っ!』
「アン!」
『けほっ……けほっ……だいじょうぶー』
俺はホッと胸をなで下ろして椅子に座り直した。びっくりさせやがって……。




