表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/205

色々すごい情報


 驚きすぎて騒ぎ立てていたイルナがようやく落ち着き、傍にあった椅子に座り込む。その様子をずっとニコニコと微笑みながら見ていたキルスティは、相変わらずのマイペースで中断していた話の続きをしはじめた。



「うん、落ち着いたみたいだね。じゃあ話の続きだけど」

「…お手柔らかに」

「ふふふっ、とりあえず出来る事を確認しよっかぁ」

「あ、それもそうだね」



 確かに何ができるのか聞いておかないと始まらない。

 少し広めの木のテーブルに、キルスティは紙を広げた。そこに綺麗な羽飾りのついたペンで文字を書き出した。



「まずは『増幅』。これはイルナも使えるよね」

「うん。『増幅』『成長』は薬草を育てるのに結構使ってるから」

「じゃあ次に『探索』『防御』『反射』『空間』『爆発』『隕石』…」

「ちょ、待って待って待って待って…!」



 段々と聞き捨てならない言葉が出て来たような気がして、イルナは慌ててキルスティが話すのを遮った。



「『探索』とか『防御』まではわかるよ!?でも『爆発』とか『隕石』って何!?そもそも『爆発』は火属性じゃないの!?」

「違うよぉ。爆発は空気中の魔力に圧力をかけて反応させて、多量のガスと熱を発して破壊作用を起こす現象だから、火にならないよ」

「え、ごめんなさい。ちょっとわからない」

「うーん…どう言えばいいんだろう…」



 急に難しい説明をされても理解に苦しむ。キルスティも簡単にどうやって説明しようかと、人差し指を顎に当てて唸っている。

 そして何か思いついたらしく、イルナの目の前に床に転がっていた石を差し出した。



「例えばね、こうやってぎゅうっとこの石を握るでしょ?」

「うん…?」

「するとこの石には私の『握ろう』としている力が加わるよね?」

「う、うん」

「この押さえつける力が『圧力』。で、怪力な人がぎゅううううっ!と握ればこの石どうなる?」

「…砕ける?」

「せいかーい!ぐしゃっと砕け散ります~」



 わーっと言いながら手をぱちぱち叩いているが、特に嬉しくない。



「じゃあ今度はこの石に魔力を入れて行きま~す。どんどん入れ続けると、石の中は魔力でいっぱいになります。入りきらないくらいの魔力が石の中にあるのに、まだまだ入れ続けていけばどうなりますか?」

「…破裂する」

「せーいかーい!」



 これは魔石で経験済みだ。火属性と水属性の魔力を試しに入れた時、急に沢山入れすぎた為に魔石が破裂したのだ。

 あの時は分からなかったが、魔石を作るのに成功した後、地属性と聖属性が成功してあったので、他の属性の魔力を量や注入するスピードを変えながら、どのくらいなら入るのか試したのだ。

 結局の所、無属性以外は枯渇状態になる程の魔力は必要ではなく、属性ごとに入る量が違っていた。だからちょっとでも入れすぎると破裂し、粉々に砕け散った。



「それに似た現象を『爆発』といいま~す」

「破裂じゃなくて?」

「原理がそうって事だよ。空間の中の物質が反応して、そこに熱やガスとかが発生したり、粉塵とかが混じったりして爆発が起こるでしょ~。それは『火』だけが原因じゃないんだよぉ?『空間』に『魔力』で『圧力』をかけるだけでも『爆発』は起こせるんだから」

「空間に圧力なんてかけれるの?」



 イルナが尋ねると、キルスティはニッと笑う。そういう笑い方は初めて見るな、なんて呑気な事を考えていると、キルスティは「やってみるね」と言って天窓を開けてから両手を胸の前で合わせ、拳一つ分くらいの隙間を開けた。



「このくらいでやってみるよ?」

「う、うん」



 徐々にキルスティの魔力が両手の間に集まる。魔力の密度がどんどん濃くなっていき、そうすると今度は空間が熱を持ち出した。



「キ、キルスティ…」

「まだまだだよ~」



 どんどん魔力を両手の間に集めるキルスティをイルナは心配そうに見つめるが、キルスティは余裕の顔だ。集まって来る魔力が完全に目視できるようになり、キルスティの両手の間で球体に光り出した。

 バチバチッと火花が散り、空間が震えだす。そして次の瞬間、キルスティはその球体を開いておいた天窓から力いっぱい上空へ放り投げた。



『アルアメックス(爆発)』



 ドオオォォン!!!!



 呪文の詠唱後、大きな音と共に爆風と熱風が襲う。イルナは頭を庇うようにしてしゃがみこみ、視線だけ上空に向けた。

 しばらくすると風がやみ、ニコニコ笑うキルスティが平然と立っているのが視界に入る。




「い、今のは…」

「あれが『爆発』だよ~。ね?火なんて使ってないでしょ?」

「使ってないね…」

「これが『空間』を使った攻撃魔法だよ。まあこういう事もできるようになっちゃうけど、今日はそれよりエリクサーだねぇ」

「……」



 うん、と言い難い空気だが、元々はエリクサーを作る為にここに来たのだ。イルナが説明を求めたから、キルスティも爆発の魔法を見せただけだ。



「えっとね、話はそれちゃったけど、エリクサーを作る前にエーテルの説明するよ?」

「は、はいっ」



 ようやく回復薬の話になるとわかり、イルナの背筋もピンと伸びる。その様子を見てキルスティも満足げに頷いていた。



「そもそも、体力を回復するポーションは薬草と魔法水で作れるのに、魔力を回復するエーテルはレッドハーブと魔法水の他に魔石を使います。さて、どうしてでしょう!?」

「え!?」



 さっきから思っていたが、キルスティは問題を出すのが好きなようだ。

 ただ、この問題に関してはイルナも疑問に思っていたので、全く回答がわからない。



「わかりません…」

「ふっふっふっ、じゃあ教えてあげる!」



 得意気になって胸を張るキルスティが何だか可愛い。全然話は違うが彼女は一体何歳なんだろうか?とかどうでもいい事を考えてしまう。見た目は完全に年下にしか見えないが、エルフだからうんと年上の可能性は高い。



「答えは魔力を回復するポーションだからです!」

「……」



 意味がわからない。とは言えず微妙な顔をすると、キルスティは親切に説明を続けてくれた。



「簡単に言うと、魔石の魔力が回復したい人の魔力になるんだよ。でも魔石は飲み込んだりできないでしょ?だから魔石に含まれる沢山の魔力をできるだけ魔法水に入れるの。けどただ入れるだけなら反発しちゃうから、レッドハーブが二つの性質の違う魔力を中和してくれるんだよ」

「…へぇー、そうだったんだ」



 魔法水に入る魔力の量は一定だが、レッドハーブを使う事でより多くの魔力を入れる事ができるそうだ。だから飲む量で回復量が変わるらしい。つまり魔力量が多い人は、普通の人よりエーテルが沢山必要と言う事だ。自分の魔力を復活させてるんじゃなかったみたいだ。



「自分の魔力は休んだり眠ったりすれば回復するけど、それ以外は他の物で補うしかないんだよぉ。それができるのがエーテルだったり、エリクサーだったりするんだよ」

「えと、じゃあエリクサーの材料にもレッドハーブが必要なの?」

「ブブー。正確に言えば『不正解』だね。必要なのは『エーテル』『聖なる泉の水』『生命の木の樹液』だよ」

「え、ちょっと待って、最後にとんでもない名前言わなかった?」

「え?生命の木の樹液の事?」

「それ!そんなのどこにあるのか知らないわ!」



 さすがはエルフの言う事だ。聖なる泉の水もそうだが、普通はそんなもの手に入らない。その上生命の木の樹液だなんて、どこにあるのか皆目見当もつかない。



「生命の木、知らない?」

「聞いた事ないわ…」

「うーん…人間だと違う言い方なのかな。えっと…ああダメ、思い出せないや」

「それだと作れないわね…。じゃあ思い出したら教えてくれる?私も図書館で調べてみる」

「わかった!」



 まあとにかく、エリクサーを作る為にもまずはエーテルの作成をしないといけない事がわかった。

 ただ、エルフがエリクサーなんて何に使うのか気になったイルナは、正直にキルスティに聞いてみる事にした。



「ねえキルスティ。エリクサーを作るのはいいけど、一体誰に使うの?」

「え?守護竜様達だよ。眠ってるって言ったでしょ」

「聞いたけど…眠ってる理由は何なのか知ってるの?」

「うん。ゲアトルースの僕のヴァルデマーが守護竜様達の力を奪ったの。ゲアトルースを復活させる為なんだって」



 ヴァルデマー…どこかで聞いた事があるような気がするが、今の所思い出せるような気がしない。



「ゲアトルースって誰?」

「闇竜だよ。エミール王国の守護竜様の敵だねぇ」

「…ええええええ!?」



 闇属性の竜が復活の為に守護竜様達の力を奪ってると、キルスティは言う。それってかなりまずい事なのではと、イルナは内心めちゃくちゃ動揺していた。

 というか普通に大声をあげてしまっていたが。



「ゲアトルースは封印されていた闇の竜。過去に世界を暗闇にして、生き物たちが苦しんだの。だから復活させてしまったら大変な事になる。ヴァルデマーが持ってる封魔の杖が闇の竜を封印していたアイテムだけど、彼はそれを使って他の竜の力を杖に蓄えてる」



 眩暈が起こりそうな内容に、イルナが倒れそうになる。

 こんな、国家機密になってもおかしくないような事実を自分が聞いてしまった事で、完全にキャパオーバーしてしまった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ