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★思考する影

 クク、クククフハハハ! 見つけたぞ……! なんという、なんという僥倖か。

 よもや捜し求めていた女神がこんなにも近くに居たとはな、まさに奇跡……! 我の豪運も捨てたものではない。元の世界へ戻ることができるのも秒読みと言ったところであろうか。


 もしもし? 貴方が奇跡を語るのはおこがましいのではないかしら? それと、身体を貸してみたものの、そんなすぐ返ってくるのだったら、私の体で他者と軽率に接するのは控えてもらえないかしら? 私は孤独な存在なの、誰も私を理解できないし、私は誰も理解しない、私は世界でひとりきりなの。


 ああ、煩いな小娘。相も変わらず難解な空想に浸りおる。ふむ、さては汝、我の記憶を探りおったな? 我が何者であるかを知り得た上でのその発言、嫌いではない。だが敢えて言おう馬鹿者め。どの世でも、生物とは決して個では生きられぬ、世界とは一人で立ち向かえる程弱くはない、故に個は群を成し、その中で優れた者が統率し、一つの目的に皆が向かうことで、漸く渡り合える代物ぞ。


 何かしら、お説教? 私の思考する楽しみを奪っておいて、その物言いは感心しないわね。私にだって知りたくもない貴方の事を調べることはできるのですから。

 まったく貴方ときたら嫌なこと言うのね。身体は貸したけれど、私のこれからの未来まで捻じ曲げるのはやめてくれるかしら?

 特にあっちの明るい子。ニガテなのよ、ああいう子。元気で明るくって、親切心か無遠慮だか知らないけど、お節介焼きはイヤよ。私みたいな影に等しい存在には眩しすぎるし気味が悪いのよ。私今後あの子と上手くやっていける自信ないわ。


 クク、汝は存外軟弱な乙女よな。重ねて言おう馬鹿め、元気で良い者程利用しやすいのだ。強い光があるならば、その影に徹していればよい。

 まあ今の汝の不遜な言動はすべて水に流そう、今の我は実に機嫌が良いからな。

 喜べよ小娘、この身体を返すのも最早すぐ先のことだ。好機を伺い一気に距離を詰め、我は力を得て晴れて元の世界に帰る。汝は新しく出来た友人らと共に学業に励み、立派な成人となって世にはばたくのだ。完璧ではないか。

 友人とは実に良いものぞ、生きる上で欠かせない存在と言える。汝も知っての通り、我から見てもあの光は強い、自身を影と言うのならば、光を際立たせる存在になってみせるがいい。存外それも愉しかろう。

 さすれば、登校拒否などという脆弱な選択をせんでも良くなるだろうな。


 ……貴方ってば、ホントに私が考えうる中でも最もイヤな奴なのだわ。お節介焼きは嫌いだと言ったばかりよ、口を慎みなさい。


 クハハ、そうと決まれば決行は早い方が良かろう。……汝は所詮百年足らずで生き絶えるのだ。ならば、少しでも愉悦を感じる時間を増やすが良い。

 彼奴等を上手く誘導し、なるべく被害は少なくしてやる。この我の粋な計らいに感謝するがいい。


 口を慎みなさいと言ったばかりよ。控えなさいバカ。

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